【感想】薬指の標本

小川洋子 / 新潮社
(670件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
158
217
191
37
3
  • 緊張感がたまらない

    表題作と『六角形の小部屋』の2点を収録。
    どちらも不思議というか不気味な設定の話だけど、緊張感があって惹き込まれる。
    小川洋子の作品は、『博士の愛した数式』しか読んだことがなかったけど、設定も面白いし、読ませる力も持っているので、もっと他の作品も読んでみたくなった。
    点数は五つ星にしようかとも思ったけど、実質4.5ということで。
    続きを読む

    投稿日:2015.10.03

ブクログレビュー

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  • 1973574番目の読書家

    1973574番目の読書家

    表現がたまらなく好きで読む手が止まらなかった。2作とも取り憑かれたかのように人に吸い込まれていく主人公が印象的だった。もちろん私自身そんな思いを抱くような人や場所に出会ったことはないが、いくら危なっかしいとは言えそれも運命なのだろう。続きを読む

    投稿日:2024.05.06

  • アラエッサ

    アラエッサ

    このレビューはネタバレを含みます

    『薬指の標本』
    薬指の欠ける描写がグロテスクでありながら面白かった。サイダーが桃色に変わる。
    きのこの標本の少女が成長して、今度は頬の火傷を標本に。標本技術士・弟子丸以外は踏み入れることの無い地下にある標本技術室にその女性も入り、標本にした模様。それに嫉妬する主人公。p73
    亡くなった文鳥の標本を依頼しにきたおじいさんは50年靴磨きをやっていたために、恐ろしく足に馴染む革靴を見抜き、過去にみたそれは、兵士の義足用のものだったと語り、いっそその革靴を標本にしてはどうかね?というので話の結末として、標本にするのは薬指か、革靴か、の選択肢となった。
    薬指なら弟子丸氏の地下に行き彼のものとなるし、革靴なら弟子丸氏と区切りを打つこととなり自由になる。
    結局、題名通り薬指を選んで地下へ向かうのだが、その後どうなったかはわからない…という終わり方が良かった。

    『六角形の小部屋』
    小部屋に入れば誰にも聞かれず好きなだけ語れて、24時間あいているので思い立った時にサッといけて、あわよくば、雑談仲間でもできるようなそんな場所。私にもあったらなと思った。
    長く小部屋にとどまると、神経のバランスにぶれが生じて困ったことになるという。p150
    まぁそうだろうな。精神の安定として依存しすぎると、現実との区別がつかなくなりそうだ。
    なので主人公がある時、転がりでるように小部屋から出た時には、「繊細な話をしたから…」ということから、これ以上は危険だと判断し、主人公が気絶するように眠り込んでいる間に撤収してしまうユズルさんとミドリさん。p172

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    投稿日:2024.05.04

  • たんば

    たんば

    主人公の女性が弟子丸氏に惹かれ、底に落ちていくようなスピード感でページを捲る手が止まらなかった。【女性の危うさ】と言えば思春期時代の少女が思い浮かぶが、20代前半の思春期から成人への移行期間も、その時特有の危うさがあると思う。10代より客観的な視点を持っているが、意思決定にそれを用いられる程理性的でない。10代とは違い、保護者もなく自由の身で、行動力がある。ちょうど主人公と同年代である自分や周りの友人と重なるストーリーで恐怖すら感じながらも、文体の美しさに恍惚とさせられた。続きを読む

    投稿日:2024.04.28

  • kayohiro

    kayohiro

    どんどんと、何かに取り込まれていき、進んでなくしていく。薬指だけでなく、ぴったりの靴にとりこまれる足や、主人公の理性もゆっくりと、尋常ならざる関係の中で取り込まれていく。薬指を捧げるのか、それとも薬指からみて身体を失くすことなのか、視点を変えると面白い続きを読む

    投稿日:2024.04.23

  • skmths

    skmths

    どんどんと、何かに取り込まれていき、進んでなくしていく。薬指だけでなく、ぴったりの靴にとりこまれる足や、主人公の理性もゆっくりと、尋常ならざる関係の中で取り込まれていく。薬指を捧げるのか、それとも薬指からみて身体を失くすことなのか続きを読む

    投稿日:2024.04.23

  • ハルカ

    ハルカ

    “世にも奇妙な物語”のような空気感を纏った、
    美しくひんやりとした物語2篇。

    物語の中では”奇妙さ”については
    何も明かされない。

    2つの物語の主人公は
    時に安らぎも感じる奇妙さと佇まいに
    どんどん引き込まれていく。

    語られないからこそ引き立つ魅力、
    というのは往々にしてあるだろう。

    それを取り巻く小川さんの品のある言葉選びが
    我々もどんどん世間から引き離していく。

    いつも小川さんの小説を読んでいると世界が無音になっていく。

    弟子丸さんにとっての靴はどういう意味を含んでいたんだろう。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.06

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