【感想】二十歳の原点

高野悦子 / 新潮社
(168件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
27
44
65
7
0
  • 「どうでもいい」と言う口癖が本当の自分であるのに・・・

    孤独と寂しさと自分の未熟さを隠すように、学業そっちのけで仲間と大学闘争に明け暮れて自分を見失っている。当時これがノンフィクションとして世間に晒され、大ベストセラーになったと言うことにも違和感もある。

    しかし、1人の女性として恋に悩み孤独と戦いながら少しずつ少しずつ自信を取り戻しながらも、やはり孤独の闇から這い上がれない最後の6月以降の日記は読んでいて痛々しい。まだ20歳だ。
    明るく振る舞って未熟じゃない自分の殻を被ってたんだろうが、周りにも彼女の変化は気づかれるほど崩壊してたのかもしれない。
    友の言葉が心に突き刺さる。合掌。
    「この季節を過ぎてさえ入れば今も幸せに家族を持っていただろう」
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    投稿日:2017.02.16

  • 今の大学生はどう読むか

    学生運動が盛んなころの京都の大学での女子学生の日記。
    人間関係に悩み、自分の存在に悩み、社会への怒り、不安、すべてがここに書いてあります。

    投稿日:2013.11.25

ブクログレビュー

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  • 霞

    去年古本市でふと目に止まって購入した本。二十歳を目前にして読むべき本だった。出会えて良かった。
    特に「独りであること」について彼女は何度も思考を巡らせている。考えることは苦しい。それでも考えることをやめない、向き合うことをやめないこと、それが彼女を支えて、やがて追い詰めたのか…。学園紛争の最中、この本の時代の大学生、大学の様相は今とはあまりにも違う。彼女が綴った日記は正直で、赤裸々で、理想と現実の狭間でもがいている。読んでいるこちらも苦しく、恥ずかしく、彼女の感情の波に飲まれていった。ときおり挟まれる美しい自然の詩は、現実を離れ、心の羽を伸ばしているようだ。
    自分について、大学について、孤独について、性について、労働について…50年前の同い年の学生がここまで自分の周囲の物事を深く、内省的に考えていたことに驚き、その熱量に圧倒された。彼女の人生の最期の半年間。薄い本だけどとても重かった。
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    投稿日:2024.04.29

  • お雑煮

    お雑煮

    このレビューはネタバレを含みます

    感じていること、焦燥感、希死念慮、厭世的な姿勢、自分は優れているという欺瞞、それに見合わない実力と努力できない自分への失望、劣等感
    そのまま私すぎて、私と違い、言語化が上手で面白くて一気に読んだ

    学びに貪欲になりたい

    自分を律する力を、自分のものとしてやりたい


    面白い本を読んでいる時の人生の輝かしさというのは、慢性的な希死念慮をも凌駕するな
    そのおかげで今まで生きてこれたのではないかと、少し思う
    もちろんそれだけではないにしろ、かなりの割合を占めるのではないだろうか

    私の孤独を肯定されたみたいで、心が和らぐ


    事前知識無しに読み始めたのですが、2冊目最後まで読んだら、まさかの高野悦子さん自死していた
    こんなに言葉選びが上手で言語化が上手だったら、そのまま詩人にでもなったのかしらと思いながら読んでいたのに

    別にその選択を否定するわけではないが、私自身が、彼女のその後の生き方や、その後生きていく中で彼女から生み出されたであろう言葉や感性を知りたかったと思っている

    この気持ちの終着点が自死しかないなんて言わせない

    抗ってやるのだ という気持ち


    この本がベストセラーということは、多かれ少なかれみんなこのような気持ちと向き合っているのだな
    そして、乗り越えて、高野さんから言わせれば妥協をして、生きているのだな


    私もね、ほどほどに内省して、生きていくことにしたんだ
    生きていく中で自分にたくさん妥協しているけど、その中で少しでもマシになろうと日々戦っている

    高野さんが見れば、軽蔑するんだろう

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    投稿日:2024.04.22

  • 桐田

    桐田

    彼女はこの日記が出版されいわゆる「名が知られた存在」になった。でも(闘争以外は)同年齢の私と同じところがいくつかあったので、読んでいるうちに彼女が自分の友達みたいな存在になっていった。だからこそ最後の詩を読むのが辛かった。
    なぜ彼女が自殺を選んだのか、要因はいくつか考えられると思う。でも考えること自体ナンセンスなのではないかと思う。

    ちなみに、読む時は物理的に独りで、できれば個室にいる時がおすすめ。
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    投稿日:2024.04.03

  • useless2

    useless2

    このレビューはネタバレを含みます

    青春というものは如何なるものかを思い出させてくれる本。読んでいると、自分が生きていること、存在していることに不思議な自信が湧いてくる。
    全共闘の時代に自殺した大学生の手記。終始灰色なトーンで日々の生活や心情が綴られている。理想と未熟な自分のギャップに悩み、自分の弱さをいつも反省している。
    一方で、時々に綴られる詩や自然の描写はとても美しい。純粋無垢な心を持ちながら、仄暗い自己批判を続けているアンバランスさが愛おしい。

    漠とした不安を抱きながら、形のないものに真剣に悩む経験こそが青春だと思う。
    そして、自分もこのような経験を持っていることを時折思い出す必要があると思う。
    年を取ると青春を経験できなくなってくる。青春には孤独が必要だが、孤独は特権だ。孤独を手放さなければ、生活ができなくなる。生活のために、仕事、家庭、お金など目に見える具体的なものに悩むようになる。具体的なものは自分の外にあるものだ。他人や社会によって、常に変わっていく。青春を忘れてしまうと、これらに右往左往することになる。
    この本の中で「青春を失うと人間は死ぬ。」という言葉が書かれている。青春を失うことは精神の熱的死だ。青春という経験を思い出すことで、自分の中に目を向け直すことができる。1個の自分というものを意識することができる。現実に対する1個の自分。それが存在の矜持と自信。

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    投稿日:2024.03.05

  • planets13

    planets13

    自らの未熟を許せぬまま、苦悩と錯誤の最中に沈没していくよう。抜け出せるだけの何かがなかったのか、あるいは必要以上に深みにはまってしまったのか。

    投稿日:2023.12.24

  • オモテ

    オモテ

    50年前のある20歳の人は京都でこんなことを考えながら学生時代を過ごしていたのかと思うと面白かった。
    読んでいて、当時の学生闘争の匂いと生活が感じられた。

    投稿日:2023.11.25

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