【感想】荒潮

陳 楸帆, 中原 尚哉 / 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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ブクログレビュー

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  • kozakura

    kozakura

    後半の電脳的な展開は映像作品などで既視感あり。5人の主要人物を軸とした物語だが、いずれももうちょっと描ききれてない印象を受けた。面白いけどこじんまりしていて読了感が物足りない。もっと書き込んでくれたらどっぷり浸かれたと思うので少々残念。続きを読む

    投稿日:2023.01.09

  • はな

    はな

    このレビューはネタバレを含みます

    グローバリゼーションや環境問題といった現在社会の問題を切り取り、壮大なSFの中に落とし込んでいる。物語の中では、国家間、シリコン島内御三家、また国家と環境団体など様々な対立によって、翻弄される人々の苦悩が描かれている。
    搾取する側であるはずのスコットが、「この世は清潔にもいろいろあり、公正にもいろいろあり、幸福にもいろいろある。自分たちはその中から選ぶだけ。あるいは自分の代わりに選ばせるだけだ。」と考える場面は非常に印象的だった。
    また、シリコン島の劣悪な環境が、想像力を刺激する比喩で表現されており臨場感がある。科学技術、土着宗教、人間の本能が複雑に絡み合い展開される物語は、結末の想像がつかず一気に読んでしまった

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.11.07

  • さんごり

    さんごり

    中国に住む人から見た世界(特にアメリカに対して)を感じ取るのにとてもいい作品だったと思います。三体以上に中国の感覚というものを知ることができたかなと思いました。しかし、中国の日本に対する感情って本当に複雑なのですね…。荒潮財団といい智子(こちらは三体)といい、ううむ…。
    また、近年、気候変動の問題がフォーカスされることが多いですが、本作は電子ゴミの問題が中心に置かれており、環境問題について改めて考えさせられました。
    終盤の米米の変貌ぶり等が、もはやSFというよりファンタジーに近かったですが、中国に暮らす人たちの肌感覚や感情を理解するのにとても良い小説だったと思います。

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    投稿日:2021.12.02

  • らばぴか

    らばぴか

    サイバーパンク中国SF。電子ゴミから資源を探す過酷な労働を強いられた最下層民「ゴミ人」と、クリーンな廃棄物リサイクル事業とみせかけて更なる搾取を目論む先進国企業という構図からは、現実の社会問題へ深く切り込みたいという気概が感じられる。かといって登場人物を単純な加虐者/被虐者の立場に押し込めず、個々の立場を持つ一個人としての書き方がうまい。 ちなみに、ぐいぐい読み進ませる勢いがありながら(翻訳の力も大きいだろうけど)情景描写も非常に良い。それこそ脳裏にくっきりと映し出されるような映像的な文章だった。続きを読む

    投稿日:2021.07.28

  • kemukemu

    kemukemu

    今ホットな中国SF
    その中で「現代的問題」「近未来的問題」を併せ持つ。

    一つは「島民」と「ゴミ人」の関係性
    安価な労働力を欲するも自ら境界線を作るさまは、移民制度の問題に繋がる。ただ「方言」と「標準語」の立場が逆転してるところが皮肉っぽい。
    また、「環境問題」に潜む「リサイクルの罠」。「エコロジー」なのか「エコノミー」なのか……。

    もう一つは、人類による「人体」特に「脳」へのアプローチの功罪。
    印象的だったのは科学進歩による「義体」のファッション化。火災で死亡した現場の義体から娘のものを探し、親が埋葬するシーン。
    また、薬物ではなく脳への電気的刺激がもたらす幻想を用いたドラッグの常習化。スマホ依存症への警鐘か……,
    科学というものの処方を誤るのは、やはりヒト。

    もう一つ、考え過ぎかもしれないけど「シリコン島」が「香港島」に、一瞬見えた。

    物語はスピード感抜群。
    義体、電脳化で「GOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」で、米米が草薙素子……途中でエヴァンゲリオンにのる綾波レイみたいに……。

    そして「終章」へ……
    センチメンタルを漂わせながら、余韻の残るエンディングでした。
    続きを読む

    投稿日:2021.06.17

  • うみゅみゅ☆

    うみゅみゅ☆

    好みは分かれるだろうけれど、個人的には好き。 最初は近未来を舞台にしただけの啓発系のお話かなって思っていたけれど、途中である物が出てきてから空気が変わった。冒頭からずっと「そこにある」として描かれていたサイバーパンクの各要素がぐっと太い線で繋がれてから面白さが加速。終り方も、賛否ありそうだけれど悪くはないと思う。余韻があってこれはこれであり。続きを読む

    投稿日:2020.08.17

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