【感想】あ・うん

向田邦子 / 文春文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
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  • 生身の人と人が付き合い、生きていくって、やっぱりこういうことかな。

    門倉と仙吉、そして、たみ。この3人だけではなく、登場する人たちがその日その日を地に足つけて生きている昭和の一コマ。この平成のドライでスマートな生き方ではない、かなり泥臭く、でもエネルギッシュで、人情の薫る素敵なエピソードが流れるように語られます。あの戦争の後で、失った何か大きなものを感じさせてくれます。大正から昭和初期にかけて、我々は今にはない別のものを確かに持っていたのかも。著者が生きていたらこの先の話も読めたかもしれないと考えるとちょっと別の意味で切ないです。続きを読む

    投稿日:2015.05.05

  • 恋、友情、自己愛の終着点はどこに

    神社の狛犬「あ・うん」のように、一言交わすだけで相手を理解できるほどの親友を持つ男が、親友の妻を愛してしまう葛藤を書いた小説です。先にテレビドラマの脚本として書かれ、その後、自ら小説化。人と人の関係はこうあるべきと言い切らずに、誰かを愛するかたちは様々あるのだとそっと教えてくれる。二人の関係性を公然と言い切れなくても、大切に想ってしまう人が居るとは切ないかぎりです。(スタッフO)続きを読む

    投稿日:2013.09.20

  • 大人の真の友情とはこういうこと!

    テレビドラマに、映画にもなった。向田邦子の世界がいかんなく結実した作品。中年の男と男の、男と女の付き合い方、生き方が本当に羨ましく、何故か懐かしい気がする。平成の今だからこそ、読んでおくべき作品だ。

    投稿日:2015.09.05

ブクログレビュー

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  • cinejazz0906

    cinejazz0906

    軍靴の響きが鳴りやまぬ東京下町を舞台に、軍需景気で羽振りのいい金属工場の社長・門倉修造と、製薬会社勤務のサラリ-マン・水田仙吉の家族が織りなす人間模様を、戦争への道を歩む世相を交えながら、軽快なユーモアと涙で語られる7章の連作小説。神社の鳥居に並ぶ一対の狛犬の阿・吽(あ・うん)になぞらえた門倉と水田の親密な仲ゆえの衝突、嫉妬、愛憎の心境をぶつけ合いながら、阿吽の呼吸で元の鞘に収まっていくという、向田邦子さんが生きた時代の人々を投影しているかのような愛情こまやかな物語。続きを読む

    投稿日:2021.07.29

  • rainygreen

    rainygreen

    この本を読んでの一番の感想は、やはり「テレビドラマのノベライゼーション」と「文学」とは質を異にするものだな、ということです(あたりまえだけど)。
    「思い出トランプ」は、まさに「文学」だったなぁと思いますが、この「あ・うん」はやっぱりちょっと違う。
    エピソードの配し方のバランスだとか、心情を表現する手法だとかが全く異なる。
    この「あ・うん」では、門倉とたみのプラトニックな恋愛感情というのが大きなポイントになるわけですが、そのあたりの感情も全て科白やト書きで直截的に書かれてしまう。
    そのあたりに若干の違和感と物足りなさを感じてしまいました。

    NHKのドラマ「あ・うん」を自分は観ていませんが、門倉を杉浦直樹が、水田をフランキー堺が演じたことは知っている。
    だから、小説を読んでいても、各場面で杉浦直樹とフランキー堺の顔が浮かんでしまうんですが、これがもう本当にぴったりハマってしまうんですね。
    絶妙のキャスティングだったのだなと改めて思います。

    楽しんで読むことはできましたが、やはりこれはドラマを観たほうがずっとよいのだろうな、と思いました。
    続きを読む

    投稿日:2019.01.06

  • tedesuko

    tedesuko

    初めて読んだ向田邦子作品。
    これは晩年の作品だったようだ。

    実業家として成功し遊びも知り余裕もある門倉と、一介の勤め人である仙吉。一見すると釣り合わないようであるが二人は強い友情で結ばれている。

    門倉は仙吉の妻たみに想いをよせながらもそれを決して口にすることはない。たみは分かっているのだが知らないふりをする。仙吉は門倉が自分の妻に気があることを誇らしく思っているという不思議な関係の三人。

    この三人を中心に、今年十八になる仙吉とたみの娘さと子、家の金を使ってしまう元山師で仙吉の父初太郎、門倉の女遊びに嫌気がさしている門倉の妻君子、門倉の二号禮子、などが現れ人間模様が描かれる。

    長い付き合いだから、という台詞がよく出てくる。長い間一緒にいると他人が入り込めないあ・うんの呼吸が生まれてくる。夫婦、家族の良さというものはそういう部分にあるのだと思った。

    MORIOKA TSUTAYAで購入。
    続きを読む

    投稿日:2014.05.08

  • busshozan

    busshozan

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    090924(a 091029)
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    100927(a 101007)

    投稿日:2009.09.21

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