【感想】どちらとも言えません

奥田英朗 / 文藝春秋
(30件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
5
15
6
1
0
  • スポーツ好き、あるいは興味がある方なら楽しめると思います

    奥田さんのエッセイは何冊か読んでいますが、プロ野球を心から愛する人で、合理主義者だが妄想家、個人主義者だけど人間観察が好き、といったところは共通していると思います。この本は総合スポーツ誌であるNumberに連載されていたこともあり、野球の成分が多めではありますが、広くスポーツそのものについて書かれているのが特徴でしょうか。

    奥田さんの小説にも通じる、シニカルなユーモアが随所にちりばめられており、くすっと笑えるものから、ツボに入ると笑い転げてしまうものまであって楽しい本です。シニカルさがいきすぎると、ただの攻撃になってしまうのですが、愛情というか人としての優しさにくるまっているので、不快になるほど攻撃的なところはなかったです。

    間口はかなり広いと感じましたので、スポーツ好き、あるいは興味がある方なら楽しめると思います。蛇足かもですが、目次を下に書いてみました。雰囲気がすこしでも伝われば!

    スポーツにおける悪役の経済効果
    プロ野球おやじの目に映ったJリーグ
    WBCでわかってしまったアメリカ式の行く末?
    校歌好き早稲田大学は内輪で盛り上がる?
    どれほど野球選手をリスペクトしているか
    中年男子は昔日の雄姿にむせび泣く
    スポーツの階級と門外漢のジャパニーズ
    広島新球場と日本人の芝生コンプレックス
    プロ野球の監督には利権がいっぱい
    引退セレモニーはもういらない
    スポーツチームはオーナーの道楽である
    今こそ振り返る十二年前の恥ずかしい過去
    改めて考える日本人サッカー不向き論
    根が深いスポーツの力関係
    サッカー、番狂わせゾーンの快楽
    W杯でサッカー選手の顔を考える
    メダルの価値と五輪の大本営発表
    用具はドーピング?ならば原点回帰を
    結果待ち協議と観るもののジレンマ
    野球選手と名前の相性についての考察
    嗚呼、花の運動部はどこに行った
    わが国にもビート・ライターを
    ジャイアント馬場と柴田錬三郎
    猛暑人運動部の相性についての考察
    スポーツは報復合戦の宝庫なのである
    日本シリーズが国民的行事だったころ
    才能の配置は神様が決めるものだった
    個性より個品は日本人独自の価値観
    スポーツにおける阿吽の呼吸について
    スポーツの楽しみは、語る楽しみなり
    続きを読む

    投稿日:2016.09.22

  • 憎らしくも愛しい存在

    何かのファンであればこそ、その対象について往々にして悪態をついてしまうもの。
    思い通りにいかないアレコレにイライラしてしまうのは、ファンの宿命ですね。

    どうやら奥田英朗も、好きだからこそスポーツには語りたいことが多々あるらしい。

    長嶋茂雄の引退試合にあえて主力選手を出さなかった中日のエピソードをもとに、スポーツの政治的側面について語る章があるかと思えば、野球選手と名前の相性について難癖をつけ始めるなど、ファンならではの視点で勝手気ままに思いの丈をぶちまけます。

    本書で奥田自身が綴っているように、スポーツは”する”のももちろん楽しいのだけれど、”語る”のも醍醐味のひとつ。
    選手たちをけんもほろろに切り捨てつつ、彼らに対するリスペクトもちゃんとにじませる腕前は、さすがです。
    続きを読む

    投稿日:2015.03.03

ブクログレビュー

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  • 7591

    7591

    少し昔の話が多いけど、奥田サンの興味やスタンスは、好きです。こうしたコラムのテイストがそのまんま、あの伊良部シリーズになっているんですね。

    投稿日:2023.06.17

  • いっちー

    いっちー

    一般的にミステリー作家として認知されている(?)奥田英郎さんが2009年から2011年の期間で、サッカー、野球、プロレス、相撲について書かれたエッセイです。熱狂的なドラゴンズファンの奥田さんが思う江川事件だったり、WBCだったり、サッカーワールドカップだったり、八百長問題だったりと、好き勝手な事をテンポ良く書かれており、非常にエンタメ性が高い作品です。非常に辛辣な意見も見られますが、同意出来る部分も沢山ありました。奥田英郎さんのミステリー作品を読んだ事が無い方も是非、一読を!続きを読む

    投稿日:2021.01.03

  • リコル

    リコル

    手術のため入院する父へ買って、先に読ませてもらいました。
    一編が短いエッセイで、笑える内容。
    新型コロナのせいで面会もなかなか出来ないなか、この本で時間を過ごしてもらえるかな。

    投稿日:2020.07.26

  • ノート

    ノート

    気楽に楽しく、スポーツの歴史を学べる。
    広く浅くいろんなスポーツに興味持っている人は楽しく読めるはず!

    投稿日:2020.04.26

  • shiho-k

    shiho-k

    作家奥田英朗氏による、スポーツ評。
    雑誌「Number」に掲載されたものをまとめたもの。
    著者独特の視点で、面白可笑しく読んだ。
    非常に辛辣な部分もあるが、それがまた可笑しい。
    「スポーツの楽しみは、語る楽しみ」とあるが、本当にそのことを体現している内容である。
    娯楽としてお勧めの一冊。
    続きを読む

    投稿日:2018.09.16

  • saga-ref

    saga-ref

    昔monoマガジンを愛読していた頃、著者のコラムが面白くて、それだけ切り抜いて保存していた(今はない)。だが、氏の著書はまったく買ったことがなく初読み。野球やサッカーを中心としたスポーツエッセイで、文体はあの頃と変わりなく面白い。「伝説は一夜にして生まれても、伝統というのは、一度や二度の快挙で形作られるものではない。」とは、日本がサッカーw杯初出場を果たした時の話題での文章だが、痛いところを突かれた感じ。続きを読む

    投稿日:2017.08.29

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