【感想】その手を離すのは、私

クレア・マッキントッシュ, 高橋尚子 / 小学館文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • nono

    nono

    このレビューはネタバレを含みます

    なんか散漫な感じで実に読みにくかった。
    登場人物の誰にも感情移入できないし共感も出来ない。

    最初の登場人物は、ブリストル署の警察官レイは部下のケイト。
    中々捜査が進まず上司から捜査打ち切りを命じられる。
    警部補のレイは妻のマグスとの間に息子娘がいるが、息子トムが学校で問題児。
    それをマグス任せにしているのを引け目に思っているが激務と同僚との付き合いを優先してしまう。

    ジェナという女性彫刻家。ウエールズの田舎町の海岸に辿り着いてコテージを借りて独りで暮らす。
    傷心を伺わせる記述で、轢き逃げで息子を轢き殺された母親か?と当初思わされたが、轢き逃げ犯としてレイとケイトに逮捕される。
    でも不審に思えたレイの追跡調査で、夫のイアンの存在が顕れる。
    イアンとジェニファー(実はジェナ)は結婚当初からイアンのDVで、実は轢き逃げ犯はイアン。

    釈放されたジェニファーはコテージに現れたイアンに殺されそうになって逃げる。追いかけていたイアンは崖から落ちて死ぬ(遺体は上がらない)
    最終的に汚名を晴らしたジェニファーだが、ある夜に崖で誰かの気配を感じる(ような記述)それで終わり。

    何という尻切れトンボ。
    ・イアンは生きていたのか?
    ・レイの家庭問題、トムの学校での所業の結果は?
    ・レイの昇進問題
    ・レイとケイトとの関係

    なんかもう著者が途中でヤになって放り投げたような感じ。

    Amazonより:
    母親と二人で暮らす5歳の少年がひき逃げ事件で命を奪われた。
    小さな男の子の無念を晴らそうと、ブリストル署の警察官レイは部下のケイトらと共に事件を追うが、犯人は杳として見つからず、捜査の打ち切りを迫られていた。
    一方、海辺の町に現れ身を隠すように暮らしていた謎の女性ジェナは、獣医師のパトリックと惹かれ合う。
    それぞれのドラマが交錯し、事件解決が見えたその時、あまりにもおぞましい真実が浮かび上がる。
    NYタイムズ、サンデータイほか英米各紙のベストセラーリスト入りをした超話題作が、満を持して登場。読み出したら止められない、傑作スリラー。

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    投稿日:2021.01.27

  • suzuka

    suzuka

    人により受け取り方は違うと思うが、どうして逃げたのか。どこかで助けを求めるチャンスがあったと思う。
    違和感に気づいてもらい、裁判がひっくり返り、よかったと思う。

    投稿日:2020.11.24

  • yoshi1004

    yoshi1004

    登場人物のキャラが上手く書き分けられていてリアルだった。ミステリーと言うよりサスペンス?本にはサイコロジカルスリラーとあるが私には、ジェナ、見習い刑事のケイト、レイの妻マグス等女性達の再生の小説に思えた。続きを読む

    投稿日:2020.09.08

  • シュン

    シュン

     ミステリーというよりも、仕掛けの多い普通小説と考えてもよいのかもしれない。作者は元警官で、事件はひき逃げ事件。ひき逃げという犯罪をミステリーで取り上げているのを読むのは、ぼくとしては初めてである。だが犠牲者は幼い男の子で、母親はその手を離したことを悔いている。

     二章に分けられた構成で、一章は過去から逃げている傷ついた女性の章と、捜査側である警察官の章とが交互に描かれている。どちらも事件を離れて家族や周りのキャラクターとの交流や軋轢、情感の流れの不安定さを描いて、ここだけ読んでゆくと優れた文芸小説を読んでいるような意外な愉しみに心が満たされる。

     女性の側は、喪失感と過去への痛みで、心をいっぱいにして、ウェールズの海岸に辿り着く。コテージを借りて、海辺を散歩するうちに、砂に書いた文字を流木などで囲んで写真に撮ったところ、その写真が次第にネット販売で売れてゆく。心優しき村人たちに囲まれて、助けられて、孤独を癒されて、第二の人生が確実に歩まれる。

     個人的には最近知った近所の人知れぬ海辺が、この本のイメージとぴったり。砂浜も崖も。波も、静かな海も。ぼくは個人的にこの小説のこの舞台が、読書中、とても親密な風景に感じられていた。

     さてもう一方は刑事と同僚、刑事と家族の日常生活を描く。ひき逃げ事件は半年ほどで捜査終了との上からのお達しがあるが、見習い女刑事ケイトのこの事件へのこだわりと家族のための生活に重視したスムースな出世という選択肢の軋轢に悩む。二人の子供のことも心配である。妻と同僚、家庭と仕事というバランスが取りにくい不器用な主人公警察官の事件との関わりの中での現実感のある懊悩も読みごたえがある。

     そして一章の最終章で、いきなりの驚きの転換点が読者に訪れる。今まで読んできた土台がざっくり滑り出すような、この不安定感は何なのか。

     真相は二章で次第に解き明かされる。これまで登場しなかったある男の独白の章が加わり、視点は三人の間を交互に描き始めるのだ。この小説はひき逃げ事件のサスペンスの奥の、さらに見えにくい奥の深い犯罪の真相を徐々に露わにしてゆく。ひき逃げ事件にもしっかりと決着が付けられて、この物語の持つ仕掛けの巧妙さに、実は最後には驚き、呆れることになる。

     読んでいて思い出したのは、レミギウシュ・ムルス作『あの日に消えたエヴァ』。ポーランドのDVの多さと深刻さを世界に引きずり出した作品と言えるが、その時の痛みと同種の感覚を持ちながらこの本の後半を読み続けるのが辛く、解決を待ち望む手が思わぬページターナーたる同書のパワーを持続させていた気がする。

     この作品の重厚さと念入りな仕掛けを成功させたのは何よりもストーリーテリングである。元警察官である女性作家のデビュー作品ということだが、元警察官時代の実際にあったひき逃げ事件の痛みをモチーフにして、警察の実にリアルな内情や職業と家庭を両立させるバランスの難しさなど、それらに感じられる妙なリアリティに納得させられる。最近の小学館文庫は強力な作品が多いように感じる。タフな発掘力に今後も期待したい。
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    投稿日:2020.08.16

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