【感想】イタリアン・シューズ

ヘニング・マンケル, 柳沢由実子 / 創元推理文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 4.7
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ブクログレビュー

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  • 黒い☆安息日

    黒い☆安息日

    このレビューはネタバレを含みます

    へニング・マンケルのミステリーではない(と言い切っていいのか?とにかく謎解きが主体ではないのは確か)長編小説。

    主人公は元外科医で偏屈じじい、他人との交流を極力断つために無人島に一人で住む。凍った海に浸かったり、ボロ船を直そうとするだけで眺めたり、船で島に来る郵便配達夫をからかったり…まぁとにかくヘンコなジジイなのであるが。

    そんなジジイがかつて手ひどく捨てた恋人がある日、余命いくばくもない重病の末期状態で島にやってくる。付き合っていたころ約束した湖を死ぬまでに見せてくれと言われて、断りきれないじじいは恋人ともに湖を訪れる

    そこから、じじいの人生がエラいこと動き始めるのだが、それはじじいにとっての大事件でも、世界を揺るがすわけでもなく、大金が動くわけでもなく、殺人事件が起こるわけでもない(死別はいくつかあるのだが)

    北欧の荒々しい自然の中を背景に、偏屈じじいに少しずつ人間味が戻ってくる…ただそれだけの話なんだが、なんでか分からないけどとても味わい深い小説。

    読み終わった後、普通なら、もう俺も歳だし、残りの人生「素直に正しく生きよう」と思うはずなんだろうけど、どうしてか「偏屈もいいなぁ、どうせ今までろくでもなく生きてきたんだし」と開き直ってしまいそうになる。ちょっと危険な小説でもある

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.11.04

  • MISERY

    MISERY

    続編が刊行されたので再読。スウェーデンの東海岸にある群島のひとつの小さな島に一人で暮らしているフレドリック、66歳。そこに40年前にフレドリックが裏切った女性ハリエットが突然尋ねてくる。過去に交わした一番美しい約束を果たしてほしいと。フレドリックの頑固さ、自分勝手な性格と、その裏にある一人でいることの孤独や諦観。ハリエットとの再会から少しずつ人生を見つめ直し、そこにある後悔や苦しみと向き合う。タイトルのイタリアンシューズが登場するシーンは何気ないけれど、フレドリックに希望を与えるような素敵な、読み終わった後も余韻が残るもの。この一冊でもとても濃密で素晴らしい作品なのに続編があることがとても嬉しい。著者の〈ヴァランダー〉シリーズとは全く違うものを読める。続きを読む

    投稿日:2023.04.21

  • ゆめこ

    ゆめこ

    ヘニング・マンケルのミステリーではない小説ということで、半信半疑で読み出したのだが、とても読み応えがあった。
    主人公は冒頭はただの我儘な初老の男性とも言えるし、登場人物は全員素敵という訳ではないのだが、読み進めると全員が愛おしく思えてくる。
    シンプルな語り口ながら、伝わるものがあるのはさすがヘニング・マンケルだと思った。
    続きを読む

    投稿日:2023.02.02

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