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三上延 / 角川書店単行本 (30件のレビュー)
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総合評価:
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NAO
このレビューはネタバレを含みます
昭和初期の神楽坂が舞台。存在感の無さに悩む大学生、甘木くんと、偏屈な大学教授、内田先生は、行きつけのカフェーで同席したのを機に親しくなる。先生の背広を間違えて着てしまった甘木くんは、何故か怪異に遭遇するようになり、内田先生とともにその謎に迫っていく。 短編集ではあるけど、順番に読んでかないとダメなやつ。最初はまあまあ怖いかな、という感じなのが、読み進むうちにどんどん怖さが増してきて…。ドッペルゲンガーの話でヒェ〜となり、若くして亡くなった伊成くんの話では悲しみも加わって、胸が締め付けられる。 私は内田百閒を名前くらいしか知らなくて、読み終わってから調べてみた。偏屈で借金大王で、鉄オタで…夏目漱石に師事し、芥川龍之介とも交流があったという。物語の中でもそういう事には触れているので、彼のひととなりを知ってから読むとより面白いのではないだろうか。 甘木くんは、そんな内田先生と良いコンビだ。途中、ある理由から疎遠になってしまうけど、また元鞘に納まってから話は終わる。続きがあったら、ぜひ読みたい。 ノスタルジーを感じるブックデザインも良き。
投稿日:2024.05.05
0071
連作短編集。 頃は関東大震災後の8年後。大学生の甘木は喫茶「千鳥」で、ドイツ語教授内田榮三と出会う。本来人の印象に残らない甘木だが、内田は彼のことを覚えていた。 しかし、内田の周りでは不思議なことが度々起こる。動く背広(内田の師、夏目漱石の形見)、喫茶の女中の狐憑き、ドッペルゲンガーの出現など。ドッペルゲンガーについては、内田とは長い因縁があるようだ。 《感想》 ミステリーというよりかは怖くないホラー?内田百閒と甘木が日常で出くわす怪異に対応する、という話。内田のキャラクターが何かしら魅力があって、安心できる。こだわりが強くて、美味しい食べ物が好きで、飄々としていて、観察眼がある。その割には自分の文才の方向が定まっていない時期。甘木に言われて列車の話や食べ物の話を書き始めるところは、実際の作品とつながった感じで印象に残った。
投稿日:2024.04.26
mayuuumiy
なかなか、読み進まなかったのだけど、内容は面白かった。内田百間さんって、こんな感じだったのだろう。 鉄ちゃんだったことに反応
投稿日:2024.02.18
ku-suke
面白かった。内田百閒が大学でドイツ語を教えていた時代に、学生と怪奇に巻き込まれるという内容の連作短編で、背筋が少しゾッとするような話たちだけれど、とても面白かった。今よりも建物の内も外も暗く(暗がりの…多い)、自然が身近だった時代―昭和初期―の雰囲気も話に非常に合っていて、良かった。 私は内田百閒は随筆しか読んだことがないのだけれど、ゆったりおおらかで愛嬌があって味のある…というイメージそのままの百閒先生で登場するのも、面白かった。 昔、宮部みゆきさんがよく超能力者(異能力者)が登場するお話を書いていた時、あまりに描写がリアルに感じられて、宮部さんの近くに超能力者(異能力者)が実在するのではと思っていた(今も思っている)。なので、百閒先生は霊能力が強くて実際に色々不思議な体験をしたからそれを基に怪奇ものを書いたのでは、という発想からこういう話が生まれたのかなと思うと、すごく納得がいく。 著者の三上さんはビブリア古書堂の著者でもあると読み終わって気付いた。私は当作の方が好きかもしれない。続きを読む
投稿日:2024.02.09
ひゃく
少しホラー、怪奇譚。でも怨念や怨嗟といった類ではない。大正から昭和初期の世俗や街並みも丁寧に記述されてとても楽しく読めた。途中まで読んでやっと内田百閒先生って人実在していたような・・・?ってぐらい何も…知らずに読んだけれど内田先生の著書がどういうものなのか興味がわいた。続きを読む
投稿日:2024.02.03
Kumi
誤表記・誤字があった。 校正をしっかりしてほしい。 P. 142 3行目「甘木の言葉」→「青池の言葉」 P. 167 5行目「カンカン棒」→「カンカン帽」
ポイントが追加されました。ポイント明細ページからご確認いただけます。
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