【感想】SMAPと平成ニッポン~不安の時代のエンターテインメント~

太田省一 / 光文社新書
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • フラビオ

    フラビオ

    2021年12月17日読了。2016年のSMAP解散騒動~解散否定のドタバタの中で刊行された本。類書を最近読んだがそちらはマスコミの報道姿勢・ジャニーズの体制批判の側面が強かったが、こちらは「アイドル冬の時代」にデビューし鳴かず飛ばずだったSMAPが国民的アイドルになった戦略・プロセスを「時代と人々の不安に寄り添った」ことであるとし、その偉業を称えるような記述になっている。好きのない完成品を見せるのではなく、完璧ではなくときに失敗しながら、才能・努力を生かして成長していく、そのプロセスが見る側の共感を産んだ、ということか。震災やバブル後の低成長など、様々な「不安」に覆われた日本にはSMAPはたしかに必要な存在だったのだと思うが、令和の時代にも形を変えながらSMAPが残っていくような、そんな未来は本当にありえなかったのかねえ…。続きを読む

    投稿日:2021.12.17

  • kansas

    kansas

    「SMAPと平成ニッポン 不安の時代のエンターテインメント」
    今年で平成が終わる。そこで平成最大のアイドルであったSMAP(個人的にはそう考える)を振り返る。


    そもそも何故SMAPは解散したのか本当の理由は定かではない。マネージャーと副社長の衝突し、結果マネージャーが退社することになり、それにSMAPが巻き込まれたというのが大筋の流れである。これがどこまで正しいのか不明(私はそもそもメディアが流す情報はほぼ信じない)で、真実が明かされることは無いかもしれない。


    解散報道が流れた時、(もし大筋の流れが正しいならば)、副社長もマネージャーも何してんだよ!と率直に思いました。SMAP×SMAP最終回も切なく感じ、中居正広のラジオの最後の呼びかけなんて「あぁ、言えないこととかあるんだろうな」とか考えてしまった。昔から見ていたアイドルがいなくなるというのは、こんなに切なくなるものかと。もうSMAPの歌をSMAPが歌うことは無く、メディアも事務所に忖度してるのかスルーし、今でも哀しいものだ。


    本書はそんなSMAPを平成の時代と共に振り返っている。多くの苦難の歴史やメンバー一人一人の分析検証、時代背景とSMAPの関係性などを社会学者として語っている。エンタメ系の本は作者の熱があらぬ方向にいきオタ本と化しているものや特に目新しい情報がないぺらぺら本も多い中、本書はちゃんとしてる印象。ところどころ印象深い表現を使っている辺りオツ。


    SMAPの存在はそうした長年応援を続ける熱心なファンとの固い絆だけで語り尽くせるものでは無い。もう一方でそこまで熱心とは言えないまでもテレビなどで彼らに接してきた多くの一般の人々もまたファンであり、そんな人々にとってもSMAPはそこにいるのがごく当たり前のような存在になっていたと言うことがある。


    この部分は、そうだよねと腹落ちしました。ファンはきっとSMAPを再結成して欲しいとかメンバー一人一人が納得してくれたら良いとかいろんな感情が交錯しているのだろうな。個人的には、またSMAPがSMAPの歌を歌っているのを見たい。いつかライブに行くのが夢だったので。


    後、目指せ!香取慎吾の服屋さん(今はファンで一杯みたいなので待ち)。
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    投稿日:2018.09.22

  • koochann

    koochann

    SMAPがなぜ従来のアイドルの枠を超えた人気をここまで集めたのか、平成と共に始まったSMAPの快進撃の秘密を解き明かす。それまでのアイドルはファン層が同年代だったが、彼らは幅広い老若男女に愛された。平成のクレージーキャッツ、あるいはドリフターズというとピンと来ない面があるが、確かに社会学的には同じ現象なのだろう。5人(及び独立した森克行君)の活躍の歴史を辿りつつ、SMAPが解散した今の時点で、凄く大きな淋しさを感じる。続きを読む

    投稿日:2017.04.01

  • ウクレレ1号

    ウクレレ1号

    このレビューはネタバレを含みます

    SMAPが活動した平成という時代は、日本そのもの、そして暮らしが先行きの見えない不安にさらされた時代でもあった。SMAPひいてはアイドルは、社会とどのように関わったかを考えるエンターテインメント論。

    以前読んだSMAP本よりはまとまっている。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2017.02.16

  • akikobb

    akikobb

    SMAPについて語ると収拾がつかなくなりそうなので…高校生の頃英語の日記を書くという宿題で、「自分はSMAPが好きなんだが、ずっと彼らをテレビで見ているせいか、彼らがただの芸能人であることはわかっているけどなんだか付き合いの長い知り合いのような感じがする」といったもはや日記ですらないくだらないことを書いたら、ネイティヴスピーカーの先生から「テレビの力って恐ろしいものですね。ジョージオーウェルの1984という本をぜひ読んでみなさい」という遥かな高みからのお返事をいただいた苦い思い出を告白するにとどめることとします(ちなみに未読)。

    や、しかし。本書を読んだら、その「知り合いかと思えてきちゃう感じ」こそがSMAP人気のミソだったのでは?私けっこう核心ついてたのでは?と思えてきました。
    奇しくも1984年生まれである私にとって、夢中になった芸能人はSMAPが初めてくらいなので、それ以前のアイドルやらスターやらとSMAPがどう違ったのかという視点は、実体験としては持ち合わせていません。
    でもこうした本やネットでの言説によると、光GENJIまでは手の届かない王子様系だったアイドル像が、SMAPからは身近でフツーで、作られていない等身大の受け答えをする男の子、というのに変わったというのが定説のようです。女性アイドルではおにゃんこクラブというのがいたり、背景には歌謡曲業界の制度変化があったり、歌番組の衰退、バラエティ番組やお笑いの隆盛があったり、SMAP自身もデビュー当初は不遇の時代があって苦労してきたという歴史があったり、まあそんなようなことがよく説明されています。

    本書でもそうした内容が述べられますが、テレビやラジオやインタビューやエッセイ本などでメンバーたち自身が語っている言葉を多くとりあげて、SMAP本人たちにとってのSMAPとは何だったのかとか、SMAPとしてどう社会と関わろうとしたのかとか、そういうようなことを語ろうとしているところが特徴的でした。
    データや事実だけでなく本人の言も確認していく肉迫感は嬉しいし、やはり「彼らもこういう気持ちのはず!だよね!」と思いたい気持ちを満たしてくれる面はありますが、それってちょっと僭越じゃないのって言いたくなったりもします。
    そんなわけでストーリー作りに恣意的な部分があった感はあるものの、そこはライトファン同士わかりあえるところでもあり、タイトル・副題の印象に反して「同じ気持ちをわかちあえた」みたいな読後感がありました(笑)

    それでいうと、冒頭の英語の先生とは少なくともあのポイントにおいては全く気持ちが通い合わなかったということになりますが、私も30をいくつか過ぎ、テレビをほとんど見なくなった時期も経て、今になってみるとテレビにのめり込んでいる若い子に「まあ落ち着け」と言いたくなる気持ちもよくわかる。アメリカではトランプ大統領誕生で1984の売り上げがあがっているというニュースも耳に新しい今こそ、ついに私も1984を読むべき時なのでしょうか…。
    続きを読む

    投稿日:2017.01.29

  • むーにょん

    むーにょん

    SMAPを平成の日本(特にエンタメ関係)を関連づけながら解説した1冊。SMAPがグループアイドルの歴史を変えたということ、平成のドラマ、バラエティ、音楽の変遷に適応していったということが、わかりやすく説明されていると思います。ジャニーズもSMAP以前、以後で大きく変わる、ということですね。続きを読む

    投稿日:2017.01.02

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