「文明論之概略」を読む 上
丸山真男(著)
/岩波新書
作品情報
戦時中、万感の思いをこめて「文明論之概略」を読みつづけた著者が、現代の状況を見すえつつ、あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり、今に語りつぐ。明治八年、福沢諭吉四一歳のときのこの著作は、福沢の最高の思想的作品であるにとどまらず、日本の前途に対する強烈な危機意識に貫かれ、時代を超えて今日なお、その思想的衝撃力を失わない。数年前、岩波文庫本をテキストに、二十数回にわたって行なわれた読書会での講義をもとにした書下し。
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商品情報
- シリーズ
- 「文明論之概略」を読む 上
- 著者
- 丸山真男
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 1986.01.20
- Reader Store発売日
- 2020.11.26
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 286ページ
- シリーズ情報
- 全3巻
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この作品のレビュー
平均 4.3 (14件のレビュー)
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【「文明論之概略」を読む 上】
丸山真男著、岩波書店、1986年
早稲田大学の5年生だった時(間違いではない)に、北大でも教鞭を取られていた坪井善明教授の大学院のゼミに参加させてもらっていた。
Y…OSAKOIソーラン祭りの実行委員長を務め終えて、いい気になって早稲田に帰って来た時に、札幌でお世話になっていた坪井先生に挨拶に行ったら、「荒井は、いろいろと動いて活躍していい気になっていると思うが、これから世界に出て行けば、君くらいのことをしているのなんて大したことがないんだ。世界では皆、学生時代には猛勉強してマスターもドクターも持っている人たちが、活躍している。克己心をもってちゃんと勉強しろ。」と怒られた。
そうして、大学院生のゼミに参加することになった。
北大でも早稲田でも「鬼の坪井」と異名を取った人だけある。
その時に読んだうちの一冊が本書。
言わずと知れた福沢諭吉の「文明論之概略」を、日本の政治思想史の泰斗である丸山真男が解説しながら読み進めていくというスタイルを取っている。
東大法学部の丸山ゼミに参加している如くだ。
およそ20年ぶりに読んで思ったのは、
・明治8年に「文明論之概略」を上梓した福沢諭吉の壮絶な危機感だ。
明治維新はなったが、このままでは国の独立が危うい、と。
なぜなら「一身独立して、一国独立する」のに、日本は人民に独立の意識がなさすぎると警告している。
そのためには、
「古習の惑溺(わくでき)を一掃し、西欧に行われる文明の精神(人民の自由と独立の気風)を取る」
ことを福沢は力説している。
惑溺とは「なんのためにあるかという本来の目的を忘れてしまい、手段が自己目的化してしまっている状態」のことであり、まさにここ最近、ずっと問題意識を持っていることだった。
学校という組織は「手段が目的化していて、組織がカチンコチンになっていることがあまりに多いのではないか」と思っていて、同僚の教員たちにこのところ、そこを気をつけようね、と話したばかり。
ーー
上に立派な為政者がいれば全てが良くなるという為政者本位の儒教の考え方がそれ(「治国平天下」という当時の支配的観念)で、福沢が力を込めて批判するにもかかわらず、そういう「お上」の政治に世の中のことを全て期待する風潮は非常に強く、儒教がかつての力を失った後も衰えてないのです。
ーー
岩波新書だからといって、簡単な本ではない。
中下巻合わせると700ページを越す大著で、沢山の赤線が20年前に悪戦苦闘した様を物語っている。
あの時も今もどれだけ理解して血肉になったのかはわからないけれど、坪井先生に叱られなければ、出会うことがなかった。
福沢も丸山も、そして坪井先生も大学人だ。
本当の大学には無限の可能性があるのだと感じたし、それを見いだせるかどうかは、自分自身でしかない。
まさに、「一身の独立」だ。
#優読書続きを読む投稿日:2019.01.06
予備校時代に読了。今から考えてみると、当時の現代文の題材として挙げられていた、丸山真男や小林秀雄などをよく読んだことが、その後の自分の読書やものの考え方に大きな影響を及ぼしていることに気づいた。
投稿日:2024.03.24
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