【感想】女王国の城 上

有栖川有栖 / 創元推理文庫
(70件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
14
29
15
4
0
  • 学生アリスと江神二郎が活躍するシリーズ第4弾!

    前作ではマリアが不可解な行動の末に山奥の村に逃げ込むようにして引きこもったが、本作ではなんと探偵役の江神二郎が新興宗教の街に一人赴き、それを追ってアリス、マリア、モチ、信長の4人もその街・神倉へとやってくる。
    その新興宗教・人類協会は傍目には人畜無害な人たちの集まりのようではあるが、ひとたびその街の中で殺人事件が起こると、外部からやってきたアリスたちを含め、関係者を軟禁してしまう。しかも、警察には届けず、自分たちで解決しようという。
    江神二郎とアリスたちは再会できたが、なぜ一人でいきなりこの街に来たのかは納得のいく説明がえられない。さらに、11年前の殺人事件も未解決となっていて、今後ストーリーにどのように絡んでくるのか。人類協会は本当に人畜無害なのか。謎は謎のまま上巻は終わり、それらの謎がどのように収束するのか、上巻を読み終えた段階ではほとんど何もわからない。
    下巻の目次をみると、やはり「読者への挑戦」があるようだが、これまでのところ完全に作者にしてやられている。下巻の挑戦までにその謎を解き明かすことが出来るのか、自分に対しても興味を持って下巻に取りかかりたい。
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    投稿日:2013.11.28

  • ジェットコースター、上り

    シリーズ第4作はとうとう上下巻に分かれました(※文庫版の場合)。前作『双頭の悪魔』から15年以上経っての発表だというのに、前作脱稿後すぐに書き始めたのかと思うくらい、違和感なく仕上がっています。江神のアリスも推理研のみんなも、いい意味で変わっていません。
    変わったのは、著者の力量でしょう。本書は、独特の舞台設定や深みのある人物造形といったシリーズならではの魅力を引き継ぎながらも、物語としての面白さでは前3作を上回っています。江神シリーズはどの作品も好きなのですが、現時点では本書が最高です。ページをめくるたびに驚いたり、冒険映画を観ているように痛快な心地になったり、駆け抜けるように一気に読み進んだり、残りページの少なさに読み終えるのが惜しくなったり……。まるで計算しつくされたジェットコースターのように、極上の楽しさを味わわせてくれる作品でした。

    この上巻では比較的ゆっくりと物語が進みます。事件らしい事件が起きるのも遅めですが、登場人物の多さや舞台となる〈街〉の広さを考えるとそれも仕方ないでしょう。ミステリだけでなく江神シリーズ自体が好きという方なら、問題なく楽しめると思います。ちょうど、ジェットコースターがゆっくり坂を上っていく感じでしょうか。あとにはもちろん、スピード感のある下り(下巻)が待っています。
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    投稿日:2014.07.05

  • 上下巻通しての感想です

    さすが和製エラリー・クイーンこと有栖川有栖氏。読者への挑戦状を筆頭に、非常にミステリーファンの心をくすぐる作りとなっています。様々な謎がある中、個人的には拳銃の入手方法に一番驚かされました。巨大な密室ともいえる宗教施設にまさかあのような方法で・・・見事です。中には肩透かしな真相もないわけではないのですが、総じてよく構成されていたように思います。新興宗教の施設に軟禁されるというシチュエーションも緊迫感があってよかったです。続きを読む

    投稿日:2016.12.10

  • 江神部長のファンなら必読

    江神シリーズ第4段は上下巻の長編です。
    長いから読むのを躊躇している方もいらっしゃると思います。
    私がそうでした。
    しかし、江神部長とアリス達推理研究会のファンなら、この長さが何時までも終わって欲しくないほど楽しめると思います。

    作者の後書きにもありましたが、上巻は静、下巻は動です。
    下巻のノンストップで動き出す推理研究会の5人を取り巻く情勢を迎える為に、まずは上巻をゆったりと楽しんで下さい。

    そして下巻は江神二郎の秘密が明らかになります。
    お楽しみに。
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    投稿日:2014.11.29

  • 前作から15年ぶりに書かれたシリーズ4作目

    推理研の江神部長が突如居なくなり、誰にも告げずにUFOを信じる宗教団体の聖地に向かったことがわかった。
    推理研のメンバーも現地に到着しすったもんだの末にどうにか江神部長と合流することが出来たが、様子がおかしい、江神部長は卒論の取材のために来たとは言うが何か隠してる。ここに来た理由は他にあるようだ。
    そして、殺人事件が起きた。推理研の皆は施設内に閉じ込められてしまう・・・・下巻に続く。


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    投稿日:2017.06.18

ブクログレビュー

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  • ゆーだい

    ゆーだい

    シリーズの中で作品ごとにアリスとマリアのバランスが上手く使い分けられてて面白い。そして続きの下巻が気になる幕引き。

    投稿日:2024.04.06

  • ariete

    ariete

    事件が起こるまでが長い。
    それでも全然面白く読めた。一緒にレンタカーに乗って旅に出てるような感じでワクワクしながら読んでた。

    相変わらず登場人物が多くて覚えるのが大変だった。

    アリスの本心がちょっと覗けて更に好きになった。
    続きを読む

    投稿日:2023.05.15

  • まぶのしたまぶお

    まぶのしたまぶお

    ★3.9くらい
    これまでの学生アリスシリーズで1番面白かった。説得力・納得感がとてもある。小田や望月が就活を追われているのも現実的で面白い。自分が就活生の時に読むとより楽しめた気がする。

    投稿日:2023.02.04

  • sachichiii

    sachichiii

    このレビューはネタバレを含みます

    第4弾
    今度は江神がいなくなった。なのに、どこに行ったかはわかりやすく、友人への依頼は明かされず、あっさりと再会はできた。そして起こる殺人、軟禁されるメンバー 当たり前に来ない警察、犯人はわかるのか、そう決めようとしているのか…2日後には何があるのか…江神は何のためにここに来たのか、江神は卒業したらどうなるのか、今どうしているのか、とかこれってどういう世界観なのかとか、いろいろ気になる上巻。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.10.09

  • jitan

    jitan

    内容(「BOOK」データベースより)
    ちょっと遠出するかもしれん。そう言ってキャンパスに姿を見せなくなった、われら英都大学推理小説研究会の部長、江神さん。向かった先は“女王”が統べる聖地らしい。場所が場所だけに心配が募る。週刊誌の記事で下調べをし、借りた車で駆けつける―奇しくも半年前と同じ図式で、僕たちは神倉に“入国”を果たした。部長はここにいるのだろうか、いるとしたらどんな理由で―。続きを読む

    投稿日:2022.08.23

  • tamazusa_do

    tamazusa_do

    このレビューはネタバレを含みます

    学生アリスと江神二郎のシリーズ、第4弾。
    厚い上下巻の、まず上巻。はっきり言ってまだ何も分かっていない。
    有栖、英都大学一回生の年には『月光ゲーム』
    二回生の年には、『孤島パズル』と、『双頭の悪魔』
    そして今回は、三回生になっている。
    四回生の望月と織田は就職活動中、在学八年目の江神も今年度限りで大学を去らなくてはいけない。
    最後の事件になるのだろうか。

    連休明けに、江神が旅に出たきり戻らない。
    ある新興宗教の総本山に入り込んだことが確認され、なんとか有栖たち四人も江神と合流できた。
    なんと、江神は卒論に新興宗教を取り上げようと言うのだ。
    そういえば、文学部哲学科だった。
    宗教は哲学に含まれるから、おかしな事ではないけれど・・・
    江神が「卒論」か〜
    う〜ん。
    卒論も嘘ではないと思うけれど、他にも何か思うところがあるのでは?
    お母さんのこととか?

    そしてお約束の殺人事件であるが、今回は誰が殺されるか全く分からなかった。
    しかし、下巻ではもしかしたら、あの人が殺されているんじゃないかと思う。
    とにかく面白くてぐいぐい読める。

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    投稿日:2022.07.15

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