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中村圭志 / 日経ビジネス人文庫 (6件のレビュー)
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総合評価:
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杉浦 亮
これまでシリーズとして読んできた、30の歴史シリーズの派生版といったところでしょうか。 歴史や世界遺産などを学ぶと、その背景にある思想、哲学、宗教というものが必ず影響していると感じているため、そして共…用としてもこのようなことを知っておいて損はないと感じます。 この本は、宗教の元となったと考えられる各地域に残る神話に注目しており、これまでとは違ったテイストの歴史関連の書籍です。 幅広く地域や年代から、宗教につながる神話を紹介していますので、昔話を読んでいるような面白さがあると同時に、どの地域にも似たような神話があり、それが地域や年代を越えて影響を与えている様がよくわかります。今後、思想・哲学・宗教に関して知識を得たいときは、再度読み返してみたいと思います。 <目次> 序章 神話と宗教の歴史 概観 ●PARTI 多神教の神話 1章「英雄の竜退治」神話ーースサノヲ、ペルセウス、セント・ジョージ 2章「豊穣と冥界下り」神話ーーペルセポネ、アドニス、オホゲツヒメ 3章「天界の王権交代」神話ーーゼウス王朝、アマテラス王朝 4章「神々の浮気」神話ーーオリュンポス十二神、ヤチホコの神 5章「苦難の英雄」神話ーーヤマトタケル、オイディプス、ヨブ 6章「トリックスター」神話ーーヘルメス、ロキ、ワクジュンカガ ●PARTII 一神教の神話 7章「出エジプト」神話ーーユダヤ教の起源 8章「天地創造」神話ーー多神教から一神教へ 9章「アダムとイヴの失楽園」神話ーー原罪の思想 10章「ノアの洪水」神話ーー審判の思想 11章「悪魔との闘い」神話ーーゾロアスター教と善悪二元論 12章「贖罪のキリスト」神話ーーキリスト教の起源 13章「神の子イエスの奇跡」神話ーー四つの福音書 14章「大天使との夜の旅」神話ーーイスラム教の起源 ●PARTIII 東洋宗教の神話 15章「シッダールタ王子の精神修行」神話ーー仏教の起源 16章「久遠のブッダ」神話ーー大乗仏教:法華信仰 17章「極楽世界への往生」神話ーー大乗仏教:浄土信仰 18章「曼荼羅のコズミックパワー」神話ーー大乗仏教:密教 19章「文字では伝わらない」神話ーー大乗仏教:禅 20章「ヴィシュヌとシヴァ」神話ーーヒンドゥー教の世界 21章「祖先と神仙」神話ーー中国宗教の世界 22章「穢れを祓う大祓」神話ーー日本宗教の世界 ●PARTIV神話と宗教の現代 23章「来世」神話の行方ーー冥界、天国・地獄、輪廻、希薄化 24章「奇跡」神話の行方ーー自己啓発、反知性主義、無神論続きを読む
投稿日:2021.09.23
koochann
ギリシャ・ローマ神話、一神教(聖書が共通)、仏教、そして日本の古事記・日本書紀から始まる日本神話、中国宗教、古来インド神話などを詳細に語る。キリスト教については非常に悪意に満ちたという表現が当てはまる…ほど、全て神話にしてしまっているところが、多くの人々が本当に信じていることの説明になるのか?と仏教やヒンズー教に対しては思ってしまった。逆に儒教・道教は単なる道徳ではなく、なぜ宗教なのかはこの説明で納得したように思える。また多神教の世界のはずが、釈迦は実質一神教的になったとの説明も納得。先祖崇拝、呪術的な部分が多く含まれているのだ!一神教であってもカトリックの聖者、イスラムの天使などが必要以上に持ち上げられることに建前は別として多神教的な感性が逃げ延びているという表現は的確で頷けた。 愉しいお話の紹介。P336「世界にゼンブディズムを広めた鈴木大拙は、ある国際会議で「『旧約聖書』に神が"あれ"といわれて夜と昼が生じた、と書いてあるが、いったい誰がそれを見ていたのだ」と問うた。聖書批判を始めたのかと思ったが、大拙は一呼吸置き、「わしが見ていたのだ、このわしが」と言い放った。一同はポカンとするばかりであった(秋月龍珉『一日一禅』)天地創造の場面は心が世界の主体と考える仏教ないし禅に言わせれば、天地創造を見ているのは、聖書を前にして「天は誰が見ていたんだろうなあ?」と想像をめぐらしている読者自身以外にあり得ないということだそうだ! ヒンドゥー神学者によれば、三柱の神は「三神一体」だそうだ。ブラフマー(宇宙のエネルギーそのものであるような神、仏教で言う梵天)が天地を創造し、ヴィシュヌが保持し、シヴァが破壊(新たなる再生のための破壊)するのだそうである。面白い!続きを読む
投稿日:2021.06.25
tsucchy
宗教成立の歴史を横並びで時系列で俯瞰して説明していることが、おもしろい。。神話から宗教への変化、それが、東西ほぼ同じ時代に起こったことは、興味深い。自分自身の宗教感も少し変わった感じがする。
投稿日:2021.06.13
雷竜
予想以上に面白かった。最初は少し退屈に思ったのですが、途中からは面白かったです。やはり今日まで語り継がれる「神話」は、その価値や意味があるのだ。そしてそれが果たす役割があった。 我々からするとヤハ…ウェなんてとてもまともに信じられないのですが、ユダヤ人は本気で信じています。そしてその宗教的確信が民族としての存続の鍵でした。 宗教を理解しないと世界も歴史もわからない。真をを理解しないと宗教はわからない。だから神話の大雑把なところは理解しておく必要がある。 この本のいいところはそれぞれの神話をクールに理論的に語っているところです。旧約聖書もそうだけれど、それ自体を読んでもわからないのだ。そういう意味でもこの本はオススメです♪続きを読む
投稿日:2021.06.06
くまくま
「神話と宗教を一続きの歴史として解説する本」というコンセプトに興味をもち読む。神話と宗教から横断的に共通する部分や異なる部分を抽出しており面白かった。それぞれはダイジェストなので個別にもっと知りたい。…意外に仏教を1番知らないかも。続きを読む
tboard
このレビューはネタバレを含みます
宗教って前から興味があったけれど、なかなか不気味で難しいテーマで、手を出しにくかった。この本はとてもわかりやすく深堀りしてくれている。広く、深く、宗教や信仰心に触れられる良い本だと思う。 現代では、宗教や神話のエッセンスは、小説や児童文学やアニメなどに息づいているとのこと。村上春樹、宮崎駿、ハリー・ポッター、などなど。確かに現代版の神話となっている感がある。 多神教は農業から生まれたという。農業という新しい厳しい環境から、その時代の人々の想像力によって、拠り所として生み出された神様たちとその物語。 多神教の神々はとても個性的で面白い。あまりにやんちゃで奔放すぎるので、しばらくすると筋の通った全知全能の絶対神を求める声が強まって、一神教が生まれたという。なるほど。 昔の聖職者は、精神的な役割だけではなくて、技術的な役割も担っていた。農業や医療の場で、具体的に行動をしていた。今では科学者や医学者がいるので、聖職者の役割自体が変わったのだという。 昔は今よりも社会が混沌として理不尽だったので、来世に託すという思想がないと、やってられなかった。社会が安定して、今生きていることに幸福が見いだせると、来世よりも現世にフォーカスできるようになる。 それでも、あやしい呪術的なものを信じてしまう人間の性からは、これからも自由にはなれないらしい。確かに、STAP細胞騒ぎとか、オウム真理教とか、挙げたらきりがない。
投稿日:2021.05.02
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