【感想】フロスト気質 下

R・D・ウィングフィールド, 芹澤恵 / 東京創元社
(44件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
24
14
3
0
0
  • おもしろかった

    上巻で立続けに起こった事件がどたばたと片付いていく下巻。
    いつも通りのパターンなんだけど、どうしてこうも楽しめるんだろう?
    そしてどうして下品でいい加減で不潔なフロスト警部を愛せてしまうんだろう?
    回は子供の誘拐事件がメインになっていたせいか、フロストがいつもよりいい人になっていて、なんか知らないうちに一部の部下からも受け入れられていて、なんかしみじみしてしまった。
    上司を適当にあしらって、彼らに受けが悪いのは相変わらずなんだけど、あまりにも不当な扱いにフロストに同情してしまったり。
    それがフロストらしさなんだけど、読んでるこちらが歳を取ったのかな?
    何せ新刊は7年ぶりだもの。
    作者の訃報は後書きで知ったのだけど、残り2作を大事に大事に楽しみたいと思う。
    次作の出版が楽しみでもあり、寂しくもあり。
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    投稿日:2013.12.23

  • 読者に筋を忘れさせるほどの無駄な長さ

    10年ぶりの再読でほとんど内容を忘れて読んでいたが、酔っぱらって事故を起こす場面は覚えていた。
    "はぁ? 何それ"というあり得ない大失態で、主人公への共感を一気に下げてしまうような事故を何故わざわざ挟んだか?
    たまたま犯人の車に信号無視して衝突したわけでもなければ、事件解決にも、私生活の新たな展開上にも結びつかず宙に浮いたままの謎パート。

    わからないと言えばキャシディという人物の登場もそう。
    亡き娘の事故の真相究明というシリアスな役回りを持たせた割には、最後まで嫌味キャラで終始して、正直言っていらないキャラ。

    気づいたことと言えば、窮地に陥ったフロストに天啓をもたらすのは、意外にもウェルズ巡査部長キッカケという展開が多い。
    「お前さんに、〇〇という人が話したいことがあるって言ってるぞ」など。
    他にもリズから、「〇〇に話を聞きに行くことになっていましたよね」といった進言から不承不承出向いて、事件解決の道が開けることも。
    それなのに部下や科研は容赦なくコキ使われ、自身のミスで容疑者に尾行もつけず放免したり、等々力警部並みの「よし、わかった」という見当違いな見込み捜査で、超過勤務を強いられるのだから、たまらない。

    誘拐事件の解決も実はかなり無理筋で、「あの道をまっすぐ行くと...少年はそこだ」ってな具合のかなりな飛躍があって、あまりにも立証に無理があると悟ったのか、最後には証拠を捏造して一件落着。
    2つの事件で同時に指切りの謎が出てくるが、1つの動機は筋が通ってるものの、もう1つの方は明らかにされないまま終わる。
    事件自体の動機からは飛躍した凶悪さでちょっと釈然としない。

    総じて無駄なパートも多く配役もイマイチで、シリーズ中でも評価の低い感想を再認させられた印象。
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    投稿日:2021.08.06

ブクログレビュー

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  • 帆掛船

    帆掛船

    「いいか、若造、おれのことをよく知らないようだから、教えてやろう。おれはジャック・フロストという者だ。いちおうお巡りをしてるけど、あまりいいお巡りじゃないし、それほど優秀なお巡りでもない。それでもお巡りとしてやっていくには、ときには多少は横着で強引なこともせざるを得なくなってくる。容疑者を確実に刑務所(ムショ)送りにしてやるために、嘘のひとつやふたつ、つかなくっちゃならないときもある。だから、今回のことでも、おまえのようなくそ小生意気なふやけた若造をぶち込んでやるためにどうしても必要だってことになりゃ、嘘なんていくらでもついてやる。その程度のことじゃ、おれの胸はこれっぽっちも痛まない。そりゃ、そうだろう? どうせおまえが犯人なんだから」

    2023/1/22読了
    毎度の事件、事件の波状攻撃。一つのトラブルが解決する前に、次のトラブルが起るのが珍しくないのは、医療現場も同じこと。昔はただただ笑っていたけど、いや、今でも笑うけど、フロスト警部の苦労が他人事とは思えなくなってきていることに気付かされた。
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    投稿日:2023.09.15

  • kamiyajin

    kamiyajin

    あー、フロスト気質読み終わってしまった。
    上下巻合わせて、900ページという長さにも関わらず、もう読んじゃったという寂しさすら感じる。
    とにかく、クセになる。

    これで、フロストシリーズを読めるのも、あと2作になっちゃった!
    寂し過ぎるので、すぐには読まないでおこう。
    でも、読みたくなっちゃうだろあなぁ。
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    投稿日:2023.07.14

  • xan8823

    xan8823

    このレビューはネタバレを含みます

    これでもかという程に転がり込んできた事件が、ひとつひとつ解明していきます。
    血気盛んなキャシディ警部代行が、解決したと言ってるものも、フロストの勘は、間違えていると感じているので、キャシディに言わずに捜査しちゃう。
    わざとなんだか、ほんとに忘れてんだか。
    でも、フロストの勘は正しいので、一時的には、無駄な事をしているとマレット署長にも嫌味言われたりするけど、ちゃんと正しい犯人を挙げてくる。
    キャシディにとっては迷惑千万。
    だからか?フロストが、解決してるのに、「それは俺の担当のはずなのに、何で口出すんだ!」と、文句を言って、かっさらって行くキャシディ。
    それに気づかないマレット。
    本当に、上に立つ者として、ダメダメな二人。
    こんな上司の下では絶対に働きたくないけど、実際、いるんですよ、こういう上司。
    ほんと、責任は取らない。人の手柄は自分のものにする。
    いるいる。いたいた。こんな上司。
    下で働く者はたまったもんじゃございません。
    マレットさん、フロストと一緒に働くの嫌なら、あなたが、移動しなさいな。

    わーーーーっと事件が溢れかえってくるけど、解決していくときも、わーーーーーっと解決していきます。
    一番の事件だけ残して。これだけは、引っ張る。
    しかし、今回の犯人はある意味やり手でございました。
    細かすぎるんか?あ、緻密っていうべき?
    しかし、子供を一人殺害し、更にもう一人誘拐した上に、指切断してるんですから、とんでもない輩です。
    いくら、スーパーの経営者に恨みがあるとしても、そのために、全く無関係の子供をさらって、身代金要求するなんて、人でなしすぎる。
    せめてもの救いは、少年を生きた状態で発見出来た事。
    フロストの運と勘に拍手。

    キャシディが自分で過去の捜査情報調べてた、自分の娘の事件。
    アーサー格好良かったぞ!
    ほんと、ありがとうね!アーサー!
    フロストは絶対に言わないだろうから
    キャシディにとっては辛い事実だから、隠したし、杜撰に捜査したようにして、事実が伝わらないようにしたんだね。
    キャシディは、消化できなかったみたいだけど。
    アーサーがはっきり言ってくれたのは、すっきりした。

    他の解決した事件も、被害者も、犯人も、みんな、フロストには告白する。
    なんだかんだ、信頼されてんじゃないですか。

    どんどんフロストが格好良く見えてきますよ。

    美味しいとこを恥ずかし気もなく、むしろ当たり前のようにかっさらっていったキャシディ。
    元のレクスフォード署に戻って、デントンのみんなは、マレット以外は喜んでんだろうな。
    レクスフォード署には、フロストいないから、今回みたいに功績あげられる保証ないですから、まぁ、自力で頑張ればいい。

    リズはどうやら警部代行に上がれそうな気配?
    なんか、ほのめかされて終わってるので。
    バートンはリズを落とせるのか?www

    キティとのやり取りのとこ、泣けました

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    投稿日:2023.04.16

  • korosk

    korosk

    フロストは裏切らない。 マレットのしつこい嫌味も今回助っ人として戻って来たキャシデの自己中で自分勝手性格も、勢いが増している。フロストのだらしなさやお下劣で下品なジョークも健在だ。しかも上下巻なので長い!全てが盛り盛り。ゲップが出る程盛りだくさんである。でも…なんだろう…フロストの人間性や心根の温かさが根底に流れていて…やっぱりフロストは面白い。続きを読む

    投稿日:2023.01.27

  • 家計法廷

    家計法廷

    このレビューはネタバレを含みます

    フロスト警部シリーズの4作目。

    今回も同時並行で様々な事件が舞い込む。
    ゴミ山に放置された死体に少女誘拐事件、老人ばかりを狙う強盗、腐乱死体などなど。
    相変わらずデントン市って治安が悪い笑

    起きてる事件は凄惨なものが多い中、フロスト警部の捜査が面白おかしく描かれる。ここまで笑いながら読める海外ミステリもそうそうない。
    日本語訳の秀逸さではトップでなかろうか。

    相変わらずのセクハラ親父でどうしようもないけど、魅力たっぷりなフロスト警部シリーズも残すところ2作。ゆっくりと楽しみたい。

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    投稿日:2022.07.21

  • 瑠璃色

    瑠璃色

    フロスの毎度はずれる直感をそのまま丁寧に書いているので、捜査が空振りに終わっている時間が長い。その試行錯誤いいのかもしれないが。
    すべての事件がテーマで結ばれ一貫している。これだけ長い小説の色々な事件がすべてまとまっているのは見事という他ない。
    次は「冬のフロスト」を読む。
    続きを読む

    投稿日:2022.06.11

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