【感想】解夏

さだまさし / 幻冬舎文庫
(201件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
78
65
41
4
0
  • 読み応えのある短編集です

    5つの作品が収められている短編集ですが、どれも読みごたえがあります。
    「解夏」は既に映画化されており、「サクラサク」も2014年4月に映画が公開される様子。
    この本に収録されている作品は、重いテーマを扱っているものであっても、読後感が爽やかで幸せな気持ちになれる話ばかりです。さだまさしの著書には、人間への温かい眼差しが感じられます。
    個人的には「解夏」に衝撃を受けました。闇というのは、光が見えてこそ感じられるものなのですね。見えなくなること自体より、失明するまでの過程が恐怖なのですね。「解夏」というタイトルが絶妙だと思いました。
    読んでいると、大好きな長崎の街並みが目に浮かぶようでした。
    続きを読む

    投稿日:2014.02.15

ブクログレビュー

"powered by"

  • きじお

    きじお

    4作ともとても良い話でした。
    文章や言い回しがとてもきれい。言葉選びが素敵。

    解説にある、未来・現在・過去を全ての作品に盛り込んで、その後どうなったんだろうと余韻を残す終わり方は秀逸。
    さだまさしは天才なのか?

    サクラサクがイチオシでした。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.25

  • quality45

    quality45

    このレビューはネタバレを含みます

     目が見えていた頃は小学校の教師をしていた主人公が、 視野が狭くなって長崎後に戻った後、幼き日の事や教師 時代の生徒の事を思い出しながら長崎の地を巡る物語や、 ダムの地になるため沈んだはずの故郷が渇水で干上がっ て思い出と共に浮かび上がり思いを寄せる物語や、後少 しで会社の取締役に就ける所まで頑張ってきた主人公が そっちよりも痴呆を抱える父や気持ちがバラバラになり かけていた家族の方を選ぶ物語などがありました。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.12.20

  • Anony

    Anony

    感想
    暗闇に落ちていく。その恐怖。季節の色を失い、愛する人の顔が消えていく。だが声は、匂いは、手触りは残る。光はすぐ側にある。

    投稿日:2023.11.06

  • かのん

    かのん

    このレビューはネタバレを含みます

    【2023年118冊目】
    表題作、解夏の他4つの短編集で構成された一作。単刀直入に言うと、「解夏」以外全部泣きました笑

    「解夏」
    徐々に視力が失われていく主人公と、それを支える周りの人たちの話。いつ見えなくなるか分からない恐怖を戦いながらも、見える景色全てを記憶に刻みこもうとする、懸命さが光るお話でした。

    「秋桜」
    異国の地、日本にやってきたフィリピン人のアレーナのお話。日本人男性と結婚し、姑に敵意を向けられつつ、舅の温かさに助けられていた彼女。ところが、舅の死後、姑の当たりはますます強くなっていきます。例え人種が同じだとしても嫁姑問題はよくある話ですが、それを単純に描いたものではなかったです。いや、ツンデレか!泣いちゃったじゃん!

    「水底の村」
    け、結局誰の子どもだったんですか?!例え血が繋がってなかったとしてもそれでいいって、主人公は割り切ってたけど、一方で酷いことをしてしまったって悔やんでいたのが、ええい、はっきりさせんかい!となりました!話そ!とりあえず!対話から始めよ!まあ、泣いたんですけどね。駒田さんがいい人でした。

    「サクラサク」
    痴呆はつらいですよね、本人も辛いし、周りも辛い。緩やかに壊れていく父親とその息子家族の話。歯車のかけ違いで、すれ違っていた彼らですが、果たして修復できたんでしょうか。あとね、会社が気になって仕方ありませんでした。中川さんが可哀想過ぎませんか?恩を仇で返してません?旅の後がどうなったのか気になり過ぎますが、「帰ってきたところ」は泣きました。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.09.30

  • 『黒犬』の優樹(2)

    『黒犬』の優樹(2)

    このレビューはネタバレを含みます

    両手どころか両足の指まで使っても足りないほど、私には、この世で怖い人、怖い物、怖い事がある。あまりにも多すぎて並べられないほどだが、それでも、最も、一番、絶対に怖い事は決まっている。それは、視力を失ってしまう事だ。病気、怪我などで、何も見えなくなる事を、私はこの世で一等に恐れている。
    そんな臆病な私の心にぶっ刺さってくる小説が、この『解夏』だ。映画と連続テレビドラマになっているので、読んだ事がある方も多いだろう。もしかすると、その人たちも、私と同じように、目が見えなくなる、つまり、本を読めなくなる事が最大の恐怖である人かもしれない。もちろん、さだまさしさんのファンって人もいるだろう。当然と言ってしまうのは失礼かもしれないが、この『解夏』は文章の構成が、さだまさしさんの歌のように美しかった。映画とドラマ、どちらが上か、それは決められない。その上で、あえて断言しよう、この原作が最高だ、と。
    ある日、唐突に、目が見えなくなる事が決定している病に罹る主人公。彼の、自分が陥った災厄と向かい合い、受け入れ、時に、恐れおののき、絶望に浸り、そして、そんな自分を支えてくれる者の大切さを痛感し、自分が進むべき道を自分の眼で見据え、ついに、その時を迎える、この感情の流れ、その描き方、これが素晴らしい。大胆と繊細、実力がなければ、両立させる事が叶うはずのない要素が一つとなって、読み手の心を揺さぶり、涙腺を崩壊させてくる。果たして、私は、己の目が病気に食い潰され、「読書」が出来なくなる時、どのような選択を下すんだろうか、と考えながら、読み進め、答えを出せぬまま、読み終わってしまった・・・皆さんは、どうしますか?

    この台詞を引用に選んだのは、これは、さだまさしさんにしか、さだまさしさんだからこそ書ける、男の心の弱い面だな、と感じたので。
    性差別と言われてしまうかもしれないが、男の弱さってものは、女性には理解や共感がし難いものだ、と思う。もちろん、男だって、女性の弱さを、正確に把握するのは不可能だ。
    と言うか、人間は全員、違う弱さを抱えていて、一つとして同じ弱さはないんだから、他人の苦しみを100%理解するなんて、無理なのだ。
    アナタの辛さが私には理解できますよ、と言う奴は、基本的に嘘吐きだ、と私は思ってしまう。
    何だか、何を言いたいんだか、自分でも不明瞭になってしまったんだが、まぁ、要するに、この弱さの表現は的確だ、と感じたのだ。
    自分の中にある弱さ、怖いもの、と直面した時、ほとんどの男は、こういう状態になってしまうんじゃないだろうか。
    そうなってしまってしまった以上は受け入れるしかない、と頭で考えて結論を出し、心に納めたつもりでも、結局、それは自分を騙していたに過ぎない。
    この作品では、失明に対する恐怖ではあるにしろ、他の事に対する恐怖であっても、やはり、男は、こういう風に取り乱してしまうだろう。きっと、私もこうなると思う。
    しかし、こんな風に取り乱す事を、恥ずかしい、とは思わない。
    これこそが、人間らしさじゃないだろうか。
    怖いモノは怖い、それは受け入れるしかない。
    みっともなく取り乱してしまうからこそ、心に生じる余裕もあるんじゃないか?
    業と行は、一人一人で違っているし、取り乱し方も異なるだろう。
    大事なのは、生きる事を諦めず、希望を捨てず、弱い自分をあるがままに認めてやる、それだと私は思いたい。
    男は、自分の弱さを糧にし、どんなに辛い状況に追い込まれたとしても、自分の人生を、自分だけの力で切り拓き、自分だけの物差しを杖にして、自分のペースで前進していくしかないんだから。
    うーん、結局、この台詞の良さを上手く伝えられないなぁ・・・まだまだ、修行が足りないか。
    次の瞬間、隆之は空に向かって「ああっ!」と大声で叫んだ。
    今まで魂の奥底に押し込めてきた得体の知れない絶望的な怒りが、発作のように突然に隆之の身体の奥の、そう、内臓の底から火を噴きながら駆け上がってきたような叫び声になった。
    言葉にならない感情が隆之めがけて襲いかかってくる。
    哀しさと、悔しさと、恥ずかしさと、寂しさと、怒り、そして不安が一斉に隆之を襲う。
    「ああっ!」
    もう一度叫んだあと、隆之は自分の右手で拳を作り口にあてがい、強く噛んだ。
    俺は怖いのだ。本当は怖くて怖くて逃げだしたいのだ。
    俺は強くない。俺は本当は弱虫なのだ。
    ああ、一体俺はどれほどの悪いことをした報いでこんな目に遭うのだろう。
    なぜ俺だけがこのような目に遭わねばならないのだ。
    誰か、お願いだから、助けてください。
    ばあちゃん、助けてください。
    親父、助けてください。
    自分で噛んだ右手の痛みが必死で隆之の背骨を支えた。
    「助けて」だけは絶対に言わないと決めた言葉だったはずだった。
    「ああっ!!」
    隆之は振り絞るようにもう一度叫んだ。(by天の声)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.09.01

  • souta

    souta

    『解夏』
    失明した瞬間に「失明することへの恐怖」から開放される。
    こういう考え方があるんだと気付かせてくれて、少し気持ちが軽くなった。

    投稿日:2023.07.15

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。