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金井美恵子, 金井久美子 / 平凡社 (2件のレビュー)
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総合評価:
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tokosan
タイトルと表紙に惹かれて借りてきたら、文章もだけれどそれに合わせた“絵”がイラストにしろコラージュにしろ本当に楽しくてあたたかくて写真も美しく素晴らしい! 「あとがき」を読むと、本書は2019年から2…022年にかけて「天然生活」誌上に連載された『たのしい暮らしの断片(かけら)』の続編だとか。 手元に置いてときどき眺めたくなる一冊。続きを読む
投稿日:2023.05.13
たまもひ
すごーく綺麗な本で、手にとるとシアワセな気持ちになる。ビジュアル本のようなしっかりした紙に、金井久美子さんの絵がたくさんのっている。エッセイと同じページにも挿入されているのが新鮮。いつもはがさつな速読…派の私だが、ゆっくりじっくり至福の時間をすごしたのだった。 あらためて、金井美恵子さんの文章が好きだなあとしみじみ思った。私も本当はこんな風に書きたいんだよなあなどと、恐れ多くも考えてしまう。思考の流れに乗って、ゆらゆらと続く、それでいてシャープな書き方。金井美恵子さん唯一無二の文体だ。この「天然生活」連載のエッセイは、切れ味鋭いところと、そこはかとなくオカシイところが混在していて、そこがとても良いと思う。 ・かつて身の回りにごくありふれたものとしてあったのだが、今では失われてしまった細々としたものの描写が大好きだ。「手芸用品と洋裁用品を売っている店」にあった「髪飾り用のリボンや、木製やセルロイド、それに新製品の透明プラスチックのパッチンどめ」「リリヤーン、下着の裾やブラウスの胸のピンタックの端に縫い付ける、いろいろな柄のテープ状のレース」「家庭科の時間に使うセルロイド製の裁縫箱、小さな象牙(か、どこの物とも知れない馬の骨)やセルロイドの和裁用のヘラ」「いくらでも品々を思い出してしまう」とあり、自分も一緒に記憶の引き出しを開けて陶然となる。 ・「天然生活」での連載だというのに、こんなこと言ってて、笑ってしまう。 「薬膳というのは、もちろん自然派的なものに決まっていて、体を温める食べものとか冷やす食べものとか言われると、チッ!うるさいね、体を動かせばすぐ、あったまって汗をかくだろ?と野蛮に鼻を鳴らすタイプなのだが」 ・四十年前の思い出として、原宿の駅から乗り込んできた「見るからにブランド品のバーゲン目当てに溜めたお金をフトコロに、地方から上京して来たという様子の二人連れの女の子で、お目当ての服を買うことが出来た幸運と幸福に頬をバラ色に上気させ微笑みあう」のを見ていたら、「私は熱いものがこみあげるのを抑えるのに苦労した」とある。そう、金井さんにはこういうところもあるのだった。 「ブランド品のセールに、若い娘たちが物欲を丸出しにし、血相を変えて我武者羅に押し寄せるということが、さも愚かなことであるかのように滑稽視されてテレビで伝えられていた時代だったのだが、幸福そうなバラ色に上気した顔を見ていると、マスコミ関係のアホ男たちがアレコレ言うことはないだろ?と、つくづく思ったのだった」 まことにごもっとも。 ・NHKのおかしな番組名への言及も、ほんとそうだよねと思った。「グレーテルのかまど」って魔女を焼いたヤツだし、「ダーウィンが来た!」は意味不明。 ・定番の猫話もいつも通り楽しい。愛猫トラーが死んじゃって何年になるのだろうか。久美子さんの絵にも登場するが、実に威風堂々としているのだ。続きを読む
投稿日:2023.04.03
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