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高橋 大輔 / 朝日新聞出版 (23件のレビュー)
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gattolove
1907年未踏峰とされていた剱岳の登頂に成功した者が見つけた古代の仏具、錫杖頭と鉄剣は誰がいつ、何のためにどうやって登頂して残したのか? そのミステリーを解く旅の物語。 最近剱岳登頂を果たしただけに、…とても興味深く、著者が考える早月尾根コースも登ってみたくなりました。 今ではハシゴや鎖、アイゼンなど安全のために登りやすくなっている剱岳は、そんな物のない時代は空身で登るだけでも大変な山だったと思う。 疑問を解き明かすために何度も剱岳へ登り、果ては道なき道を登って推理していった作者の執念の記録である。続きを読む
投稿日:2023.09.20
つくね
高橋大輔さんって、えっ、著者が気になって触手がのびた1冊。しかも、新田次郎さんの名作「劒岳 点の記」をパクったようなタイトルにインパクトを覚えました。 あのフィギュアの方とは同姓同名の方で自称探検家ら…しい。 鼻息荒く、剱岳のファーストクライマーは誰か!とか、無茶テンション上がり歴史ロマンを感じていたのですが尻すぼみな内容でした。 冒頭から、あの名作の山学会と測量隊の登頂を競う争いはなかったと切って捨てた時点でテンション爆下がりました。あっちはフィクションで私のはノンフィクションだと強調するあたりで興味なくなってしまいました。 ま、でもせっかく図書館で借りてきた本だしもう少し付き合ってやろうじゃないかと読んでみたけどなんだかねって感じです。 剱岳の登頂ルートは大きく4つあるんですが、2つは一般登山者ルートで、残り2つはピッケルにアイゼンに、登攀具が必要なエキスパートルート。ちなみに、点の記で登頂したのは長次郎谷から雪渓を詰めていくエキスパートルートで、無茶ロマンを感じますし、私もいつかいってみたいと思っているルートなんですけどね。 平安時代に山頂に錫杖残した人はクライミングギアとか持ってないだろうとゆうことで2つの一般ルートに絞って調査がはじまる。もうここらで、川口宏探検隊のイメージが頭をよぎってしまいました。 私もこの2ルートは登ったことあるんですが蟹のヨコバイ、タテバイのある別山尾根ルートはいまでこそ鎖とかあり整備して登りやすくなっていますが整備してなければまず無理でしょう。100歩譲って登頂できたとしても降りれないと思います。 となると有力なのは西側から登る、早月尾根ルート、ここは日本一過酷な山岳レースで知られるTAJRの選手たちが最初に駆け上るルートです。 以下略 誰が最初に登ったかって誰でもいいじゃないって思うんですよね。平安時代の誰かが登ったかもって思うだけでもロマンがあるし、山岳信仰とかは別に興味ないんですけどね。 私にとっては自分が登ることが好きなので、登れたことがただただ嬉しんですよね。 まっ、そんなんでげんなりしちゃって読むのは途中放棄してしまいました。 忍耐力なくってすみませんでした。続きを読む
投稿日:2023.02.18
えり
前人未到の剱岳に平安時代に登った人達がいる、という謎に歴史好きとしてはすぐに引き込まれた。著者が入念な資料による下調べをしつつ、何度も何度も実際に山に登るという行動力がすごい。5W1Hの仮説をたてつつ…、それを随時修正しながら答えに辿り着くというアプローチも面白い。私は山や立山の地名に疎いので、本にも登場するNHKの番組を見ながら本を読むことで現地のイメージを膨らませる事ができてよかった。が、最後で明治時代と平安後期を開国の時代として共通の視点で見ているのはやや疑問かも。続きを読む
投稿日:2022.05.05
本ぶら
このレビューはネタバレを含みます
注!内容に触れています 「剱岳に初登頂したのは誰か?」、「平安時代の初登頂ミステリーに挑む」って、そりゃいくらなんでも面白そすぎだろ!って読んだ本。 ……だったんだけどー。 なぁ~んか、イマイチ、エキサイティングじゃない(^^ゞ この本のハイライトって、絶対、第8章の著者が初登頂(というか、恐らく「開山」) ルートと推測する、立山川を遡行→「ハゲマンザイ(という場所)」から早月尾根に上がるルートを登った時の記録だと、(自分は)思うのだ。 でも、それって、250ページくらいあるこの本で、25ページくらいしかない(^^; それ以外は、著者による「剱岳ファーストクライマーの謎」、つまり、 「いつ:山頂に立ったのは何年か」 「誰が:山頂に錫杖頭と鉄剣を置いたのは誰か」 「どのように:どのように山頂を極めたのか」 「どの:どのルートから山頂にたどり着いたのか」 「どこに:山頂のどこに錫杖頭と鉄剣を置いたのか」 「なぜ:なぜ山頂に立とうとしたのか」 という推理について、資料をあたったり、人に聞いたり、劔に行ったりして繰り返すばかりなのだ。 いや。そのことに興味はなくない。 著者が様々な経緯を経て、その推理が変遷していくのも。 だって、だからこの本を読み始めたんだもん。 でもさー。それは、劔岳なのよ(^^ゞ。 劔だからこそ、最初に登ったルートがどこか? それはどんなところなのか?というのはすごく興味がある。 つまりだ。 それと比べちゃったら、最初に山頂に立ったのが誰か?とか、錫杖頭と鉄剣をどこに置いたのか?等って、正直どーでもいいのよ。←身も蓋もない(^^; ぶっちゃけ言っちゃうなら、この本って、その山が劔じゃなかったら、エンタメ本としては出版されてなかったと思うの。 どこかの1500メートルくらいの地味ぃ~な山だったとしたら、民俗学的な学術書的な出版のされ方をされていたように思うのだ。 立山川から早月尾根へのルートを実際に登った時のことは、実際にテレビ番組になったらしいが、それも、やっぱりその山が劔だったからだと思うのだ。 劔岳って、そのくらい魅力がある。 第1章で、著者は現在の一番ポピュラールートである別山尾根から山頂を目指した時のことを描いている。 その中に、“一難去ってまた一難。次は平蔵の頭が待っている(中略)登山者は山頂の手前まで迫りながら、その巨大な障害物を乗り越える試練を与えられる”とあるんだけど。 「平蔵の頭(ずこ)」なんていう場所、全く記憶になかったのに、“山頂の手前まで迫りながら、その巨大な障害物を乗り越える”という文を読んでいたら、ふいにその時の記憶がまざまざと甦ってきたのだ。 その時というのは連日の雨で。劔沢で2日間停滞した後のわずかな雨の止み間だったから。一服劔から先はほぼガスの中で、ほとんど視界はなかった。 そんな中、急にガスの中に黒々と巨大な影が現れて、ちょっとドキッとした記憶があるのだが、あれがもしかしたら「平蔵の頭」だったのかもしれない。 そんな風に、著者は情景の描写に優れているように思う。 だからこそ、立山川から早月尾根の件も、もっと詳しく描いてほしかったなーと、そこはすごく残念(^^; ただ、最終の推測である、劔岳は実は古くは多くの人に登られていて。でも、加賀藩が山中での活動を制限、立山信仰の地を一本化したことで、立山川から早月尾根に至るルートは忘れ去られてしまった。 その結果、室堂起点の信仰では劔岳は「登ってはならない山」→「登れない山」へと変わっていったという推測はすごく納得出来る。 ただ、うがった見方をしちゃうと、著者って、本当に劔岳の昔のルート(著者の言うところの「初登頂ルート」)に別山尾根を想定していたのかなぁーって勘繰っちゃうのだ(^^ゞ もちろん別山尾根は立山三山に連なる尾根だから、立山三山に登るために知られていたとは思う。 でも、今は地図があるから山々の位置を上空から俯瞰は出来るけど、昔はまずは下から見るしかなかったわけだ。 下から見て、「あの山はどこから行ったら登りやすそうか?」「どこが一番近いか? 早く登れるか?」と考えたと思うのだ。 だとしたら、普通に考えたら早月尾根…、だよねぇー(^^ゞ だって、修験道とかもからんでいるわけでしょ? なら、甲斐駒のルートが黒戸尾根だったように。劔だって、そういう風に山頂を目がけてダイレクトに上がっていく尾根、つまり早月尾根こそがルートだったように思うんだけどなぁー。 そう考えると、何度も出てくる“剱岳ファーストクライムの5W1H”を推考するための「別山尾根仮説」って気がしちゃって。 すごく嫌な言い方になっちゃうけど、それって本の構成上、後半を盛り上げるための仮説だったんじゃない?なんて思っちゃうのだ(^^ゞ ……と、まあ、自分の期待した内容でなかったため、文句ばかり書いてしまったが(^^ゞ つくづく思うのは、著者はこれ、すごく楽しかっただろうなーということだ。 帯の満足気な笑みを見ていると、「へっへっへー。悔しかったらお前も行ってみな」と言われているようで、すんごぉ~くシャクにさわる(爆)
投稿日:2022.04.06
ko2ba
「劒岳ー点の記」は明治時代に未踏峰であった剱岳に登頂を果たし測量「点」を設置する話であった.点の記にインパクトを与えているのは,「ようやく剱岳山頂に登頂を果たしたら,そこで大昔の金属製の錫杖頭と鉄剣を…発見してしまった」エピソードである. 本書は,これら仏具を一体誰が,いつ,なぜ,どのルートを通って,どのようにして,どこに(山頂付近,という以外に正確な記録が残っていない)置いたのか?という5W1Hを明らかにしていく記録である. 著者はこれまでロビンソンクルーソーのモデルとなった実在の人物が,実際に孤島生活で居住していた住居跡を発見するなどの冒険家であり,今回のお題も丁寧な調査と踏査を重ねて答えに迫ってゆく. 願わくば,巻頭に関係する領域一帯の地図を掲載して欲しかった.続きを読む
投稿日:2022.02.27
黒い☆安息日
タイトル、そして著者の名前(高橋大輔)から、なんかイロモノっぽく思ってしまうけど(俺もそうでした。さーせん)、エエ意味でがっつり裏切られる傑作ノンフィクション。 映画化もされた新田次郎の名作山岳小説「剱岳 点の記」で、主人公らが剱岳に登頂、四島三角点を設置した際、彼らは奉納されたと思われる剣と錫杖を発見している。これは実話であり、では明治の測量技師たちより先に、つまり剱岳のファーストクライマーとは誰だったのか? を探るのが、この本の主題である。 さらに著者は、誰が?だけでなく、ファーストクライムの5W1Hを全て解明すべく、資料を漁り仮説を立てて、現場検証し、仮説が崩れたり疑問が出たら、さらに資料を漁り、他人に話を伺い、仮説を立てて現場検証…PDCAを念入りに繰り返していく。 謎解きの道中で、歴史ロマンに思いを馳せ、その土地の風土を細かく観察し、実際に山を登れば登山ルートだけでなく廃道を探り、藪漕ぎをし、ヌタ場をクライミングまでしてしまう。その描写が実に面白い。歴史、土着風土、登山等々あらゆる好奇心を刺激してやまないのだ。 彼がたどりつく5W1Hの答えは、ある程度の物的証拠と状況証拠があるとはいえ、仮説に過ぎないが、相当説得力のある説だと思う。 山登りをするにあたって、単に体を動かすのが気持ちよくて楽しいハイキングに留めるのではなく、予習でも道中でも下山後でもいいので、こういった歴史的背景に思いを馳せててみるというのは、趣味の幅と厚みを大いに肥やしてくれるだろう。
投稿日:2022.01.20
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