【感想】脳が壊れた

鈴木大介 / 新潮新書
(93件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
35
23
18
2
1
  • 私も脳が壊れかけた

    私自身、脳梗塞で緊急入院を経験し、回復期リハビリ病棟の外泊が許された頃に、退屈な入院生活に何冊か本を買い込んだうちの一冊が、この本でした。
    私は著者の鈴木さんよりはずいぶん症状が軽かったようですが、脳梗塞という病気を知ることに加え、周りの支えに対する感謝や、そもそも病気になった原因が自分にあったことなど、本書に出会わなければ気付かなかったことも多々あり、大変にためになりました。
    読書しながら涙を流し、声を上げて笑いながら泣き、自分にも軽度ながら感情失禁の症状があることを確信することもできました。
    著者鈴木さんと奥様に、感謝しております。
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    投稿日:2017.01.22

ブクログレビュー

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  • rafmon

    rafmon

    突然の脳梗塞。命は取り留めたが、外からは見えない障害。当事者が語る。

    高次脳機能障害とは、脳卒中などで脳の一部を損傷し、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能の一部に障害が起きた状態をいう。著者は、発話や行為に一部不自由が生じたようだが、これが周りからは分かりにくい。例えば、半側空間無視なんて知らなかったが、どちらか左右の空間を認知出来ず、極端に言えば左半分もしくは右半分の空間がなくなってしまっている状態。著者は、片側に何か嫌なものがいる感覚と語る。

    脳梗塞後には、感情のコントロールができなくなる「感情失禁」になる事も。穏やかだった人が急に怒り出すなど。著者もこの状態に時々陥る。

    大変な事だが、本職ライター。面白おかしく、読みやすく。何よりほのぼのとした気持ちになるのは文面からも伝わる夫婦仲、奥様愛。発達障害で日常生活も一見無茶苦茶に見える奥さん。でも、そこをお互いのできる事で補い合う魅力的な夫婦。

    脳梗塞後のリアルとそれを抱えながらの仲睦まじき?夫婦生活。本著の魅力は大きくこの二点。他人事ではないです。どちらも。
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    投稿日:2024.04.07

  • dai-4

    dai-4

    養老チョイスから。文筆家が脳障害の当事者になる。性状や程度によっては、復帰困難のレベルまでダメージを受けた可能性もあろうけど、著者はそれは回避できた。もちろんリハビリの成果も多々あろうけど、運の要素もかなり大きい。さておき、内容は何といっても、当事者がどうやって能力を回復させていくのか、その詳細が分かりやすく書かれていること。あと本筋からは外れるけど、本書の最後らへんでチラッと登場する父親が、かのネトウヨ新書で語り直された訳ですね。なるほど。続きを読む

    投稿日:2023.07.24

  • Kura Naoki

    Kura Naoki

    高次脳機能障害の当事者研究でここまで詳細な記録ははじめて読みました。
    専門職なら必読書としていいのではないかと思えるほどに示唆に富んだ内容でした。

    投稿日:2023.05.26

  • masudahidehiko

    masudahidehiko

    脳出血で後遺症が残り、見た目は普通なのだが内面的にはいろいろな障害が残った状態になった作者の、発症・回復・リハビリの過程と現在の困っていることなどを書いたセルフドキュメンタリー。脳の機能不全という観点では、脳で何か病気があった人ばかりではなく、もともと脳の個性として不全を抱えているような人の行動を理解するための示唆に富んでいる。みんながみんな、自分のように感じられたりするわけではないし、行動できるわけでもない。とても実感を持ってそのことが感じられる。続きを読む

    投稿日:2022.12.15

  • e-krh51

    e-krh51

    倒れた後のこととか、心身の不具合など、本当に細やかに噛み砕いて書いてくださってて、とても参考になりました。
    これまで取材であった人たちのうまくいかなさも、比べて書いてある内容も、当事者ならではの視点で、新しく、すごくよかったです。続きを読む

    投稿日:2022.11.01

  • Kiki

    Kiki

    読了。脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害を負ったことを「僥倖」と捉えられる著者の精神力に驚いた。もしも自分だったら、そんな風には到底思えない。
    YouTubeの「障害とパートナーシップ会議」をたまたま見て、なぜそんなにも大介さんが自身の「加害」とか「モラハラ」について繰り返し言及するのかと疑問だった。だって、発達障害の当事者として見ても、大介さんのおかげでお妻様は生き延びてこられたんじゃないかと感じたから。
    けれど、本書を読み進めるうちに、大介さんの異常なほどのマイルール狂なところや、ワーカホリック、過度の節約が、自身が「性格習慣病」と名付けたように、病気を引き寄せてしまうほど度を超えたものであり、生活を共にする者から見たら「モラハラ」と非難されても仕方ない域なのかもしれないと理解できた。
    病前の、お互いがお互いの欠点を引き出してしまっている関係。というか、本来強みである部分も、使い過ぎたり全く発揮できないと短所になるという、ポジティブ心理学のVIA診断の「性格の強み」にも通ずるお話だと思った。
    病気になるほどのストレスとか、無理の積み重ね…。そのおかけで分かり合えたけれど、2人とも死んでてもおかしくなかったわけで。そんな怒涛の展開はできれば避けたい。日々のたゆまぬチューニングで、良好な関係を作っていけないだろうか。
    私自身、不得意なことが多くて生活の中で夫に色々と背負わせ過ぎてる気がする。夫に大介さんのような過度なストレスを与えたくない。一方で、自分の役割をどんどん手離してここまできて、無力感に苛まれることがよくある。夫に病気になってほしくない。私も、度重なる希死念慮とさよならしたい。どうしたら良いんだろう。とても考えさせられた一冊。読んで良かった。
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    投稿日:2022.10.01

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