【感想】エドガルド・モルターラ誘拐事件 少年の数奇な運命とイタリア統一

デヴィッド I カーツァー, 漆原 敦子 / 早川書房
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • こひろ

    こひろ

    誘拐事件といっても、キリスト教の洗礼を受けたというユダヤ人の小児を教会の指令を受けた官憲が強引だが合法的に連れ去った事件だ。

    中世であれば何の問題もなかったこの事件も、フランス革命後の自由主義が広まりつつあった世界では物議を醸し、ユダヤ人ネットワークを中心に、欧米世論はカトリック教会の頑迷さに厳しくなっていく。

    ロー中心とする教皇領も次々とサルデーニヤ王国に併呑されていき、ついにはイタリア王国が成立、教皇領はバチカン周辺だけになってしまう。

    自らの教義に基づいた小児の拉致がキリスト教国の崩壊を招くという、恐らく誰も予想もしない結果に導いたことを考えると、時代の流れとは恐ろしいものだと思わざるを得ない。

    連れ去られた小児は教皇の庇護の元でキリスト教者として頭角を表し、両親のところに戻ることなく生涯を終えたという。
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    投稿日:2019.04.16

  • osawat

    osawat

    このレビューはネタバレを含みます

     1858年 ボローニャのユダヤ人の少年が洗礼を受けたということでローマに誘拐される。国際世論の同情を集め、列強が乗り出す。おもしろい。

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    投稿日:2019.01.11

  • shimu2

    shimu2

    【移行と衝突、その狭間で】イタリア統一に向けた流れが加速化する19世紀末のボローニャ。ある夜、その都市に住むユダヤ人の少年、エドガルド・モルターラが警察により誘拐されるという事態が発生する。息子の身を案じて即座にその居場所を確かめようとした父親のモモロだったが、彼に舞い込んで来たのは、エドガルドがローマ教皇の元に連れて行かれたという一報であった......。著者は、イタリア学の専門家であるデヴィッド・I・カーツァー。訳者は、本書を一読してその余韻にしばらく浸ったという漆原敦子。原題は、『The Kindnapping of Edgardo Mortara』。

    ミステリー的な側面が面白いことはもちろんですが、この話が最終的に私の大好物である「大きな世界の緊張が煮詰まった末に一つの小さな事件として表出する」タイプのものであったと気づき驚愕しました。世俗と宗教、国家と教会、そしてそれを取り巻く価値観の変遷といったテーマが凝縮された名著だと思います。

    〜その夜、二つの世界が衝突した。〜

    今年のトップ10には入ってきそう☆5つ
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    投稿日:2018.12.17

  • hosinotuki

    hosinotuki

    イタリア統一の一時期にかかる歴史を,ユダヤ人の少年エドガルドの連れ去りを発端とする事件を軸に描くことで,庶民の生活から各国間の外交問題までにわ立って浮かび上がらせた骨太の物語.裁判場面も多く法廷物を読んでいる面白さもあった.続きを読む

    投稿日:2018.12.08

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