【感想】卵をめぐる祖父の戦争

デイヴィッド ベニオフ, 田口 俊樹 / ハヤカワ文庫NV
(87件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
41
31
6
1
0

ブクログレビュー

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  • 燕麦

    燕麦

    このレビューはネタバレを含みます

    「心配するな、友よ。きみを死なせはしない」
    まだ十七だった。愚かだった。だから彼を信じた。

    ナチス包囲下のレニングラード。ドイツ兵の死体からナイフを盗んで捕まったレフは、脱走兵コーリャとともに大佐の娘のために卵の調達を命じられる。
    美形で饒舌なコーリャと、神経質なレフのコンビが面白いものの、あまりにも下ネタが多すぎるのと、17歳主人公の一人称が“わし”なのが気になる。パルチザンと行動を共にしてドイツ兵に捕まる展開はわくわくしたし、卵も無事手に入れたけど、コーリャとの別れがあっさりしていて残念。もう会えないと思っていたヴィカと再会し、冒頭に出てくるパワフルな祖母だとわかるラストはとても良い。

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    投稿日:2023.10.14

  • 1913868番目の読書家

    1913868番目の読書家

    悲惨な戦争の描写もあるが比較的読みやすい。
    過酷な状況の中で生きていく当時の人々の様子が思い浮かぶような作品でした。

    投稿日:2023.06.22

  • 亮



    祖父の戦時中の体験を取材し回想として語られる。
    第二次世界大戦の戦時下。
    ナチス包囲下のレニングラードに暮らしていた17歳の頃の祖父。

    ことの発端はある日、撃墜されたドイツ爆撃機から落下傘で脱出したドイツ兵が落ちてくるのを発見する。
    しかし、ドイツ兵は既に死んでいた。
    そのドイツ兵が身に付けているものを漁っているとソ連軍に捕まる。

    秘密警察の大佐に呼び出されると、翌週に控えた娘の結婚式で作るウェディングケーキを作るために卵が足りないという。

    飢餓が続く状況下で卵を探す旅が始まると。

    戦時中の狂った地獄の描写が実に惨たらしいが、陰鬱さよりも淡々とした印象が強い。
    戦争の愚かさが行間から滲み出る一冊でした。
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    投稿日:2023.04.02

  • 3

    3

    読んでよかった。タイトルはダサいがピッタリとハマったタイトルでもある。詩的な部分も感じるがとても読みやすい

    投稿日:2023.01.16

  • H

    H

    語り手のレフが17歳の時、独ソ戦の最中に親友と出会い、卵を調達する特別任務を大佐から与えられ、その先で彼女に出会った時の話。

    独ソ戦という悲惨な戦争の描写の中にも、ユーモアや生命力(下ネタ)をふんだんにちりばめ、人間の愚かさと強さという真逆の要素がストーリのコントラストになっている。続きを読む

    投稿日:2022.05.18

  • 久守 璃玖

    久守 璃玖

    第二次世界大戦中のロシアで、
    おしゃべりな脱走兵と卵1ダースを探す話。

    あらかじめ言っておくんだけど、
    これは褒め言葉なんだけど、理解に苦しむ。

    想像を絶する飢餓や残酷な仕打ちも、
    娘の結婚式のために卵を調達せよという任務も、
    たった数ヶ月で何もかも変わってしまうのも、
    1秒で、右手の人差し指だけで、
    ひとつの未来が永遠に失われてしまうのも、
    とんでもない不平等も、
    そんな状況下でかわされる軽口も、
    平和な日本で暮らしている我々には
    意味がわからない。

    でも、理屈で説明できない不条理の集合体、
    それが戦争なのかもしれない。

    でも、決して暗い話ではないのだ。
    読者みんなが求めていたあたたかい結末のおかげで
    失ったものは大きかったけど脅威は去って、
    ほっとする読了感。

    そして、登場人物が“被害者”ではなく“人間”として
    描かれているからというのもあると思った。
    恋したり、喜んだり、どうでもいいこと考えたり。

    主人公レフの考え事は、なんていうか平凡で、
    ちょっと、かなり、チェスがうまいけど、
    特別なThe主人公じゃないから、
    同じ人間だって強く感じる。
    少年と青年の狭間の、等身大の悩みとか、
    背伸びしたい気持ちとか、戦争っての抜きにして、
    年下の男の子をみるほほえましさを感じる。

    コミカルな相棒、魅力的な狙撃手、
    登場人物みんな素敵だ。

    個人的には読書って、
    何も得られなくってもよくって、
    楽しければそれでよくって、
    そういうエンターテイメントの目線でも
    十二分に楽しめた。

    戦争の話って、
    「こんな可哀想な目にあってる哀れな被害者がいるんです」
    「国家や軍人って酷いですね、悪ですね」みたいな
    政治的立場(?)を明確にしたものが
    多い気がするんだけど、
    この作品ではもっとドライに、
    ひとりの人間の人生の一部分(たった1週間)を
    シンプルで個人的な事実として書いているから、
    ましてリアルだと感じた。

    飢餓も恐怖も死もただ一種類の日常で、
    そういう日常が事実存在してて、
    その種類の日常に身を置いている
    同じ人間がいましたって、
    たんたんと書くからなおのことささった。

    この本を今読んだのは全くの偶然なんだけど、
    意味があるように感じた。
    ひとつのありうる出来事として
    ニュートラルに戦争を考えてみても、
    やっぱり喜ばしくないよなあ。
    勝ったって負けたって関係なく嫌だよなあ。
    明日、いや、今日この瞬間、
    自分や大事な人が死ぬかもしれないなんて。

    世界のみんなの幸せの総量が多くなる方がいい。
    だとしたら戦争は悪手だ。
    みんながそうやって選択してくれればいいのに。
    難しいのかな。そうであればいいのにな。
    続きを読む

    投稿日:2022.03.17

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