【感想】データ管理は私たちを幸福にするか?~自己追跡(セルフトラッキング)の倫理学~

堀内進之介 / 光文社新書
(8件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • midoridensya

    midoridensya

    セルフトラッキングのツールが巷に溢れているが、人間が「わかっていてもできない」ダメな存在であるから、それらは人間を補完するツールとして価値を持つものであり、依存せずうまく使っていけば良いということ。
    結論には普通に賛成だが、これだけのことを言うために、敢えて突っ込みどころ満載の批判的意見(自己責任論を強調する、測定すなわち管理につながる、他者との関係が道具的価値を持つようになる、結局支配される、能力を失う)を紹介したうえで、これに対する反論(要するに「いい加減でうまくやれ」)を長々と述べていて、少し飽き飽きしたので星2つ。続きを読む

    投稿日:2023.09.07

  • バスタンテ

    バスタンテ

    このレビューはネタバレを含みます

     人間を取り巻く情報。それらはどのように本人が利用できるのか。どんなリスクがあるのか。

     そこにはどんな配慮が必要とされるか。

     本書は豊富な引用と事例をもとにそれらの問題を浮き彫りにする。

     「高く飛ぶな。しかし、低くも飛ぶな」はイカロスに与えた、父ダイダロスの言葉、という。この言葉の通り、恐れず、しかし軽視せず、対応していく、ということなのだろう。

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    投稿日:2023.05.07

  • 町田

    町田

    人はそもそもダメなものゆえ、トラッキング技術を使ってよりよい人生を送ろうという視点には気づかされることが実に多かった。

    投稿日:2023.03.24

  • aya00226

    aya00226

    このレビューはネタバレを含みます

    アクラシア=自制心がないこと、意思が弱いこと。2種類に分けられる=葛藤しない人(性急な人)、欲望に負ける弱い人。これが習慣になっている人。
    習慣とは長い時間をかけた練習であり、人が自然ととる態度(自然本性)となるもの。
    自己欺瞞(言い訳、開き直り)によって助長する。
    スマホは、アシスタントとしての機能を果たす。

    良い人間の在り方を論じないで、良い人間になるべき(自省録)。
    ヘルスケアアプリの継続率は2日目には30%、7日目には20%、1か月後には10%。

    ソクラテスは文字が思考力や記憶力認知能力などを退化させるのではないかと危惧している。スマホによって漢字を憶えなくなるのと同じ。

    今の日本では、健康管理が自己責任化されている。病気になるな、だが長生きもするな、と言われているようなもの。=社会に迷惑をかけるなという趣旨。

    コンピュータ適応型テスト=解凍時間に関するデータを収集することで不正を検出する。
    時間制限のある試験は、適性や知識ではない能力を測るもの。アメリカのいくつかの州は司法試験や医師国家試験などで、時間制限を課さないものもある。

    地域ポイント制度(介護ポイントなど)=ボランティアに内在する価値を変質させる。義務論でいえばポイントに交換、はおかしな制度だが、功利主義なら合理的。

    girls around me 周りの女性のプロフィールをFACEBOOKのデータで閲覧できるソフト。ストーカーアプリとして批判された。
    GPSの活用によって、エスキモーがクレバスを避ける技術を失い危険が増えた。

    監視カメラによってみられている可能性があると、自ら正しくふるまうように促す。監視カメラの客体になることで道徳的主体に変容せざるを得ない。スマートウォッチなどのセルフトラッキング技術はその傾向を助長する。

    自立とは依存しなくなることではなく、依存先を増やすことが自立。生きていることは他者のおかげである。他者とは技術やインフラを含む外部を指す。

    バイアスを除くことは間違いを認めることと同意であり心理的な負担がある。
    適切な修正は難しい。認識的パターナリズム=認識上の間違いに対して他者の行動を制限することでま間違いを生じなくさせること。
    パターナリズムとは、シートベルトの着用、ドラッグの禁止などで、個人の自由に干渉すること。

    ナビよりウエイファインディングで、町中の目印を一緒に伝える。


    自制心のなさは、アクラシアとして知られていたが昨今は自己欺瞞もこれを補強している。
    高く飛ぶな、しかし低くも飛ぶな。
    行動を促すのはアラーム機能が得意とするようなもの。
    アラームによって、認知タスクを減らす。

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    投稿日:2023.03.17

  • gakudaiprof

    gakudaiprof

    自己追跡(セルフトラッキング)について様々に書いてあるものであった。これを専門として卒論が書けるかどうかはわからない。

    投稿日:2022.09.16

  • tokyobay

    tokyobay

    一般的にテクノソリューショニズムはカント的な自由や自律の観点から否定的に語られがちだが、本書はフーコーやマッキンタイアに言及しつつ、「依存先を増やしていくことこそ自立」という医師の発言も用いて、人間と技術の間にも「関係的自律性」が可能であると肯定的に評価する。そして、道徳性を補完し向上させるテクノロジーとして「ソクラテスAI」の活用を唱える。ここで問われるのは技術者倫理であるが、設計者まかせにすることなく民主的なフィードバックをすればよいとしている。
    ここで懸念されるのが、このフィードバックシステムは果たして機能するのだろうかということである。AIによって生成されたある特定の道徳観が植え付けられ洗脳されれば、フィードバックすらさせないようにコトントールすることも可能になるのではないか。そもそも各文化圏毎に何らかの規範や道徳観のようなものがあるとしても、それが未来永劫正しいとも限らないし、従わなければならないということもない。また、道徳指南されるAIとは別のチャネル(宗教や古典や歴史観等々)がなければ多様性も確保できずフィードバックも不可能であり、結局はここに矛盾が生じる。この辺は民主主義に関わる問題でもあるが、気を付けないとプロパガンダによる大衆操作と同じように、独裁者が全体主義的に活用する懸念もあり、それは歴史上繰り返されてきたことである。
    ダメな自分を技術によって改善し、One for all,All for oneの精神で社会もより善くしていこうという著者の主張には興味深い点はあるものの、人間と技術の構造的な関係性だけではなく、その中身や機能や運用まで科学哲学的な観点からもう少し深く掘り下げて考える必要があるのではないだろうか。
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    投稿日:2022.08.24

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