【感想】風流夢譚

深沢七郎 / 志木電子書籍
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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  • 電子書籍があってよかった

    その名の通り、見た夢のお話。夢の内容を説明しながら、つじつまの合わないところに突っ込んだりしてて、語り口がとにかくユーモラス。飄々とした面白さの前では、活字化を躊躇することの馬鹿馬鹿しさに呆れるやら背筋が寒くなるやら。続きを読む

    投稿日:2013.10.19

  • 不敬とされ事件にまで発展した幻の作品が、50年を経てついに読めるようになる。

    『楢山節考』などの土着的な村社会のあり様や周縁に生きる人々を描いた小説家深沢七郎。

    深沢が、60年雑誌「中央公論」に発表した「風流夢譚」は、皇太子と皇太子妃がマサカリによって一般民衆に斬首されるという過激な描写が書かれていた。

    夢譚、つまり夢の話として書かれた話しとはいえ、その描写は不敬であるとされ、抗議活動が勃発。発行元であった中央公論社社長、嶋中鵬二宅に右翼団体に所属していた少年が押しかけ、本人不在のなか夫人に重傷を負わせてしまう。

    その後、深沢は危険を避けるため、放浪生活を余儀なくされる。以下、ウィキペディアで恐縮だが、事件後この作品はこんな展開となった。

    “この事件の影響で身を隠していた深沢七郎は記者会見をし、「下品なコトバ」を小説に使い、「悪かったと思います」と述べ、護衛の刑事と供に姿を消した。深沢は1965年まで放浪生活を余儀なくされた。深沢自身は嶋中事件で犠牲者が出たことを悔やみ、様々な方面からの復刊依頼に対しても「未来永劫封印するつもりだ」として応じなかった。事件から26年後の1987年に深沢は死去したが、1997年刊行の『深沢七郎集』(全10巻)にも「風流夢譚」は収録されていない。”

    この電子書籍版「風流夢譚」は、50年を経て正式な形で出版された「風流夢譚」である。
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    投稿日:2014.01.10

  • 複雑な気持ち

    たぶん新聞か何かの書評を読んで購入したと思います。しばらく読まずに他のものを読んでいたので、なぜ読もうと思ったかも忘れながら、本棚にあったので読みました。
    夢の話をわざわざ本にする必要があったのか?誰でも見る夢の突拍子もない展開や表現が確かに面白く、短編ながらストーリーテリングの妙技を感じました。が、夢は夢。しかも一晩限り見た夢の話で、他愛もない。些細な妄想をモチーフに、敢えてこの短編を出す必要がどれほどあったのか。
    いや、必要はあったのでしょうね。この短編は特別の目的を持っていて、そのために発表された。その当時の時代における意味や、政治的・言論的重要性は、あまりにも年月が経ちすぎて私には分かりませんが、作者のように世の中のあり方を見ている人がいるということは理解できました。
    人物が特定できる形で、その人を不快な表現でもって描写しているという点において、読むべきではなかった、読みたくはなかったと思います。しかしながら、その時代を写す重要な作品である、とは言えると思います。文体としての面白さや物語としての読み応えは十分に感じられるので、星は三つにしておきます。(つまり、評価のつけようがありません。すみません)
    作者の他の作品を読んだことはありません。
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    投稿日:2014.04.02

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