【感想】ニシノユキヒコの恋と冒険

川上弘美 / 新潮文庫
(357件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
69
111
123
20
5
  • 奥が深いなあ…

    基本的に、いわゆる、スケコマシの男性の話なのだけど、スケコマシ、としての名言がたくさん描かれています。
    西野さんは、○○(女性の名)のどこがいいの?と聞かれ、
    ああ、僕もそれを誰かにおしえてほしいんだよ、との返答。
    そんなこと言われたら、聞いた方が困ってしまう。
     決して、ギラギラとしたスケコマシ、ではありません。
    自然な、流れるような、爽やかなスケコマシです。
     さらに、自分が恋愛相手を振る側には、決してならない。
    ならない、のか、なれない、のか、も微妙。
    女が放っておかない男、っていうのは、こういう人のことをいうのでしょうか?
    自分の周りにいないか考えてみたけれど、何度も何度も考えてみたけれど…いないよなぁ。
    でも、いそうな気にさせてしまう作者がすごいと思いました。
    続きを読む

    投稿日:2014.09.10

  • 読み終わった後も想像が膨らんで止まらない

    この小説はニシノユキヒコが主人公だが、直接的には登場しない。
    年齢、職業などが異なる女性たちが、
    ニシノさんについて1人称で語るオムニバス形式の小説である。

    登場人物の女性がニシノさんについて語る度
    実際には登場しないのにニシノさんのイメージが次々に浮かんでくる。
    「いい男だと思うけど、私はたぶん付き合わないな」など、
    本当はどこかに実在しているんじゃないか、とさえ思えてくる。

    話を読むうちに、友人の恋愛トークを聞いているような気分になって、
    「それで?次はどうなるの?」と続きが気になってしょうがない。

    読み終わった後も「あの女性たちは、どこかで出会ったらどんな話しをするんだろ?」と気になってしょうがない。

    あの女性たちが全員知り合いになったら、ものすごく仲良くなりそう。
    仲良くなった証に「ニシノ会」なんてオフ会が行われたりして。
    「ニシノ会」が開催されたら、私もぜひ参加したいな。

    読んでいる最中はもちろん、読んだ後も想像が膨らむ楽しい1冊である。

    川上弘美さんの作品はほとんど読んだが、その中でも1、2を争うほど好きな話だ
    続きを読む

    投稿日:2015.08.22

ブクログレビュー

"powered by"

  • 水尾

    水尾

    ニシノくん、ニシノくんよ。
    ニシノくんに思いを馳せてしまう。
    沼にハマる気持ちがよく分かる、魅力的な男。

    ニシノユキヒコと、彼に恋した女の子たちの話。
    物語が淡々としていて、だけどその場の空気がじわじわと読み手にもよく伝わってきた。

    自分は軽い付き合いとか、不誠実な恋はしたくないので全体の物語、登場人物には共感することは出来なかった。だけど、それぞれの女の子たちの、恋や愛に対する考え方に、なるほどな〜とか、わかるわかると頷いたりした。

    たとえば、
    「好きになっちゃうと、相手がどんな年でどんな癖があってどんな性格か、なんて、ほとんど関係なくなっちゃうんだね。」(231ページ)
    とか。

    好きな人って、好きな人だから好きなのであって、仮に洋服が自分好みでなかったり、顔がタイプじゃなかったとしても、どうしたって好き。と、思うので、とても共感した。

    ニシノくんに恋したときに、彼のすべてを許してしまった、的なことを語り手は言っていたけど、恋って全くその通りだと思う。
    すべて許してしまう。それがいいことなのか、悪いことなのか。いいことでも悪いことでもあるんだろうな。

    物語には共感できなかったけど、やっぱり川上弘美の書く世界が好きで、空気感とか、細かいところがたまらなかった。
    たとえば、冷蔵庫のことを「ぞぞさん」と呼ぶ女の子だったりとか、「ニシノさんはパフェのことを『パフェー』と呼んでいたなあ」と思い出したりとか、そういう、細かいところ。好きです。

    一番はじめのお話が好きだった。
    年とってまた読み直したいです。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.19

  • 青葉

    青葉

    川上弘美の小説は久しぶりに読んだけれど、これも大好きだった。ニシノユキヒコ、女たらしのような男なのに、どうしてか憎めないのはなんなんだろう。ニシノユキヒコという名が作品タイトルに入っているけれど、語りは彼ではなく、彼と関わった女の子たちだというところがよかったな。短編集みたいで読みやすかった。続きを読む

    投稿日:2024.02.14

  • 詠

    キュンキュンとかでは、ない笑
    けどほどよく恋愛小説で、人物描写が細かくて、人間分析的な視点で読めるおもしろさがあった。

    投稿日:2024.02.13

  • 灯

    本のイベントで出会わなかったら(あらすじなんかをもっとよく知っていたら)買わなかったろうなぁと思うくらい自分好みではないのだけど、不思議な魅力があって一気に読み切ってしまった。
    ニシノユキヒコについて10人の女性が語る、年代別のニシノユキヒコは人生経験によって少しずつ人物像が違う、けれどいつだってどうしようもない奴というか、なんというか。
    あとがきにもあったけれど、自分の友だちがこの人に引っかかってたら全力で止めるタイプ。
    絶対やめといたほうがいい。
    でもお話としてニシノユキヒコの存在が成り立っているのは、その悲しみや抱えているものがわからんこともないから。由来がわかるからというか。
    あと、ニシノユキヒコについて語る女性たちはみんなどこか一歩引いていて、狂い切ってない感じも良い。修羅場にならないというか、苛烈さがないというか。静かに沈み込むような感情の冷たさがある種心地良かった。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.31

  • chisa

    chisa

    久々に川上さんの作品。
    ニシノユキヒコと関わりのあった女性の目線での短編集。
    淡々とした描かれ方で、さまざまな人の目線で描かれるのに、つかみどころのない西野くん。でもこういうつかみどころのなさが魅力の人はいるんだよなあ。続きを読む

    投稿日:2023.10.31

  • sousouyuhyuh

    sousouyuhyuh

    仕事もなんでもそつなくこなす西野くん。これだけたくさんの人と交わっても誰も愛せなかった流れを読むと、なんだか泣きたくなりました。今で言うメンヘラ製造器とはまた違う、女性の懐にするすると入っていく西野くんの魅力に参りました。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.21

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。