0
安部公房 / 新潮文庫 (54件のレビュー)
レビューを書く
総合評価:
"powered by"
LKS
探偵として追う立場の「ぼく」も自身の地図を失効してしまう。“閉じた無限”、“薄っぺらな猫”など寓話的な表現も多い。読んでいるうちに霧のような不安につつまれてしまった。都会もまた砂漠のようなものかもしれ…ない。続きを読む
投稿日:2024.03.28
ミイ
失踪者を探す男がやがて自分を見失っていく話。調査の拠り所がなくて落ち着かない男の様子が、読点だらけのモノローグから滲み出てきて、読んでいる間ずっと不安で不安定な気持ちになりました。 冒頭の一説がとて…も印象的で、読み終わった後にもジワジワ効いてきます。 「都会――閉ざされた無限。けっして迷うことのない迷路。すべての区画に、そっくりの同じ番地がふられた、君だけの地図。だから君は、道を失っても、迷うことは出来ないのだ。」続きを読む
投稿日:2024.03.14
サギ
安部公房特有の暗くねばっこい質感がありながら読む手を止まらせない一冊。 探偵としてあちこち探し回り、一癖も二癖もある人たちと何度もすれ違っているが探してる男の姿は一向に見つからない。影さえ見えないま…まだから心のどこかに知らない影を作りたがるのは誰もがそうなのかもしれない。 そうして終わらない迷路を彷徨った主人公が最後にたどり着いた先が実際に迷路の終わりだったのか、新しい迷路の始まりだったのか。細部に至るまで抽象化した現代の偶像としての都会、社会性を描いた作品に思えて面白かった。 続きを読む
投稿日:2024.01.08
団
最高。 通常の世界からだんだん夢の中を歩いている気分になる。自分は誰なのか、むしろ自分が追い求めていた人物かもしれないし自分はその弟かもしれない。ファイトクラブのような気もしつつ、ただ人を探す行為に疲…れた精神錯乱かもしれない。それを風刺として利用したのかそれとも夢の世界に引き摺り込みたいのか。安部公房だった。続きを読む
投稿日:2023.11.02
michel723
これまで読んだ安部公房の中では、 私にとっては難解で、 意味を理解するというよりは、 円環的で、主客が狂っていく、 いつもの蟻地獄のような安部公房世界を味わうことに努めた。 難解な理由の一つは、 会…話が、描写が、 何を言っているのかわからないのだ。 限りなくリアリティがあるような変哲もない団地の景色も、 その変哲もなさが詳細に語られるほどに、 なんの特徴もなくて超現実的になる。 根室婦人の言葉は終始何を言っているのかひとつも分からず、 夢なのか幻なのか、 主人公同様に区別がつかずに混乱してくる。 しかしそれらは読書から離れて現実に戻った時に、 今この私が私であるという自己感覚に、 大きな疑問を残す装置になるのだった。続きを読む
投稿日:2023.10.29
じゅうたん
安部公房が書く「都会という無限の迷路」、それはタクシーであり公衆電話であり地図であり電話番号……、そのような「都会」は今はもうないのかもしれない。 初めは物語世界に入り込むのに苦労した。 半分を超え…たあたりで、小説のテーマが何となくわかった。 入り込めなかったのは、現代が安部公房の時代とは前提が変わってしまったからかもしれない。 冒頭、「だから君は、道を見失っても、迷うことは出来ないのだ」とある。 安部公房の時代からさらに時が経ち、現代はもはや、手掛かりとしての地図すら消えてしまった状況ではないか。 道が自分と同化し、道を見失うこともできなくなった……。続きを読む
投稿日:2023.02.10
ポイントが追加されました。ポイント明細ページからご確認いただけます。
クーポンコードの形式が正しくありません。半角英数12桁で入力してください。
エラー(エラーコード: )
本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック
スマートフォンの場合
パソコンの場合
このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?
ご協力ありがとうございました 参考にさせていただきます。
レビューを削除してもよろしいですか? 削除すると元に戻すことはできません。