【感想】あの人と短歌

穂村 弘 / NHK出版
(19件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ひろ

    ひろ

    穂村 弘さんと短歌好き16名のゲストとの対談集。
    作家や翻訳家、歌手、モデル、マンガ家など様々な分野で活躍しているゲストの方々の、短歌に興味を持ったきっかけから、歌に託す想い、短歌の楽しみ方など様々な角度から語られていく。
    ゲストによって話題や質問を変えながら、その人らしさを最大限引き出していくところに穂村さんの懐の深さを感じた。

    表現の方法がたくさんあるなかで、なぜ短歌なのか。
    短歌は詩や俳句、小説とはまた違った魅力があることを教えてくれる内容だった。
    三十一文字と決められた音数のなかで歌を作る。
    それを制限として窮屈に感じる人もいるし楽しめる人もいる。枠があることでかえって飛躍できる人もいる。
    短歌は、今日の朝ごはんのおかずが納豆だったか鮭だったかといった些細な違いによって作品が変わってしまうような微細な表現。
    だから、自分の主義や信条のような変わらないことを美徳とするものは短歌には向かないのだそう。
    また時代の流れとともに読まれる歌も変化している。
    限られた文字数の中でいかに多くの情報を伝えられるか考えられてきた昔の歌は、読み解く力さえあれば噛み応えも達成感もあって楽しい。
    情報が少なくストレートに伝わってくる現代の歌は、読者の体験や記憶などその人の中に眠っている多くの情報を引き出すことができる。
    時代の流れとともに歌の味わい方も変化しているのだなぁ。
    なんとなく短歌っていいなと思っていたのが、この本を読んで、やっぱり短歌っていいなと思った。


    初めての短歌ならと、まことさんからお勧めいただいたうちの一冊です。とっても面白かった!教えてくださりありがとうございました。
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    投稿日:2023.06.02

  • とあまる

    とあまる

    key word 対談集 短歌 ゲストジャンルは様々 牧水すごい 現代近代歌

    短歌はすごい、エッセンスや感性・文法が凝縮されている気がする。だから深く、ゆっくりと味わいたい。好き。でも不安になる。私の一方的な感覚で読んで良いのか…。
    歌集も好きだけど、対談集やエッセイ付きのものは読み人や選者の話も聞けて安心して読める。この本は安心したり、新しい一面と出会ったり、感覚・感性を擦られるいい本です。穂村さんの少し内向的で穏やかな印象が尚更素敵です。
    素敵な本、ゆっくり丁寧に読みました。
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    投稿日:2022.09.25

  • 張飛

    張飛

    エッセイストや俳人など、様々な分野の短歌好きな人と対談しているから、短歌の魅力を再発見できる。

    著者の短歌に対する考え方も知ることが出来、短歌を作るうえで参考になるような言葉もたくさんあった。

    番印象に残ったのは著者が、歌人の鳥居に贈った言葉。彼女の魂を「磁力」に例えて、こうアドバイスしている。

    「それを意外なところに突っ込み続けていけば、まだまだ良い歌ができますよ。それこそ幸せな状態とか、恋愛について書いたらどうなるのか、とか。まだ突っ込んでいないところはいろいろあるわけですからね。」

    俺は、この言葉を読んで今まで詠んでなかったような事も短歌にしていってみようと思った。
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    投稿日:2022.08.28

  • Pooh

    Pooh

    穂村弘さんとゲストが短歌について語り合う対談集。NHK短歌の連載をまとめたもの。
    なにげなく手に取って読もうと決めたのは、最初が北村薫さんで、最後が俵万智さんだったこと。
    歌人ではないゲストとの対話なので、門外漢でも共感できる部分も多くあった。
    短歌と俳句や詩など他の表現形式との違いあるいは共通点など、いろいろと参考になることも多くあった。
    短歌の世界って、歌を作る・詠むのではなく、ただ鑑賞する・読むことすら敷居が高く感じてしまう、私のような人間でも楽しめた。

    保坂正康さんは岸上大作と同い年だそう。
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    投稿日:2022.05.07

  • コナン.O.

    コナン.O.

    穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に連作「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸等とともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。エッセイスト、絵本の翻訳家等としても活動している。
    本書は、月刊の「NHK短歌」テキストの連載「穂村弘、対して談じる」で、穂村弘が短歌好き16人と対談した内容(2016年7月号~2020年6月号掲載分)を、加筆修正の上まとめたものである。対談者は、歌人、小説家、エッセイスト、漫画家、翻訳家、詩人、俳人、女優、ノンフィクション作家、翻訳家、シンガーソングライター、ブックデザイナー等。
    私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持ち始め、これまで俵万智、穂村弘、東直子、枡野浩一、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら等の歌集や短歌入門書、いくつかの現代短歌のアンソロジーを読み、半年ほど前から新聞短歌に投稿している(最近ぽつぽつ採用されるようにもなった)。
    また、穂村氏の作品では、歌集『ラインマーカーズ』、入門書の『はじめての短歌』、『短歌という爆弾』、エッセイ集の『鳥肌が』(講談社エッセイ賞受賞)、『蚊がいる』をこれまで読んできたが、穂村氏は、間違いなく、現在最も人気が高く(一般人を含めた知名度の高さという点では、やはり俵万智だろうが)、私のような素人歌人を含めた短歌ワールドに最も影響力があると言って過言ではない歌人であり、穂村氏が様々な文筆関係の人々とどのような議論をするのかが興味深く、また、自分の作歌の参考になるのではないかと思い(穂村氏は「日経歌壇」の選者にもなっている)、本書を手に取った。
    読んでみると、それぞれの対談に面白みがあったが、自らの作歌と新聞歌壇への投稿という観点から興味深かったのは以下のような点である。
    ◆アララギが生んだ「対象をありのままに写し取る(写生)」という作風が、「生活をそのまま歌えばいい」、「日記のように書けばいい」と誤解・了解され、単純化された形で広まったことが、現在の新聞歌壇を支えており、そのために、短歌は限られた人のマニアックなものとして衰退することなく生き長らえ、定型詩人が最も多い国・日本を作っている。
    ◆短歌には、自分の信念・主義・信条をそのまま書いてしまってはダメである。短歌とは微細なことに影響を受ける表現であり、十年後も変わらない(可能性が高い)信念・主義・信条は短歌の表現とは言えない。
    ◆「反論の余地がないこと」、「身も蓋もないこと」を詠った歌、更には「批評性」を持った歌(石川啄木など)は、歌人にはあまり人気がない。歌人は、批評性があるものを生理的に好まず、大きな空っぽのある人、巨大な天蓋みたいな人を好む性癖がある。理屈よりもパッション。
    ◆これまでは「言葉の翼を広げて、高く飛ぶのが良い歌だ」と思っており、今橋愛、雪舟えま等の「格闘技における飛び技」のような歌を推してきたが、いつしか、斉藤斎藤や永井祐の「格闘技における寝技、締め技、関節技」のような歌の地味な凄みに惹かれるようになった。
    (2022年2月了)
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    投稿日:2022.02.02

  • hiyorimi16

    hiyorimi16

    エッセイの印象があったので、意外なくらい聞き上手だなと。朝吹真理子との対談のちょっと噛み合わない感じがよかった。

    投稿日:2022.01.07

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