【感想】ここはすべての夜明けまえ

間宮改衣 / 早川書房
(88件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
24
24
27
5
1

ブクログレビュー

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  • ひまわりめろん

    ひまわりめろん

    哲学書やん

    まず最初に来たのがこれ

    まぁ、私前々から繰り返し言ってますけど、SFって結局哲学なんですよ(自分自身が初耳)
    なのでまず「哲学」って何よ?ってところから始める

    「哲学」ってのはね、要するに「人が幸せに生きるためにはどうするか」を考える学問なんです

    つまりこの本を読んで、これは「人が幸せに生きるためにはどうするか」を書いた物語だと感じた
    ということになるわけ

    でね、何を「幸せ」とするかって結局人によって違うわけじゃん?
    なのでこの本を面白く感じるかどうかってのも人によって違うわけ

    そしてものすごい当たり前のことを書いている自己認識はある
    かろうじてある
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    投稿日:2024.05.20

  • hutaro

    hutaro

    近未来もしかしたら人間は人工知能と融合し、物事を全て合理的に考えられるようになり、不幸だと感じることはなくなるほど幸せな人生を永遠に送れるようになるのかもしれない。そこには死もなく、人との別れもなく、現在を生きている私たちから見ればつまらない人生に思えてしまうと思うが、融合した人から見ればそんなことは取るに足らないだろう。むしろ、老いも死もある私たちが、なぜ変わろうとしないのか理解できないと言うだろう。

    この物語の主人公は半分機械、半分人間のような存在である。永遠に25歳の身体を持ち、家族の死を経験しても涙ひとつこぼさない彼女を私は好ましく思う。
    彼女の言葉はどこか諦めた感じがあるが、優しい。最終的にその優しさは、彼女が他人に自分を愛させるためであると彼女自身、自覚するのだが、それは人間誰しもが持つ感情であり、半分機械でありながらそういう感情を持っているところが好もしいのだ。彼女は自分が恋人の人生を「奪ってしまった」ことを忘却することも拒んだ。「幸せになる」=「マイナスの感情を忘れ去ること」と私は今まで思い込んでいたが、決してそうではないことをこの物語は教えてくれた。
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    投稿日:2024.05.19

  • NW

    NW

    SFであるが、ヒロインが家族史を話し言葉で綴る作品で独特な世界観に没入できました。
    未来にいるけど、過去の回想シーンがあったりし、懐かしい気持ちも感じました。

    この本で好きだったのは、彼女の過去の体験からくる考え方や行動の意味がSFなのにリアルに感じてしまうところです。

    永遠の命があるから幸せではないのかな。わたしはわたしと、ちゃんとともだちになることが大せつだよね。
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    投稿日:2024.05.18

  • さいち

    さいち

    図書館で予約していたので、話題の本だったのだろう。
    予備知識なく読み始めてしばらくは、何だこれ?と思っていた。
    SFだったのか。

    センテンスが異様に長く、話があちこちに飛ぶので、拙いおしゃべりを延々と聞いているような感じだった。

    主人公はとにかく無邪気。
    出来事を赤裸々に淡々としゃべる。
    後悔があるようでいて、不思議と前向きだった。

    最後まで頑張って読まないと、伝わってこない作品。
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    投稿日:2024.05.18

  • ゆの33

    ゆの33

    平仮名にやっと慣れてきたと思ったら、漢字混じりになり、また終盤に平仮名のみの文章に。
    この使い分ける理由が何なのか、よく分からなかった。
    主人公の名前が空白なのも、意図がよく分からなかった。
    100年の人生にしては内容が薄く、考え方も稚拙で共感できない。

    『アルジャーノンに花束を』も同様なので、私の読解力不足か、
    SFが苦手なのかもしれない。
    辛口で申し訳ない。
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    投稿日:2024.05.18

  • バーバ

    バーバ

    著者が本作で第11 回ハヤカワSF コンテスト特別賞を受賞し、作家デビューされたこの作品は話題となっていて、週刊売上ベストテンにも入っていて、気になっていました。

    まずはその装丁、表紙に驚かされます。今までにカバーに本文が印刷されている作品を私は知りません。

    そして次に驚くのが主人公が

    マシンの手だから疲れないけれど、漢字は画数が多くて面倒、面倒臭いものはひらがなで書いてしまおうと思う(画数以外原文ひらがな)本文p5抜粋

    という理由で、家族史のほとんどをひらがなで書いているため、普段漢字、カタカナ、ひらがなで文章を理解してきたものにとって、これはキツかったです。
    日本語が、漢字、カタカナ、ひらがなで書かれているありがたみをこんなに感じると思いませんでした。

    主人公が書いている時代は今から10年後の世界ですが、家族史なので、彼女の家族の有り様は現代社会の問題点を鋭く指摘する内容になっていました。

    主人公の出産で、妻を亡くした寂しさを、娘を偏愛することで生きる父親。

    3Dプリンターか何かで人工身体を作って行う融合手術は、2021年から老化に対する治療法として認められた自由診療ではあるものの、父親による過度な希望で手術を受け、永遠の命を授かってしまう主人公。

    永遠の命ではありますが、体はもはやロボットに近く、兄姉はもとより手術を望んだ父でさえ距離を置く存在となってしまい、主人公が最後に看取るのは、唯一彼女を愛した甥のみという寂しい人生です。

    私も年齢を重ね、老いを心身ともに感じることが多いですが、若さを求める気持ちは無くなりました。外見だけ若さを保っても無意味に思えます。

    2123年地球が気候変動、海面上昇の影響で近い将来人間が住めなく星になるとわかり、住める確率50%の地球から約5光年離れた惑星に向かって人類が12月25日に出発することが決まり、主人公も同乗を勧められますが、地球に残ると決めます。

    人生でたった一つでいいから、私は間違ってなかったって思うことがしたいんです。(中略)自分を許して、忘れることって、これから生きていくには、とても大切なことだと思います。そうじゃないと、人は生きていけないから。p 114(原文は全てひらがな)本文p114抜粋

    最後は人生観に至る主人公。これからの地球の未来、まだまだ深く読めそうな作品でした。
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    投稿日:2024.05.17

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