【感想】三幕の殺人

アガサ・クリスティー, 長野きよみ / クリスティー文庫
(57件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
6
20
23
3
1
  • 意外な犯人!

    あらすじ
    元俳優のチャールズ・カートライトのパーティーで誰からも恨まれてなさそうな牧師が突然に死亡した。その数ヶ月後、そのパーティーに来ていた医師が同じようなメンバーでパーティーを開いたところ、同じ様に死んでしまう。この2つの事件に関連を感じたチャールズとその友人、サタースウェイト、そしてチャールズと両思いのエッグは事件の捜査を始めた。そして、名探偵ポワロも後から三人を手伝い始める。


    題にもある通り犯人がすごい意外でした。言われてみるとつじつまはしっかり合うのですが、その犯人は全く考えておらず、すごい驚かされました。
    また、所々に面白いセリフやクリスティーの好きな人ならいろいろ思うこともあり、個人的には特にポワロの最後の台詞はポワロらしくて実にいい終わり形でした。
    ちなみに主要人物のサタースウェイトはクリスティーのハーリ・クィンシリーズに出てくるサタースウェイトと同一人物なので、そのシリーズを少し読んでおくと少し楽しめる部分もあります。(読んだことなくても特に問題はなく、しっかり楽しめます)
    面白い作品なのでぜひ読んでみて下さい。

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    投稿日:2014.09.28

ブクログレビュー

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  • りょう

    りょう

    パーティの最中に起こった不審死。数ヶ月後、同じ状況で第二の不審死が起こる。協力して犯人探しにあたるパーティ出席者だった男女三人組。ポアロは彼らの指南役に回るが最後はやっぱり持っていく^_^

    投稿日:2024.02.28

  • くまさん

    くまさん

    実にアガサ·クリスティーらしいストーリー。一周回ってこの人は無いだろうと思ってたら…悔しいけどやられた感。殺人の動機には時代を感じた。
    でもエラリークイーンを読んだ後だと、やっぱりどこかストーリーがスムーズに進みすぎてる感じはする。今回はポアロの登場シーンが少なめっていうのも残念だった…続きを読む

    投稿日:2023.10.17

  • chiakihirano

    chiakihirano

    ポアロシリーズ9作目。1935年の作品。

    タイトルの通り「第一幕」「第二幕」「第三幕」と舞台のような章立てになっており、最初のページには劇場のプログラムのように
    〈演出〉
    チャールズ・カートライト
    〈演出助手〉
    サータスウェイト
    ハーミオン・リットン・ゴア
    〈衣装〉
    アンブロジン商会
    〈照明〉
    エルキュール・ポアロ
    と書かれている。

    物語を進行するのは、元俳優チャールズ、演劇パトロンのサータスウェイト、若い娘リットン・ゴアの3人で、殺人事件の調査をしたり、聞き込みをするのもこの3人。物語の3分の2くらいまでポアロはほとんど登場せず、完全な脇役。

    三人称視点の文章がややわかりづらく、チャールズとサータスウェイトもキャラ的に区別がつきにくいので、今、誰の視点で物語が語られてるのか判別しにくい。これはある意味アンフェアな構成。

    54歳のチャールズと、20代前半のエッグのラブロマンスは若いころの私なら「キモっ」と思ったんでしょうけど、今は人によってはそのくらいの歳の差カップルもありえるでしょうと思えるようになりました。(男闘呼組みたいにイケオジな54歳もいるし、チャールズは元俳優のハンサムで金持ちだし、夢中になる若い女の子がいてもおかしくない設定。)

    それよりもチャールズの秘書ミス・ミルレーに対する描写がひどい。
    「驚くほど不美人で長身の女」とか「あの手合いの女性には、そもそも母親などいるものか。発電機からいつのまにやら発生したに決まっている」、「あれはとても顔と呼べる代物ではない」、「ぼくは自分の秘書には、とびきりの不器量を選ぶことにしている」、「ヴァイオレットとは!ミス・ミルレーにはひどく不似合いな名前だ、と、チャールズは思った。」
    ……あんまりじゃないですか。

    第一幕のチャールズの別荘があるのがコーンウォールのルーマス地方、第二幕の現場がヨークシャー、ポアロたちが休暇に訪れているのがモンテカルロ、そしてロンドンにも家があったり、ホテル・リッツに滞在していたり、みなさんどれだけ金持ちなんだ。

    貧しい上流婦人らしいレディ・メアリーにしても「ドレスデンのティー・カップ」に「色あせたチンツ」の居間ですよ。

    ポアロが自分の過去について語っているのも興味深く、金持ちになって毎日が休暇なのに「楽しくない」と言っているのがなかなか意味深。

    以下はモンテカルロでポアロが聞いた親子の会話ですが、私的には殺人事件よりもこの場面が衝撃的でした。

    「マミー、何かすることないの?」イギリス人の子供がいった。
    「いいこと」母親はたしなめるようにいった。「外国に来て、こんなに気持ちいい日向ぼっこができるなんてすてきでしょう?」
    「うん、でも何もすることがないんだもん」
    「駆けまわるなりして、遊んでなさい。海でも見にいったら」

    「海をみてきたわ、マミー。次は何をすればいいの?」


    以下、引用。

    18
    「でも、冗談は別として、トリー、彼女の顔をよく見たかい? 目がふたつ、口がひとつ、確かについているが、あれはとても顔と呼べる代物ではない──女性の顔とはね。このあたりで一番の噂好きのおばさんでも、あの顔と浮いた話を結びつけることなんてありえないよ」

    48
    教会は聖パウロの伝統に凝り固まっています──まったくのところ、教会はめちゃくちゃ──でもキリスト教そのものは正しいんです。それだからわたしはオリヴァーのように共産主義者にはなれない。実際には、どちらの信念もいっていることはほとんど同じで、すべての人が物をわかちあい、共有するべきだといっているわけだけれど。

    52
    「男性が恋愛を経験するのはいいことですわ。同性愛者や何かでない証拠ですもの」

    67
    『殿方は追いかけられるのがお嫌いよ。女性はいつも殿方を走らせるようにしなくては』

    86
    「それに若い女性、それはいつも感動的です」

    88
    「おわかりのように、わたしは子供のころ貧乏でした。兄弟が大勢いました。自分の力でなんとかやってゆかねばならなかったのですよ。そこで警察に入り、一生懸命に働きました。昇進し、名を揚げたのです。国際的名声を得るようになりました。そして、引退しました。やがて戦争が起きました。わたしは負傷しました。悲しい疲れはてた難民として、イギリスに来ました。ある親切なレディがわたしによくしてくれました。彼女は亡くなりました──自然な死ではなくて、殺されたのです。ああ、わたしは自分の才知を働かせました。小さな灰色の脳細胞を使ったのです。犯人を見つけました。そして自分の役目がまだ終わっていないのに気づいたのです。
    それから、わたしの第二の人生がはじまったのです、つまりイギリスで、私立探偵の人生が。
    わたしは金持ちになりました。ある日、わたしは自分にいったものです、そのうち必要な金はすべて手に入る、そのうち夢のすべてを実現する、と」

    89
    「いいですか、夢が実現する日に用心なさい。わたしたちのそばにいるあの小さな女の子、あの子も外国に行ってみたいと夢見ていたに違いありません。胸をときめかせ、あらゆるものがどんなに違うだろうかとわくわくしていた。わかりますか?」

    123
    「特に目立つ特徴はなかったかな? 傷痕とか? 指が曲がっているとか? 痣とか?」チャールズが訊いた。
    「あら、ええ、そういうのは何もございませんでした」
    「探偵小説は人生になんと優ることか」チャールズはため息をついた。「小説では、いつも何か目立つ特徴があるんだが」

    139
    現実より探偵小説のほうがうまくできている

    195
    サータスウェイトはドレスデンのティーカップで中国茶を飲み、驚くほど小さなサンドウィッチをつまみ、おしゃべりをした。

    200
    それはたぶん、熱烈なロマンスではなかったが、レディ・メアリーの居間のいくらか色あせたチンツと上質で薄手の磁器のかもしだす雰囲気の中では、すてきなロマンスに聞こえた。

    「わたくしはほんとに愚かな娘でしたの──若い娘というのは愚かなものですのよ、サータスウェイトさん。自分に自信があり、自分が一番正しいと思い込んでいるのです。」

    271
    「ヴィクトリア中期のおしとやかな女性たちにショックを与えるなんて、できないことですもの。彼女たちは口には出さないけれど、いつでも最悪の場合を考えているから…」

    316
    巨大な団子のように白くてぷよぷよしたミセス・ミルレーは、窓際に置かれた肘掛け椅子におさまっていた。外の世界で起きていることを眺めるのにちょうど良い場所だ。

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    投稿日:2023.10.10

  • はじめ

    はじめ

    このレビューはネタバレを含みます

    楽しくさくさく読了。
    その可能性もあるけど、そうするとあれやこれやとの類似性が……なんていらないことを考えないほうがよかったようです。思い返せば犯人の振る舞いについて何度も直接言及されていたのに。
    メインカップルの展開について、時代だとしてもそれはないわと思っていたから、その「ないわ~」の部分含めて蹴りがついているのが好印象。

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    投稿日:2023.09.26

  • オズ

    オズ

    このレビューはネタバレを含みます

    三幕の殺人
    クリスティの長編ミステリー。ポアロシリーズ。再読。
     ※古い作品の為、重要な要素のネタバレあり。

     この作品について、大まかな部分は忘れていたが、改めてクリスティ作品を読んでいるこの機会に必ず手に取ろうと決めていた作品だ。この作品は特殊で、僕自身、過去に評価自体は高くなかったのだが、犯人と動機と「最後の一行」は鮮烈に覚えていた為だ。第一の殺人にて老牧師が殺害されるが、牧師は過去から現在に至るまで誰かに恨まれた事はなく、彼が死んで徳をする人もいない。何か秘密を隠している様な事もない。だからといって全く無差別な殺人では次に同じ方法で殺害された医師との関連が無くなってしまう。クリスティ作品では殺害に必ず意味がある為、この動機こそ最大の魅力なわけであるが、まさかリハーサルとは!!余りの衝撃に当時も興奮した事を覚えている。
    また、第三の殺人の動機も特殊であり、被害者が何も知らない事を知られない為に殺害する、一種の口封じだが、残虐極まりない動機だ。一連の流れがリハーサル、本番、エピローグと一連になっている事も、タイトルの三幕に由来していることもかなりの完成度だと関心してしまう。
     特に現代ミステリーでは、殺人をすればする程証拠やミスが見つかりやすい為、連続殺人という事自体少ないし、あった場合も動機は「気づかれた結果」である事が多い。しかしクリスティ時代のミステリーでは連続殺人も多く、トリックや動機に思考を凝らしているものが多く、魅力の一つである。
     ある意味エッグ嬢には同情するが、クリスティは登場人物を幸せにすれ事が多い。今回の事件ではポアロ以外にも犯人に気付いている登場人物もあり、スリリングに思う。
     いくつかおしい点といえば、結局は警察は余す事なく犯人に情報提供していた形になり、非常に残念に映ったしまった部分と、チャールズが捜査している部分の描写に後から読めば恐ろしい様な仕掛けがあれば更にシリアスな展開で面白くなった様に感じた。ポアロが誰に呼ばれてパーティに来ていたかはわからないが、チャールズとしてはできる限り嫌疑はかからない様にしたいはずではと思いつつ、みくびられた可能性は高いが。
     そして最後の一言。ポアロの醍醐味が存分に詰まっている。おそらくポアロシリーズでもっとも記憶深いセリフであり、彼の嘆きに賛同せざるを得ない一言だ。
     初見の時はもっと低評価だったが、再読したら物凄く面白かった。

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    投稿日:2023.07.31

  • あぴ

    あぴ

    完全に盲点になってた!
    思い返すと初めから気持ちの悪さと違和感はあったのに…。
    悔しい!(嬉しい!笑)

    投稿日:2023.07.07

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