【感想】祐介・字慰

尾崎世界観 / 文春文庫
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.1
2
3
6
4
1

ブクログレビュー

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  • fabi@第一芸人文芸部

    fabi@第一芸人文芸部

    クリープハイプ・尾崎世界観さんの、まさにエピソード・ゼロ。
    何をやってもうまくいかなかった頃の物語を、五感フルマックスで、緻密に綴っている。
    エッセイではないので全て事実というわけでないけれど、退廃的で強烈な出来事ばかり。

    ———あらすじ(公式より)———

    「俺は、俺を殴ってやろうと思ったけれど、どう殴っていいのかがわからない。」

    スーパーでアルバイトをしながら、いつの日かスポットライトを浴びる夢を見る売れないバンドマン。ライブをしても客は数名、メンバーの結束もバラバラ。恋をした相手はピンサロ嬢。
    どうでもいいセックスや些細な暴力。逆走の果てにみつけた物は……。
    人気ロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観による、「祐介」が「世界観」になるまでを描いた渾身の初小説。
    たったひとりのあなたを救う物語。

    ———感想———
    面白いというより、ヤバいという言葉の方がしっくりくる。
    めちゃくちゃヤバい。強烈。
    祐介のセリフ、行動には全く理解できないものもあるし、筋が通っているわけではないけれど、なぜかしっくりくる。どこか哀愁もある。
    共感より、そんな感情もあるのか、そんな行動をとるのか、と気づきの方が遥かに多かった。

    僕は共感より発見を求めているし、未だ味わったことのないものに出会いたいタイプなので、かなり刺さった。
    アルバイトの日々、バンドメンバーとの確執、認めてもらえないことへの怒り、夜行バスと京都でのクライマックス、どれも強烈で印象的で、頭の中に一度描いた映像がずっと消えずに鮮やかに思い出せる。静かな怒りをずっと感じながら読んだ。

    文庫版にだけ収められている『字慰』もヤバい。
    タイトルからは物語が想像できず、読んですぐ意味がわかった。
    ラストシーンはかなり笑ってしまった。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.26

  • nkwada

    nkwada

    尾崎世界観ってタモリ倶楽部で聞いた覚えがあるなと手に取った。「祐介」は文学系な小説で、エロくてクズなバンドマンの私小説っぽい作品。文章も重くて微妙なところもあったが、最後まで読めた。「字慰」は設定が妙な文芸作品という感じ。続きを読む

    投稿日:2023.11.18

  • もにか

    もにか

    内容に反して読みやすく、一気に読んだ。こんなに汚いのに惹かれる。
    ラストの展開がよい。終始主人公にはセリフがないのだが、ラストで初めて言葉を発した。解説にもあったが、主人公、ひいてはこの著者の「はじまり」を感じた。

    ピンサロ嬢の瞳ちゃん、唯一好きになった人物。
    続きを読む

    投稿日:2022.02.06

  • ゴボウ

    ゴボウ

    物語の形をしたストレスそのものといった印象。読むのがかなりキツかった。実際、繰り返し見る夢のシーンで気分が悪くなり数ヶ月読めずに放置していた。最近再開してようやく読了。ラストが良かったので、苦しみながら読んだ甲斐があった。続きを読む

    投稿日:2022.01.11

  • いちやなぎ

    いちやなぎ

    このレビューはネタバレを含みます

    「ガッガッガッガッガッ」
    頭を打ち付ける度に、ドアが音を立てる。額が熱を帯びて、次第に痛みが無くなっていく。一定のリズムはグルーヴ感を生み出して、思わず本来の目的を忘れてしまいそうになった。


    人が秘めた暗さのかき集めだった。
    幸せなことより不幸せだったことのほうが強く胸にのこる。
    トラウマや教訓として今なおわリピートしつづける。
    夢ですら繰り返す。
    どこかでみたような既視感で。
    そうだ、自分の記憶に似た暗さを感じたんだ。


    みそラーメン。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.12.06

  • tsukasa26

    tsukasa26

    おおきな提灯を目印にして 日本家屋かおく 畜肉の欠片が物悲しそうに泳いでいる ふぁんふぁれ 不細工な激励の言葉 その状態に陥ったまま停滞してしまったというような 厭らしさは秀逸 生々しい人間から飛び出したあたたかい吐瀉物 緑色の痰を吐き出した主人公 物語は発酵し続きを読む

    投稿日:2021.10.18

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