【感想】社会の真実の見つけかた

堤未果 / 岩波ジュニア新書
(53件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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19
9
2
0
  • あなたの持っている情報ははたして真実ですか?

    私達の多くはインターネットの情報があまり信頼できないことを知っています。しかし、新聞やテレビについてはどうでしょうか。多くの人は鵜呑みにしているだけだと思います。はたしてそれでいいのでしょうか。
    この本では発信される情報を受けとるだけであることの危険を多くの分かりやすい例を交えながら説明してくれています。そして、その上でただ情報を鵜呑みにしないためにはどうするべきであるのかということについて述べています。
    よりよい世界を望む全ての人、特に若い人に読んで欲しい一冊です。
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    投稿日:2013.10.13

  • ある意味ホラー。

    第一章 戦争の作りかた 三つの簡単なステップ
    第二章 教育がビジネスとなる
    第三章 メディアがみせるイメージはウソ?ホント?
    第四章 社会は変えられる

    上記の構成で、それぞれの章でアメリカでの話を例に、取材を受けた側の体験談として具体的に、かつ臨場感たっぷりに、苛立ちや、憤りとともに問題点が語られています。
    体験談と共に文章化することで、頭ではなんとなく分かっている気がしていることを、明確にしてくれます。
    読んでて正直、恐ろしいと思いました。まあ、この本だけ読んで鵜呑みにすると、この本の存在価値の否定になりますけど…。
    筆者の意見は全く以てその通りと思えることですし、ためになることも多いです。
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    投稿日:2013.11.13

ブクログレビュー

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  • 横

    社会の真実の見つけかた
    著:堤 未果
    紙版
    岩波ジュニア新書 673

    メディアが流す情報をうのみにしていては、社会の真実は見えてこない
    情報を読み解く力を身につける大切さを語る書です

    ■戦争

    時テロ以降のアメリカは、どうも、戦前の日本のようだ
    治安維持法のような法案ができ、戦争に反対の意見は、封じ込められて、戦争反対者は逮捕され、拘留される

    どの国でも、戦争開始直前の報道には、自由、民主主義、解放、正義、報復、自衛などの言葉がちりばめられる
    そして、相手側には、理屈の通じない、悪魔のような、非道な、といった表現が使われる

    テロに対する深いショックと怒りが高まるほどに、祖国への強い愛が湧いてくる

    テレビも新聞も、テロリストの恐怖、そして、3000人の被害者と遺族についての情報を洪水のおゆに流し続け、みな恐怖に呑み込まれ、他のことは考えられなくなってしまったのだ。

    「死の商人」とよばれる軍需産業にとって、恐怖はもっとも親しいパートナーになる

    米国が戦争を始めるときは、いつもそうだ、米西戦争、太平洋戦争、そして、9.11テロも。

    その裏にあるはずの歴史や、民族や、政治的利害関係のような複雑なところに目を向けなかったことが、大きな間違いだったと思う。

    あの時のアメリカの国民に選択肢などなかった。
    テレビや新聞、ラジオがふりまいていた情報は、敵、か、味方、か、善、か、悪。
    手の中のカードは、戦争vs平和、ではなく、戦わず自由を奪われるか、自由を取り戻すために戦うか、の2枚しかなかったのだから。

    ■教育

    全米に広がる教師のインチキ合戦
    教師による大規模なカンニング事件がおきていた ⇒子どもたちの成績によって特別ボーナスがでるから

    アメリカ国内の公教育が荒廃し続けているのは、現場の教師の責任だろうか
    ⇒ 教育が国の責任であるという議論が抜け落ちてしまったからです

    肥満児が?なぜですか?
    ⇒ 体育の時間が大幅に減らされたからです。学力テストに関係ないから

    行き場のない親たちの不安やストレスが、教師に向かうということです。
    テスト至上主義や罰則だけで厳しくしても、結果がでないばかりか、教師や親、そして、最終的には子どもたちを追いつめてしまう

    7年でかけ金が2倍になる投資「チャータースクール」
    オバマ大統領の「予算獲得レース」の条件で最も大きな目玉は公立高校の民営化だ
    チャータースクールは、投資先としては優良の商品ですね

    2008年、ブロード基金とゲイツ基金が共同で6000万ドル出資した教育キャンペーンの柱は、
    授業時間の延長と、能力給方式の強化だった

    かつて、チャータースクールは、市民運動のひとつだった
    今は違う 巨額の資金と市場原理に後押しされ、何千ドルもするスーツで国会に出入りするロビイストたちを抱える巨大な産業のひとつになってしまった

    ■メディア

    テレビ社会のアメリカでは、日本のように新聞を読む習慣がない
    ⇒ でもある時から、テレビが流す情報について疑問をもつようになったんです

    世界中のニュース報道を比べてみる
    ⇒ ウィキリークスのハッカーたちは、ネット情報の最大の弱点が情報の信頼性であることをちゃんと知っていた

    偏った見方にならずに、全体像をつかむにはどうすればいいのか
    ⇒ まず手始めに、各メディアのニュースに注目すると良い

    アメリカでも記者が現場に行かず記事を書くケースがふえている
    ⇒最大の理由は会社側の経費削減ですが、自分の足をつかって現場に行くより通信社からの情報で書くほうがらくだから

    情報の信ぴょう性をだれかが保証したとしても、それらが本物かどうかは、自分で調べなければならない

    インターネットとは、単なる進化した道具の1つであるということだ

    インターネットの情報は単なる材料の1つでしかない

    ワイドショーやスキャンダルは、重要ニュースとセットになって出てくるとみるべきでしょう
    憲法改正レベルの重要法案の成立のニュースは、アイドルの逮捕報道にかき消された

    ■社会は変えられる

    しあわせになりたきゃ、選挙にいけ

    高齢者たちが政治家に圧力をかける道具が数であれば、若者だって負けていないはずだ

    違いがあるとすれば、自分たちの世代が、不信感からすぐに選挙に行かなくなるのに対し、高齢者たちは、けっして途中であきらめない

    社会を変える力をもつのは、いつだって、あきらめず、投票をし続けるグループだけだ

    代議士だって、ちょくちょく顔をみにきてくれるような相手のほうを大事にするにきまっている
    そういう相手の為に動けば、見返りもあるし、充実感も得られる

    一生懸命自分を売り込んでも肝心の選挙の日に投票にも来てくれないような相手に何かしたいと思うか

    選挙に来ない若者や政治に無関心な連中は、政治家たちにとって都合のいい透明人間と同じなんだよ

    彼らは選挙が終わっても、引き続き、そのテーマについての状況を会報やホームページに載せ続ける
    それを改善するために必要な法改正はこれとこれで、今この時点にいますという具合に、ひと目でわかるように工夫されているのだ

    選挙と選挙の間こそ本番なのよ
    社会を変えるためには、ある一時期だけ燃え上がるだけではだめなの
    毎日の生活の中でその火を絶やさないようにする地道な努力の積み重ねがある日大きな結果を出すんだから

    最高の投資商品がある、それは、若者への教育です

    インターネットが国境を消しつつある今、語学力は何よりも最大の武器になる
    英語だけは、簡単な文章を読めるくらいにしておこう

    目次
    第1章 戦争の作りかた―三つの簡単なステップ
    第2章 教育がビジネスになる
    第3章 メディアがみせるイメージはウソ?ホント?
    第4章 社会は変えられる
    あとがき

    ISBN:9784005006731
    出版社:岩波書店
    判型:新書
    ページ数:224ページ
    定価:940円(本体)
    発売日:2011年02月18日第01刷
    発売日:2016年05月16日第11刷
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    投稿日:2024.04.03

  • 1848100番目の読書家

    1848100番目の読書家

    これはこれで、著者の思い入れ的バイアスが結構掛かってそうだったから、その辺り
    を割り引いて消化する必要があった

    投稿日:2023.10.18

  • だい

    だい

    戦争の作り方
    教育が ビジネスになる
    メディアが見せるイメージは 嘘本当
    社会は変えられる

    米国での例が挙げられているが 日本も近い将来こうなるのか

    投稿日:2023.07.09

  • haru2012

    haru2012

    9.11テロ後、イラク戦争に突き進んだアメリカ、テレビも新聞も、国全体が敵か味方か、全か悪かしかなかった。落ちこぼれゼロ法、生徒の試験点数で教師や学校を競争させ、評価で予算が決まる。ウィキリークスをスルーする大手メディア。

    若者向けに書かれています。若者がんばってほしいです。
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    投稿日:2022.07.24

  • S.K.

    S.K.

    この本はジュニア新書ですけど、「子ども向け」と思って敬遠するのは本当にもったいない!
    アメリカの中でも、2001年からのイラク戦争に向かう時代やブッシュ〜オバマの教育改革などについて、メディアで報じられる内容と当事者の言葉をもとに組み立てられている。
    耳障りのいい政府の言葉の裏に隠れていること、金の流れを丹念に追い、メディアが報じないことを見抜くこと、政治に参加し社会を変える方法などが全て当事者の声とともに書かれている。
    他山の石とする内容がたくさん。知らぬ間に戦争に巻き込まれたり、知らぬ間に搾取されることのないよう、政治にはプレッシャーを与え続ける必要があることがわかった。
    続きを読む

    投稿日:2021.05.26

  • ぼの

    ぼの

    『国が戦争に向かってつき進み始めた時、まっさきに隠されるのは本当に知るべき情報だ。ならば一体どうすれば、それを見極めることが出来るのか。過去を振り返り、歴史を検証することが大きな助けになる。』

    投稿日:2021.05.08

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