【感想】巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ

竹内早希子 / 岩波ジュニア新書
(18件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • dai-4

    dai-4

    幾度となく本書を取り上げる書評を目にして、これはちょっと読んどかんと、ってことで。内容はというと、ジュニア新書の1つの黄金パターンやね。巨大おけプロジェクトに関しては、技術伝承の途絶を食い止めたってことなんだから、当然高く評価。ただ、一冊の新書としてその経過を読んでも、それほど面白いとは思えなかった、ってこと。続きを読む

    投稿日:2023.12.29

  • 岐阜の学校図書館員が選ぶイチオシ本(仮)

    岐阜の学校図書館員が選ぶイチオシ本(仮)

    醤油・味噌など日本の調味料づくりで長年使われてきた巨大な木桶。この木桶を作ることができる職人がほとんどおらず、巨大な木桶もそれを作る技術も絶滅寸前だという。小豆島にある醤油の蔵元から始まった、木桶作りや木桶技術の保存の取組を紹介した1冊。日本の食文化や伝統だけでなく、「探究的な学び」を理解する上でも参考になる。続きを読む

    投稿日:2023.11.29

  • ロマンスカー読書人

    ロマンスカー読書人

    岩波ジュニア新書で字も大きくて読み易いのですが、内容も充実しています。
    私、発酵食品が好きで、それに関する話も好き。“菌には意識がある”ー理屈だけではわからない発酵の世界。絶滅危惧種の”巨大おけ”が古くて貴重なものだから残していくのではなく、おいしい醤油を作り続ける為に必要だから残す。
    古い桶をばらしたら昔の職人の落書きが...等本文のエピソードも、各章後のコラム(木桶仕込み醤油、たがのあがり・さがりー京都はさがり、木桶とシルクロード...)も楽しい。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.24

  • 某社会科教員

    某社会科教員

    ○新書で「学校生活」を読む⑪

    竹内早希子著『巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ』(岩波ジュニア新書、2023年)

    ・分 野:「学校生活」×「いろいろな人生を読む」
    ・目 次:
     はじめに
     第1章 大桶が壊れた日
     第2章 木の声を聴け――絶滅危惧種、木桶――
     第3章 桶ハザマの戦い!――奮闘、桶職人に弟子入り――
     第4章 木の国、日本――杉とともに歩んできた国――
     第5章 木桶に託した未来への手紙
     第6章 風を吹かす桶屋
     おわりに

    ・総 評
     本書は、途絶えかけていた「木桶」の製造技術を受け継ぐことを決意した“しょうゆ職人”を取材した本です。著者はノンフィクション作家で、これまでも食べ物に関する著作を発表している人物です。
     伝統的な醤油づくりに欠かせない木桶ですが、全国で唯一その製造技術を持つ工場が二〇二〇年での廃業を宣言する中、その技術を後世に残そうと立ち上がったのが香川県にあるヤマロク醤油の社長・山本康夫さんでした。本書では、山本さんとその仲間たちが協力しながら木桶を作り上げていく様子が描かれています。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。

    【POINT①】醸造業を支えた「木桶」の文化
     醤油のうまみや香りは、麹菌・酵母・乳酸菌といった多くの微生物の働きでつくり出されます。木桶の板が多孔質なので、目に見えない小さな穴に醤油蔵の微生物が住みつくことで、木桶の中だけの生態系が形成され、独自の酵母や菌が生まれます。その結果、蔵ごとに“個性”を持った醤油が生まれます。また木桶を作る際には良質な木材や竹が必要になることから、いい木材を育てるために山を守り、竹を育てるために竹やぶを手入れするなど、木桶づくりには「自然とつながって生きる、ひとつの文化」があると著者は指摘しています。

    【POINT②】“しょうゆ職人”の決断――「おもろいか・おもろくないか」
     そんな木桶も、第二次世界大戦後は「時代遅れ」なものとして急速に廃れます。そうした窮地を知った山本さんは、友人たちと一緒に木桶の製造技術を受け継ぐ決意を固めます。本業(しょうゆ職人)との二足のわらじに不安がなかったわけではありませんが、その際に山本さんは「おもろいか・おもろくないか」の二択で考えたと言います。その理由は「おもんなくて簡単なことって続かんけど、ちょっと大変やな、けどおもろいな、と思てたら、多少無理しても続くから」という信念からでした。こうして山本さんたちは、製造技術を持つ工場(藤井製桶所)で修業した後、自分たちの手で木桶を作り上げたのでした。
    【POINT③】次世代に「木桶」を受け継いでいくために
     木桶づくりの技術を習得した山本さんたちにとって、次の課題は「新桶をつくり続けるサイクル」を形成することでした。そのため、彼は全国の醤油の1%に過ぎなかった木桶仕込み醤油の生産量を2%に増やすという目標を立て、全国の蔵元と連携するために「木桶職人復活プロジェクト」というイベントを毎年1月に小豆島で開催するようにしたのです。その結果、歴史的には醤油屋同士の仲はあまり良くなかったにもかかわらず、多くの蔵元――特に「親の代から跡をつぐ二〇代、三〇代の若い蔵元」など――がイベントに参加して木桶仕込みを復活させるなど、着実に「木桶」をめぐる輪が広がっていると言います。

     醤油と言えば、誰もが口にしたことのある身近な調味料ですが、その製造技術の1つが失われかけていたと聞いて意外に思った人もいるでしょう。その技術を受け継ぎ、多くの人へと広げていった山本さんの行動力には驚かされますが、その根本にある基準が「おもろいか・おもろくないか」の二択というのは、シンプルであるが故に奥深いものがあります。本書には、醤油の歴史や様々なコラムも掲載されており、これを読めば、今日の食事で使う醤油がまた新鮮なものに感じられるかも知れません。
    (1369字)
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    投稿日:2023.11.21

  • yoginiinigoy

    yoginiinigoy

    良い本です。
    桶職人がいなくなる問題を嘆くのではく、自分で解いてみた、という、愛があり、楽しい本に仕上がっております。

    投稿日:2023.10.28

  • ジャス

    ジャス

     巨大おけを絶やすな!
     木桶の寿命は100~150年。現在桶屋さんは次々に廃業し、桶が壊れても新しく新調できなくなりつつある。その状況に危機感を覚え、小豆島の醤油蔵「ヤマロク醤油」の山本さんは木桶を自ら作る事を決意する。
     木桶は作るのには非常に高い技術が必要で、その技術の伝承ができないのは日本の伝統にとって、大きな痛手であると本書を読んで感じた。
     木桶の技術が良く分かり、木桶の良さが良く分かり、そしてヤマロク醤油さんはじめ、木桶で酒や味噌を作り続けようとしている人々の思いがとても伝わってきた。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.01

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