近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る
元永知宏(著)
/集英社ノンフィクション
作品情報
2004年11月の球団消滅からちょうど15年。個性あふれる球団「近鉄バファローズ」の真実に迫る。最後の選手会長として球団合併問題やストライキ問題に奔走した礒部公一。彼とともに、梨田昌孝、栗橋茂、金村義明、ラルフ・ブライアント、水口栄二、岩隈久志ら近鉄に在籍した監督・選手に加え、最後の球団代表だった足高圭亮や、いまも近鉄バファローズを愛し続ける熱烈なファンなど、多数の関係者に徹底取材。近鉄バファローズの歴史をトピックごとに伝える9つの「表」章と、今回深く取材した選手ら近鉄関係者、個人の想いに迫った9つの「裏」章が交互に展開していく、まさに野球のような「表・裏」構成のプロ野球ノンフィクション。○「私の愛した近鉄は、ただ単にメチャクチャで破天荒な球団だったわけではなく、恐ろしいほどの練習量を誇り、先輩を敬い、伝統を大切にし、同僚を尊重する、今思えば理想的な球団だったのかもしれません。元永氏との取材を通じて、もう一度あの時代を振り返ることができたのは、私の野球人生でも大変貴重な経験となりました。かつての近鉄ファンはもちろん、今の“12球団”のプロ野球を愛するすべての方にも、あのときの歴史を改めて知ってほしいです」(礒部公一)
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商品情報
- 著者
- 元永知宏
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社ノンフィクション
- 書籍発売日
- 2019.11.30
- Reader Store発売日
- 2019.12.13
- ファイルサイズ
- 7.1MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 4.2 (6件のレビュー)
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2004年の球界再編問題の際、近鉄バファローズはオリックスと合併することになり、球団創設以来55年の歴史に幕を閉じました。本書は近鉄が初めてリーグ優勝をした1970年代から年代ごとに球団でキーマンとな…った人たちのインタビューをもとに、2004年までの約30年間を振り返るノンフィクションです。
1970年代の証言者は故西本幸雄氏。阪急ブレーブスを常勝チームに鍛え上げた名監督西本氏が近鉄に移籍した当時の状況を語っておられ、西本氏の監督像を当時現役であった梨田昌孝氏が証言しておられます。
1970年後半から1980年代は”あの”「江夏の21球」の日本シリーズの時代を栗橋茂氏が証言しておられます。穏やかな印象の西本氏が、実は大変な熱血漢であった描写など、興味深いエピソード満載です。
1980年代は仰木彬氏です。ロッテとの「10.19のダブルヘッダー」は勿論ですが、その翌年に西武ライオンズとの天王山で4打数連続ホームランを放ったラルフ・ブライアント氏、主力選手であった金村義明氏の証言も興味深いです。
1990年代は野茂英雄氏のデビューとメジャー移籍のころ。優勝はなかったのですが、当時の様子を水口栄二氏が語ります。
そして2000年以降は、最後のリーグ優勝となった2001年の模様を当時監督の梨田氏、岩隈久志氏が証言されています。
最後は2004年当時の選手会長であった磯部公一氏、球団代表であった足立圭亮氏が、選手会ストライキを経て球団合併に至るシーズンの内幕を証言されています。
他にも各シーンで登場する元選手は羽田耗一、マニエル、小野和義、山崎慎太郎、鈴木貴久、阿波野秀幸、佐野慈紀、中村紀洋などなど、近鉄ファンなら「懐かしい!」と思える名前がズラリと。
こうしてみると、どの時代のエピソードも「あー、そうだったなぁ」という物ばかり。私が小学生のころ、甲子園球場まではちょっと遠いこともあってプロ野球観戦と言えば日生球場か藤井寺球場の近鉄戦がほとんどでした。近鉄バファローズを応援していた人ならば、どの部分を読んでも懐かしい気持ちに浸れると思います。続きを読む投稿日:2019.12.25
1950年から2004年まで存在した近鉄バファローズについてチームの変遷と選手や関係者へのインタビューから球団の真相に迫った一冊。
野茂英雄、梨田昌孝、中村紀洋とスター選手を輩出するだけでなく、4度…のリーグ優勝や江夏の21球や89年の3連勝の後の4連敗など数々の名場面を残した球団近鉄バファローズ。
球団がなくなって10数年経った今、関係者が語る球団についての話を読んで昭和の古き良きプロ野球を体現してる球団だと感じました。
チームを初優勝に導いた西本幸雄氏がそれまでのチームの考え方を変えたことや江夏の21球の裏側、仰木彬氏と10.19決戦を超えて翌年の優勝へと繋がることや90年代の選手と球団との確執、01年優勝、球界再編問題と昭和から平成にかけて激動の時代を生きた近鉄という球団は球史にその名を刻むとともに藤井寺という地を中心として破天荒に激しく球界を生き抜いてきたとも感じました。
また、梨田昌孝氏やラルフ・ブライアント氏、岩隈久志氏など歴代在籍した選手や浅川悟氏や足髙圭亮氏といった球団と関わりの深い方などへのインタビューも当時の熱量を感じるされるものとなっており興味深い内容でした。
個性的なメンバーが揃って時代を彩った近鉄という球団の歩みを知るとともに野茂から始まった日本人大リーグ挑戦の流れや球界再編後のプロ野球人気の拡大は近鉄という球団が無くなってから拍車がかかった事も何か因縁めいたものを本書を読んで感じました。
冒頭にあるようにOB会もなくなり、どんどん風化されていく中でもその歴史を語り継いでいかないとも感じた一冊でした。続きを読む投稿日:2021.01.02
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