【感想】ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

ポール・オースター, 柴田元幸 / 新潮文庫
(46件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Dull_hours

    Dull_hours

    オースターと言えば抗えない偶然の連続によって自分を失くしていく物語という印象だったけど、この話は偶然の連続によって自分を取り戻していく物語だった。出てくる登場人物が揃いも揃って問題を抱えていて、更に打ちのめされるような展開もあるのだけど、訳者あとがきにもあるようにオースターにしては楽天的でポジティブな話なんだけど、あのラストをどう解釈すれば良いのかちょっとまだ消化できていない。そこも含め、今まで呼んだオースターの小説の中で一番好きかもしれない。

    カフカの人形のくだりが特に印象的
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    投稿日:2024.05.21

  • cybele

    cybele

     突然のポール・オースターの訃報を聞き、長年積読状態だった本書を手に取りました。難解と思い込み本棚で眠っていましたが、オースターってこんなに面白かった?と思わせる小説。10ページ弱のエピソードが怒涛に展開してとても読みやすい。「アメリカ文学」って高尚に構えるのではなく、日本の小説ではないアメリカ的な「物語」を読んでいる、引き込まれて行く感覚。
     結局、人は一人では生きられない。誰かとの繋がりを求めている。オースターの小説の登場人物は、高度資本主義かつ大量消費社会に馴染めないインテリの男が多い。本書もしかり。人間は愚かな生き物だけれども、だからこそ魅力的でもあり愛すべき存在。
     もちろん読みやすいのは柴田元幸氏の翻訳のおかげ。感謝したい。出版されて12年も経ってからの初読。是非多くの人に読んでもらいたいオースターの物語の魅力が満載の傑作。
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    投稿日:2024.05.13

  • mattaku

    mattaku

    癌を患い離婚しブルックリンで余生を過ごす50代後半のネイサン・グラス、ネイサンの亡妹ジューン、その息子で将来を嘱望されながら大学で挫折しタクシー運転手になったトム・ウッドと妹のオーロラ。オーロラの夫で新興宗教に洗脳されたディヴィッド、二人の娘でネイサンの家を訪れながら頑なに口を閉ざす9才のルーシー。ネイサンの前妻イーディスと娘のレイチェル。トムが働く古書店の店主でセクシュアル・マイノリティーのハリー・ブライトマンとジャマイカ人でドラァグクイーンの店員ルーファス。トムが慕うアクセサリー工房の美しく完璧な母親 (BPM)ナンシー・マズッケリ。多彩なキャラクターたちの夢、挫折、ロマンス、LGBT、出産、死などのエピソードが詰め込まれた物語のバラエティパックのような一冊。

    物語のなかで生きる幸運、架空の世界で生きる幸運に恵まれた人にとって、この世界の苦しみは消滅します。物語が続くかぎり、現実はもはや存在しないんです。When a person is lucky enough to live inside a story, to live inside an imaginary world, the pains of this world disappear. For as long as the story goes on, reality no longer exists.
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    投稿日:2024.05.05

  • Limei

    Limei

    次々と展開するお話に引き込まれました。
    そして最後のページの衝撃。
    翻訳のものはしっくりこないものが多くてちょっと苦手だったりしたのですが、楽しく読めました。

    人生はいつまでもいろいろあるよね。続きを読む

    投稿日:2024.02.29

  • さんちゃん

    さんちゃん

    お気に入りの本になった!
    波瀾万丈あるけど、喜劇的な要素が多く、悲しいシーンでも文章にユーモアがあり面白いから楽しく読めた。
    主人公ネイサンは基本的には他の登場人物たちを手助けするような立ち回りだったけど本人もしっかり作中で成長していて、人生の明るい部分を思い出させてくれるかのようなお話だと思った。
    ポールオースターを読んだのは冬の日誌/内面からの報告書に次いで2回目。なのでまだ多くを語れる立場ではないけどこの人の書く文章や感性が好きだなと思う。
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    投稿日:2024.02.23

  • 政子ちゃん

    政子ちゃん

    四半世紀前とはいえ
    様々なルーツ、嗜好、職業や考え方をもつ
    アメリカの、リアルな、普通のひと達の描写がとても魅力的でした。
    名前削除、のバッサリ感や
    オーロラのご主人のイッてる感じにも笑える。
    こういう、笑ってる場合じゃない場面で楽しませるのがエンターテイナーですね。
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    投稿日:2024.01.20

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