全国水害地名をゆく(インターナショナル新書)
谷川彰英(著)
/集英社インターナショナル
作品情報
近年増加している集中豪雨や台風による水害・・・・・・。そこで、水害が多い全国の土地を、地名ハンターの著者が自ら現地調査! 水と闘いながらも、水と共生してきた当時の人々の姿を追うことで、その地名の本当の由来を探ります。本書を通じて防災意識を高めることで、今後、災害が起こった時に被害を最小限に抑えることができるはず・・・・・・。そのような信念のもと、後世に伝えたい地名の話を一冊にまとめました。
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商品情報
- 著者
- 谷川彰英
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社インターナショナル
- 書籍発売日
- 2023.08.07
- Reader Store発売日
- 2023.11.30
- ファイルサイズ
- 11.1MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (2件のレビュー)
-
水害予測の重要な手がかりは「地名」にある。そのメッセージを伝えるべくこの本を書いたとある。
地名はもともと土地を識別するために命名されたもの。できた当座はその土地の特徴をよく表していた。
目次を見る…と関東では、池袋、落合、流山、逆川、水海道、渡良瀬、など身近な地名がたくさんあった。
「落合」は川と川が落ち合うところ
新宿区下落合。確かに西武新宿線下落合駅は川沿いにあって、下落合に行くには駅から長い坂を上り続ける。駅の北の川はずっと神田川だと思っていたら、地図みるとこれは妙正寺川で、駅のすぐ南には神田川が流れている。
本書のコンセプト
1.地名は水害へのアラートを発している。
2.しかし、一方的に決めつけることはできない。
個別ケースに即して解明する必要
3.歴史的な現実から目をそらさない。
起きてしまった災害の事実からめをそらさず、原因を探る必要
4.風化を防ぐ 言い伝えよ
5.そこに人が住むにはそれなりの理由がある
水害のリスクを感じたとしてもそこに住んだ方がいい、住まざるを得ないという社会的条件も考慮に入れる必要
本文は東京・関東、名古屋・中部、大阪・関西、北日本、信越地方、中国・四国地方、九州に分け過去の水害と地名を紹介考察。
最後に、こんな地名に要注意として、「鶴」地名。
・「鶴」という地名は「水流(つる)」に由来。縁起がいいので鶴を充てた。「ツル」というところは川が鶴の首のように細長くなられている場所を指し、川が増水すれば洪水に見舞われる湿地帯を意味する。舞鶴、都留、鶴田など。
・クマに注意
3本の暴れ川、千曲川、阿武隈川、球磨川(熊本)
なるほど、阿武隈川もクマか。確かに球磨川はつい最近水害が起きた。・・クマは曲、曲がっている、また隈の「入り組んだ奥まった所」という意味。「奥まった山間部をくねくね曲がって流れる」という地形。
・阿久津と塙はセットの地名
なになに、これは近場にどちらもある地名。阿久津はもともと「圷」の和製漢字を充て「水の浸かりやすい低湿地」を意味する。塙は花輪とも書かれ、「高台」の意味。土偏に下と高い、で土地の高低を表す、漢字のセンスに感心してしまう。
阿久津は茨城県、群馬県、栃木県、福島県に多い。
関東平野は2~1万年前の洪積台地(武蔵野台地、大宮大地、下総台地など)とその後の河川の堆積作用でできた沖積平野とで成る。洪積台地の一部が低地に向かって舌状に突き出しているのが塙(花輪)で、阿久津は塙の先にある低湿地で近くに川が流れていると洪水常習地帯となる。
毎日新聞デジタル「ソーシャルアクションラボ」の連載「水害と地名の深~い関係」の第1回から第38回(2019.11月~2023.3月)を加筆修正したもの。
https://socialaction.mainichi.jp/category/suigai/tanigawa/page/3
2023.8.12第1刷 図書館続きを読む投稿日:2023.10.08
この本は地名から水害について考察する本
単に水や崩といった字を危険地名と決めつけるのではなく過去の歴史から考察することが大切としている。
地方ごとの章構成となっていて読みやすい投稿日:2024.02.08
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