【感想】オベリスクの門

N・K・ジェミシン, 小野田和子 / 創元SF文庫
(9件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • エスカイア本八幡

    エスカイア本八幡

    『第五の季節』は旅の物語だったが、一転してコムに定住していくことになる。エッスンが地下都市カストリマで出会う女長イッカとの対比がおもしろい。エッスンは夫・娘に逃げられ、旅のお供は石喰いホア一人だけ、生きる目的は娘に再会すること。一方イッカはオロジェンであるのに関わらずコムを存続させるために仲間とともに力強く生きて行っている。その違いはエッスンの強力すぎるオロジェニー能力と虐げ続けた人生に起因すると思います。本当は普通の家庭を築きたかっただけなのに、オロジェニー能力が高すぎるためとフルクラムでの洗脳に近い教育を受けてきたため地球の存続の鍵を握る人物なってしまう悲しい人生がひしひしと読み取れます。

    地球が滅亡するか復活するか、地球上のあらゆる生き物にはどちらを選ぶかという意志は無いように思います。地球自身も決めかねている、滅亡したほうが良いのか存続したほうが良いのかを。だから石喰いのメッセージも受け取るオロジェンによって受け取り方に違いがでてきているのだろう。地球の存亡を決めることができるのはエッスンとナッスンのみ、ここにも二人が究極の孤独感を感じなければならない理由があります。

    最後の戦闘シーンは前作『第五の季節』をはるかに越えるスケールがものすごい。想像力を最大に発揮して、その美しく残酷な物語に浸ることができるのは大変幸せだ。
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    投稿日:2023.05.25

  • Krillin

    Krillin

    まどろっこしいし長いしで、読むのに時間がかかってしまったがやはり面白い!後半は壮大な世界観に没入してハラハラした。

    数百年ごとに繰り返される〈季節〉という天変地異をどう生き延びるのか?
    強大な力を持つオロジェンである母と、オロジェンを憎むあまり弟を殴り殺した父の間で板挟みになるナッスンが、悲しみを背負いながら成長する姿に胸を打たれる。

    これまでは地殻変動やプレートの動きなど地中深くのエネルギーを利用してきたけど、今作からは空の話も加わり俄然SF要素が増して神秘的。
    三部作がどんな結末を迎えるのか楽しみ!
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    投稿日:2022.10.02

  • ボマルツォ

    ボマルツォ

    思わせぶりーふすぎ。
    難解風な会話を楽しめるならいいかもだけもど、無駄に長いだけと感じてしまう。かいつまんで読んでもストーリー追えるから、きっとそう。

    投稿日:2022.06.27

  • kall1017

    kall1017

    この世界のメンバーの姿がより詳しく掘り下げられているけど、それぞれの勢力の中でも目的が異なる人(?)々が居て、全貌が把握しきれない。各勢力の相関図とか誰か作ってくれてないかな。
    今年出る予定の3巻は何月なのかな続きを読む

    投稿日:2022.02.05

  • mamimina

    mamimina

    石や土に力をもらう、そのパワーを利用する異能の話といえば、往年のマキャフリー『クリスタルシンガー』から少年ジャンプ+連載中の『アラガネの子』までいろいろありますが…ロマンですよねえ! しかしこの物語の壮大さよ。
    地球の気候が荒れ狂い、異能者たちの力を借りて必死で生きてる人類が描かれる3部作で、前作ラストではこの災厄の理由が明らかになり(子ども、大人、中年の3人の女性のバラバラなストーリーがよりあわされていく見事さよ)、「中」にあたる今作は母と娘それぞれが自分の能力を確立して行くさまが主題。
    母エッスンに、その元師匠兼恋人で最高の能力を持つ性格破綻者アラバスターに、能力者たちを管理する役割でありながら荒ぶってしまうジャファに、惹かれずにはいられない、堂々たるキャラ造形。娘のナッスンもいじらしい。
    そして勝山海百合さんの解説を読んで、遅まきながらこの作品が、黒人女性である作者が「搾取者と非搾取者」を投影したものであると知る…意識低くてごめんなさい…。『地下鉄道』も読んだのに。
    しかしまあ、それわからなくてもおはなしとして本当に面白いのだ。ヒューゴー賞3年連続受賞という前人未到の記録に輝く最終作の刊行が楽しみ!
    あ、訳も秀逸で、「地覚」とかfxxkの意味で使われる「錆び〜」といった創作語も良き
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    投稿日:2021.12.20

  • ひじり

    ひじり

    このレビューはネタバレを含みます

    『第五の季節』の続編ということで。
    続編というか、上・中・下の中巻といった感じ。
    三部作にしてすべてヒューゴー賞というのがすごいけど、ヒューゴー賞ってファン投票なので、まあ客観性が欠如する時もあるのかもしれない。

    ★3にしたのは、『第五の季節』ほどの衝撃はなかったから。
    この作品では物語はエッスンとナッスンの二人を主軸として語られる。前作では3つの物語が交差していったが、今作は2つだ。
    前作ではその3つの物語が終盤で収束していき最後驚きの伏線の回収があったが、今回はそういったことはない。前回ほどでは、と思わせる理由はそのあたりが要因かな。

    一つは、ホアがなぜ語り手として居続けるのかがわからない。少なくとも今作では解明されなかった。三作目で判明するのか、一作目でのラストの驚きがすべてなのか。
    もし前者ならやっぱり一作品の上・中・下にすべきだったのではと思うし、後者なら、うーん、別作品なんだから変えた方が良かったような。あまり意味を感じない上、途中のホア失踪時には破綻しているし。

    また一つは、前作では大きく感じた物語が、今作では少し必要以上に大仰な印象。SFというよりファンタジーになってしまった。
    結局オベリスクが何なのか今ひとつわからない。ネットワークって何だろう。具体的な説明より抽象的な表現で物語が語られるので、なんだかもやもやが残る。初めからファンタジーを求めていれば問題ないのかもしれないけれど、私が求めているのはSFなのだ。

    一年後、一応三作目も買って読むとは思うが、この分だとがっかりしそうな気がしなくもない。
    せっかく出会ったと思ったんだけどなー。

    作者が女性と知って、すごい! と最初は思ったが(多くの優れたSFは男性によって生み出されている。残念なことに)、ファンタジー要素をより感じる今は納得。
    そうだ、これは女性的な作品だ。

    ヒューゴー賞に疑問を抱くことになった初めての例。

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    投稿日:2021.11.16

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