世界を知る力
寺島実郎(著)
/PHP研究所
作品情報
世界同時不況のさなか、日本には民主党新政権が誕生した。冷戦が終結して二〇年が過ぎ、長く続いた戦後体制は名実ともに変わろうとしている。日本と世界は今どこへ向かっているのか? 長く世界潮流を観測してきた著者が、“時空を超える視座”“相関という知”を踏まえて、“分散型ネットワーク時代”の新たな展望と日本の針路、いま最も必要とされる「全体知」のあり方を提示する。米中二極体制をどう考えるか? 極東ロシア、シンガポールの地政学的な意味とは? グリーン・ニューディールはIT革命を超えるか? 自民党はなぜ大敗したのか? 「友愛」なる概念は日本の未来を拓くのか?
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商品情報
- シリーズ
- 世界を知る力
- 著者
- 寺島実郎
- 出版社
- PHP研究所
- 書籍発売日
- 2010.01.01
- Reader Store発売日
- 2010.12.01
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 200ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.9 (115件のレビュー)
-
【本の内容を一言で】
偏った世界観だけでなく、違った目線から世界を「能動的に」知る必要性がある!
【内容まとめ】
1.「アメリカ・フィルター」通しの偏った世界観だけでなく、違った目線から世界を知る…必要性がある!
2.「ペリー来航」が近代史の始まりではない!
3.中国をバカにしてはいけない。見習うポイントは勿論、多大なる恩があの国にはある!(ただ心酔しても駄目、やられる。)
4.agree to disagree:「賛成はできなくても、相手の主張の論点は理解した」という姿勢
5.マージナルマン(境界人):複数の系の境界に立つ生き方
【感想】
7年前にリーダーから教えてもらった本で、未だに何度も読み直すくらいのお気に入り本!
定期的に読み返したくなるし、読むと何度でも新しい気付きを与えてくれる名作。
特に印象に残ったのは「ユダヤ格言」と「中国観」。
ユダヤ格言は以下の通り。
『朝寝、昼酒、幼稚な会話、そして愚か者の集いに連なること、これが身を滅ぼす。』
本当にこの通りだし、耳が痛い話しだな・・・
最近改善しつつあるけど、継続していこう!
『汝はいずこより来たりて、いずこに向かう者ぞ』
本当にユダヤは偉大な民族だ。
アンパンマンの歌詞にもあるよね。「何の為に生まれて、何をして生きるのか。分からないまま終わる、そんなのは嫌だ」
ここって定期的に考えないと、本当に「分からないまま終わる」ね!!
日々忙殺されつつも、たまには考え直してみよう。
中国観はまさに【まとめ】に書いてある通り!
むしろ、今の日本人でさえ、中国人をバカにできるに値しない!中国のエリートには完全に負けているだろう。
本当に、下の引用だけでも得るポイントが多いよね。
一度ゆっくり考えないといけない内容がてんこ盛りだった。
とりあえず、異国フレンドが欲しいぜ!!!!
【引用】
今こそ時代や環境の制約を乗り越えて、『世界を知る力』を高めることが痛切に求められている。
凝り固まった認識の鋳型をほぐし、世界認識をできるだけ柔らかく広げ、自分たちが背負っているものの見方や考え方の限界がどこにあるのか、しっかりとらえ直す事はできる。
p34
・ペリー来航が日本の近代史の始まりではない
その150年前に日本人はロシアに漂流しており、世界一周をしており、ロシアの使節団などは来日している!
日露関係は日米関係よりもっと歴史的に深く長い関わりを持っていた。
p48
英語が話せるから『国際人』なのでもない。
異なる国の人たちにも心を開き、自分を相対化して見るとのできる人が『国際人』なのである。
p52
・悠久たる時の流れを歪めた戦後60年
アメリカに影響され続け、自らの体内に蓄積された膨大な歴史時間(=日本史)を忘却
アメリカを通してしか、世界を見ていない。
中国文化に対する尊敬・信奉・敬服・劣等感が、日清戦争によって『優越感』に反転してしまった。
大東亜戦争における敗戦も、戦勝国には中国が含まれるにも関わらず、『アメリカに負けた』とだけ思い込んでいる。
p90
・ユダヤの格言
『朝寝、昼酒、幼稚な会話、そして愚か者の集いに連なること、これが身を滅ぼす。』
・メンチ
『信頼に値するひとかどの人物』
明確な己、技能、見識を持っている人物
・ユダヤの聖典
『汝はいずこより来たりて、いずこに向かう者ぞ』
常に歴史の目的や、人間の本質を問い続けてきた
・ユダヤ人母の教育
自分たちの生活がどんなに苦しくても、どんな逆境にあっても、子どもの教育にだけは心血を注ぐ。
その地域にしがみつくためではない。流浪の民であるユダヤ人には、その土地で採れる資源やモノによって豊かさを確保しようという発想はない。
どこに流れ着いても活用できる目に見えない価値、すなわち技術や情報を習得することで身を立てようとするのがユダヤ人!
人類史に多大なる影響を及ぼしたユダヤ的思想の根底には、どんな逆境にもくじけない根性が横たわっている。
p168
・日本には、世界レベルの通信社やシンクタンクがない!
イギリスのロイター、アメリカのAP、中国の新華社などと比べたら、一桁で済まないほど桁違いに少ない!
日本が独自に入手する世界の情報は、「膨大」でもなんでもない。
自然科学の世界において圧倒的に観測数が少なければ、新事実の発見で遅れをとるのが当たり前のように、そもそも観察される情報がこれだけ桁違いに少なければ、世界を体系化して見ることが困難になるのも当然。
限られた情報に依存して、多くの日本人は世界を認識しようとしていることに気づかなければいけない!
p177
・書を捨てずに街に出よう
文献だけ読んでいれば世界はつかめる、と勘違いする人が出るかもしれない。
「世界を知る力」を養うためには、大空から世界を見渡す「鳥の眼」と、しっかりと地面を見つめる「虫の眼」の両方が必要!
その「虫の眼」を鍛えるのは、なんといってもフィールドワークである。
必ずぶらぶらと地元を歩く時間を作る。
無駄といってもいいだろう。
しかし「虫の眼」を鍛えるためには、これが大切。
p181
・agree to disagree
「賛成はできなくても、相手の主張の論点は理解した」という姿勢
p194
情報は教養を高めるための手段ではない。
問題を解決するために色々な角度から集めるものである。
断片的な情報を「全体知」へと高める動因は、問題解決に向けた強い意志である。
世界の不条理に目を向け、それを解説するのではなく、行動することで問題の解決に至ろうとする。
そういう情念を持って世界に向き合うのでなければ、世界を知っても意味がない。
p203
・マージナルマン(境界人)
→複数の系の境界に立つ生き方という意味。
ひとつの足を帰属する企業・組織に置き、そこでの役割を心を込めて果たしつつ、一方で組織に埋没することなくもうひとつの足を社会に置き、世界のあり方や社会の中での自分の役割を見つめるという生き方。
帰属組織を失ったなら生きていけない虚弱なサラリーマンではなく、技能と専門性を持った汎用性の高い人間を必要としている。続きを読む投稿日:2017.12.07
少し古い2010年の書籍にはなるが、現代を生きる人間にとって必要な世の中を見る力、世界観を教えてくれる。筆者は若かりし頃に三井物産に勤め海外転勤を繰り返した事から、海外から見る日本の視点についてあるべ…き姿を示してくれる。日本人は内に閉じこもりがちなのは、黒船来航まで鎖国を維持して外国文化の流入を制限していた事からもわかる。日本は島国だから外国勢力は海を越えるしかなく、その航海技術を持つ国でなければ中々到達できない。ヨーロッパなど陸続きで自国以外からの人や文化の流れに晒されてきたから、国際的な感覚を人々は持ち合わせていただろう。それに比べて日本人は一部のインテリ層しか外国へ留学しないし、勿論、渡航費用の出せる一定以上の収入がある層以外はその機会さえ奪われてしまう。それに加えて言語の壁も大きい。最近は語学力の育成にも力が入っており、特に若年層は言葉の壁は徐々に低くなっているが、そうなると一方では日本人らしさの喪失に繋がると危機感を煽るものも出てくる。果たして日本人らしさとは島国に閉じこもる事なのだろうか。いやそうでは無い。住む場所は島国であっても、海外を知り国際的な感覚を身につけなければ、世界から孤立した人材になってしまう。これは日本人らしさではなく海外から見た相対的な日本人らしさを理解できないことにも繋がっていく。この方がより恐ろしい。
ご存知の通り太平洋戦争はこの国際的な感覚が極端に不足していた事が原因の一つと言える。工業力も経済力も遥かに強大な大国アメリカに戦いを挑んだこともあるが、アメリカ人に対する認識すら、簡単に逃げる奴らぐらいにしか考えていなかったのだろう。敗戦が濃厚になった時期にも、日本を狙って参戦したがっているソ連に和平の仲介の期待を寄せるなど、認識不足もここまで来ると最早笑い話のレベルだ。
話は逸れたが本書はそうした海外知らずの日本人を警告し、国際感覚を身につける大切さを教えてくれる。中国やイギリスが世界地図をみてどの様な国家戦略を描いてきたか、世界中に散らばるユダヤ人達が如何に強力なネットワークを築いてきたか幾つも例を挙げて危機感を伝えてくれる。
そして日本人がなぜ国際感覚に弱く、外を知ろうとしないのか、戦後アメリカ占領下とその後の安全保障条約の傘に隠れて生きてきた日本人がアメリカを通してしか世界を見ていない事に警鐘を鳴らすのである。
本書は最後に神田や早稲田の古本街に行く事を勧める。私も大学から近いこともあり、よく古本街に出向いていたが、並べられた本のタイトルを片っ端から見ている時が1番楽しかった。これも知りたいあれも知りたいと一冊100円足らずの古本を買っては読み漁っていた。積み上がる読破した本達が高さを増す程に満たされる心。そんな学生時代を過ごした後、いざ社会人になると何と本を読む時間の減ったことか。自分の仕事や生活に手一杯で全く読書の時間が無い20代を過ごした。
活字に触れない期間は自分の内に閉じこもっていたに等しい。新たな世界を見に行く時間も気力も仕事に奪われ、自分を仕事一本の閉鎖的人間にしてしまっていた様に思う。今は時間的な余裕が増えたというより無駄をやめて時間を作って読書する様になった。少しリスタートに時間が掛かったが、過去の世界を拡げずに過ごした期間を少しずつ取り戻そうとしている。
若い人には沢山本を読んで世界を拡げて欲しい。そして遥か100km上空の大気圏から日本を眺めてほしい。広い太平洋を挟んで親しい隣国アメリカ、大西洋を渡ってヨーロッパに翼を広げ、遠くロシアをユーラシア大陸を渡る鳥達の様に羽ばたいてこそ日本の本当の姿が見えるだろう。続きを読む投稿日:2023.06.05
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