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有栖川有栖 / 角川文庫 (3件のレビュー)
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dai-4
”差がつく読書術”から。以前読んだ、重松版文庫解説集が全然ダメだったから、ひょっとして本作も…って読む前から危惧してしまったけど、杞憂でした。こちらは扱われる作品がミステリ中心で、必然的にネタバレなし…になるから、その分、対象作品の周辺事項とか、同作者の案内とかに文章が費やされることになり、今日を削がないってのも一因か。実際、本書を通読しだ場合、著者のミステリ論議として楽しむことが出来る結構。ブックレビューというよりは論考、そしてその趣向が上手く活かされている。だからというか、ピックアップ作品は、残念、なし。続きを読む
投稿日:2024.02.06
沙都
単なる「次に読みたい本が見つかるブックガイド」ではありません。 有栖川有栖さんの文庫本のラストに収録されている解説を集めた一冊。 ミステリ界のフロントランナー有栖川有栖が、ミステリだけにとどまらな…い豊富な読書体験と知識をもって、古典の名作から近年の注目作までを敬意と愛をこめて語ります。 ミステリ初心者は古典や名作の橋渡しになるはず。そして中級者以上なら新たな作品の発見や、一度読んだ作品でもまた違った読書のポイントを見つけたり、作品の素晴らしさを再発見できるでしょう。 現に自分は今まで名前しか知らなかったQEDシリーズや、建築探偵桜井恭介の事件簿に俄然興味が湧いてきました。シリーズの途中の作品に収録された解説にも関わらず、そのシリーズの魅力をたっぷりと伝えてくれます。 元々自分がミステリ好きなので、収録されている解説は思っていた以上に既読のものがありましたが、こうして一冊の本にまとめられ順々に読んでいくと違った味わいがあります。 先にも書いたように古典の名作から最近の注目作まで幅広く解説されているので、ミステリ史をこの一冊でたどっていったようにも感じられるのです。 江戸川乱歩の「明智小五郎もの」や松本清張『点と線』。クイーン『Xの悲劇』、クリスティー『オリエント急行の殺人』といった古典の名作。綾辻行人をはじめとした新本格ミステリ作家の作品。そして近年を代表するミステリ『屍人荘の殺人』 オールドスタイルから新たな怪物的ミステリの誕生までがこの一冊に収められている。そこに新本格のトップランナーとして走り続ける有栖川さんがときに熱く、ときに知的に、ときにユーモアを交え、作品を語ってくれるのだからミステリ史から見ても貴重な一冊なのではないかとも思えてしまう。 ミステリ以外の作品の解説も収録されています。エッセイやSF、ホラーまで幅広いので、新ジャンルの開拓にもなるかもしれません。 特に「鉄道探偵の冒険」は面白そうだった。小池滋さんという方の『「坊ちゃん」はなぜ市電の技術者になったのか』という本に収録された解説ですが、名作文学に鉄道という視点から考察を加えていった評論集だそう。 『鉄道と文学に留まらない豊かな学識、犀利な推理と洞察に満ちた一冊である。著者が鉄道や文学にそそぐ愛情は、それらを生んだ人間にも及んでいる。ふくよかなユーモアは、読む者を幸せにしてくれる。これ以上、望むことはない。』 軽やかで興味深い作品紹介のあとに、こうした文章がさらりと挟まれると、読みたい気持ちが増してしまう。 最初に書いたように有栖川さんの豊富な知識やミステリだけにとどまらない読書体験が、作品を重層的にとらえ直します。 そして作品に対し、作者に対し、ミステリというジャンルに対し真摯で真面目で優しい有栖川さんの視点と文章が、自分の中にそっと根を下ろしていく感覚を覚えます。 自分も本を紹介するときはこんな文章を書きたいと心の底から思いました。こうした文章を書けるのは単に知識や経験だけではなく、もっと深い有栖川さんの人間的な魅力もこの文章の中に息づいているからでしょう。続きを読む
投稿日:2022.04.20
こんちゃん
有栖川氏の独断と偏見による(ちょっと言い方キツイけど悪く言ってるわけじゃないです)この本いいよ! な、ミステリのブックガイド。 読みたい本が増えてしまったじゃないか、なんて事をしてくださったんだ!(笑…)続きを読む
投稿日:2022.04.14
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