【感想】愛国殺人

アガサ・クリスティー, 加島祥造 / クリスティー文庫
(48件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
5
13
21
3
0
  • クリスティーの作品としては冷たい印象の作品

    最後の説明などがクリスティーの作品には珍しいぐらい論理的な作品なようには感じる作品でした。
    しかし、クリスティーの作品としては少し登場人物が複雑になってる感じがあり、また全体的に冷たい感じがする作品でした。個人的にはクリスティーの良さはキャラに個性があり、ストーリーが面白い点だと思うので、このクリスティーらしくない点は少し残念でした。
    論理的な作品だとは思うので、クリスティーのファンよりもエラリークイーンのファンなどの人が楽しめる作品であると思います。
    そういう方はぜひ読んでみて下さい。
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    投稿日:2015.02.02

ブクログレビュー

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  • ひだるま

    ひだるま

    英国版での原題は”One, Two, Buckle My Shoe”、米国版になると”The Patriotic Murders”に付け替えられ、これを直訳したものが日本版のタイトルとなる。英国版タイトルはマザーグースを知っている人にしか響かないだろうが、「patriotic」もしくは「愛国」というフレーズを使うことによってマザーグース文化の内外に居る読者を両方とも唸らせることができるという、正に言い得て妙なタイトルだ。
    どの立場にいようと(保守やらリベラルやら民主やら右やら左やら執筆された当時でいうファシストやらコミュニストやら、そのいずれの立場に立っていようと)その道を突き詰めたならば、その誰の心の内にも『国を憂う心』『愛国心』が核として根を下ろすのだろう。といってもそれは本人の視点から見ればの話なのだが。そういうわけで、今作の犯人は愛国的な殺人者でありその犯行動機は愛国心なのだ。
    まあ、『自分はいま居るこの環境に必要不可欠な人間なのだから、ここに居続けるため/立場を保ち続けるためになら他者を害しても許されるはずだ』なんて思い込み始めたらもう人として終わりだよなとは思う。ただの保身を大義に言い換えて人を殺しちゃあいかんでしょ。
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    投稿日:2024.03.29

  • あくら

    あくら

    かの有名なポアロも歯医者に掛かるのか、と謎の親しみを覚えた。
    彼に治療を施した歯科医が突然自殺してしまう。
    しかし、その死を不審に思ったポアロは調査を開始する。
    巧みにミスリードさせる犯人の手腕に最後までやられっぱなしだった。
    よくよく考えるとなかなかシニカルな邦題だなと。
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    投稿日:2023.09.19

  • may

    may

    このレビューはネタバレを含みます

    解決編での構図の逆転が鮮やかでそれなりに面白いが、引きが弱い上に故意に読みにくくしたような不自然さがある作品。歯科医のモーリイとライリイ、アリステアとアムバライオティス、ジェインとジュリアなど登場人物の名前が紛らわしく、またフランク・カーターとハワード・レイクスもキャラクター設定も被っている感じで区別しにくかった。すきま時間に少しずつ読み進める読書習慣もあり、忘れたり混同したりでなかなか読み進められなかった。わざとにしか見えないので意図が知りたい。
    中盤で「歯医者が一人が死んでも大した事じゃない」という人物に対しポワロが「あなたにはそうでも私にはそうでは無い」というのがびしっと決まってかっこいいな、と思ったら、解決編でもう少し丁寧な言い方ながら同じことをいう犯人に対し、ポワロが決然と見解の不一致を告げる。この至極真っ当な主張の繰り返しが本来軽い読み物の推理小説を引き締めていて良かった。
    ただ、市井の若者ならそのような乱暴な言い方も仕方ないかもしれないが、真犯人のキャラクターからするとあまりにとってつけたような…地味で控えめだけど中身がサイコパス?という違和感。

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    投稿日:2023.09.03

  • オズ

    オズ

    クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。
    推理小説がベースになるが全体的にスパイミステリーの様な空気感がある。実際に殺害されるのは優秀な歯科医でその後、謎のギリシャ人と謎の女性の遺体が発見される。そんな中で銀行頭取(世界を操っていると言っても過言ではない人物)が実は命を狙われている事が発覚し。物凄く壮大に見える事件に発展していく。
     作中にて時間軸がだいぶ長くかかっている事や、登場人物も不思議な人物が多くさらに入れ替わりなどの可能性もあり、捉えにくく読みにくい作品である。学生時代に初めて読んだ時よりは理解しているが、殺人事件事態は単純で分かりやすいのでそれだけでまとめていたら面白かったのではと考えてしまう。
     単純に言えば死体の偽装を活用したトリックであり、二重結婚とそれを知らずに気づいてしまった女性。更に女性は以前船で同乗したことのあるギリシャ人にその話をし、彼は相手が有名な人物という事でゆすりのネタにしようと企む。
     歯科医が殺害されたのは犯人が歯科医に偽装する事でメリットが沢山あるためで(ギリシャ人を誰もいない環境下にて毒を守る事ができるため)歯科医は世の中に沢山いる為(銀行頭取としてイギリスを正しく導ける人間は自分一人であり、沢山の人達に必要とされている為) 、殺害しても構わないという判断である。ポアロはよく自惚れ屋と形容されるが、今作の犯人も中々だ。ある意味動機として歯医者は一杯いるから自分の為に一人死んでも問題ないという様な自己都合の良い解釈をする人物はミステリーにうって付けだ。
     ポアロがスパイ冒険に携わる作品は幾つか存在しているが、あまり似合わない様に思えてしまう。僕自身がそういったジャンルを求めていないという事が第一だろうが実際にスパイ冒険小説よりもミステリーの方が面白いと感じでしまう。
     今回は歯医者から始まり国の命運を左右してしまう人物の逮捕にポアロは終始憂鬱そうだ。昔の歯の治療等、考えただけで恐ろしくポアロの陰惨たる気持ちは理解できる。
     最後、命について犯人とポアロの意見は違うわけだが、だからこそポアロは人情味を感じ偉大な探偵だとなるのだろう。ミステリーとしてトリックなどはおもしろいが、スパイ作品の部分は読み疲れてしまった。
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    投稿日:2023.08.09

  • akkosan

    akkosan

    犯人とポワロとの対話が印象的
    この思想があるからこそポワロは愛されるだけではなく尊敬される探偵でいるのだと思う

    投稿日:2023.07.02

  • JINTA(じんた)

    JINTA(じんた)

    歯医者が殺される。それは自殺と見られた。しかしそれは巧妙に仕組まれたものであるのか。ミステリのお手本となる作品。クリスティの筆は素晴らしい。

    投稿日:2023.06.05

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