【感想】ぼくの守る星

神田茜 / 集英社文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
6
2
2
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • 松下佑太

    松下佑太

    このレビューはネタバレを含みます

    正直に言えば事前に障害がある少年の話と聞いて「お涙頂戴ものか」と批判的に構えていた。
    内容は1人の少年と彼を取り巻く家族や友人の群像劇である。
    やや最終章ありきの強引さやまとまりのなさを感じるが物語として程よい読後感がある。

    子ども達は子ども達の世界で傷つきながら成長していく。いや成長というのは大人が自分の経験と重ねて決めつけているものであって、私たちと同じように、その時その時でのどうなるか分からない不安な中での判断の連続に過ぎない。ただ大人はこうすれば安パイという振る舞いを経験的に知っているだけだ。それゆえに安パイから外れたことが起こった時、大人というロールから外された時、彼らは…私たちは脆くも崩れていく。
    人であることに大人も子どももない。そう感じさせる。

    最終章。彼の選択が正しいのか、そうすべきことなのか、それでいいことなのか、誰にも分からない。守る星と信じたものがものの数ヶ月で変わり得ることを私たちは知っている。堅く誓ったことごとが社会の残酷さの中でいとも簡単に打ち砕かれることを私たちは知っている。
    それでも、私たちは信じたい。その信じたい思いに年齢もロールも関係がない。信じること、傷付きながらも信じたいと思うこと、とりあえずでも信じて意思決定すること、そしてまた裏切られること。
    人の業と言えるかもしれない。しかし、そこに美しさを感じるのも、また人なのだろう。 

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.09.30

  • tofubook

    tofubook

    このレビューはネタバレを含みます

    ディスレクシア(読字障害)を持つ中学生男子、夏見翔と、その周りの人たちの、6つの物語です。
    困難を抱えて一生懸命生きている翔、息子を懸命にサポートしようとするお母さん、それぞれの問題を持つクラスメートたち。

    内容はけっこうヘビーというか、それぞれの人が抱えてるそれぞれの問題がけっこう深刻なのですが、中学生が主人公だからか、それとも作者の力量なのか、きらきらした爽やかな読後感でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.09.08

  • ルイボスティー

    ルイボスティー

    みんな懸命に生きているのだと思いました。懸命が故、噛み合わないもどかしさも感じました。章ごとに語り手が代わり、色んな登場人物の悩みや心情がわかります。物語を通してそれぞれが殻を破っていく様子がいいです。最終章で作品名に辿り着いた時、ほっこりしました。素敵な作品です。続きを読む

    投稿日:2020.08.19

  • たくひと

    たくひと

    言葉の言い間違いや読み間違いに悩みを抱える中学二年生の翔。
    学校では、学校、家、人間関係、様々なものに生きづらさを覚える翔。なぜだろう。学習障害と呼ばれる特性に周囲が理解をしていないからこその苦しみもあるだろう。反面に、障害なんだからしょうがない、という本人の気持ちを飛び越えるような理解や共感からの苦しみもあるだろう。
    障害という特性は消せない。けど、障害がその人の全てではない。
    じゃあ何%くらいを占めるのか、どのくらいの配慮が適切なのか、正解はわからない。
    翔が進路を決めるとき。社会に出るための訓練ができる学校を選択肢の1つとするとき。
    「もう少し時間がほしい。あと3年間だけでいいから考えたい。でも社会はそれを許さない。助けるふりをして、本当は障害者を押し込めるのではないか」そんな表記がある。
    制度の良し悪しだけで考えてはいけない、その人の気持ちに、一人の人間の人生に、寄り添って考えてくれる人がまわりにどれだけいるか、それが生きやすさなんではないだろうか。
    続きを読む

    投稿日:2019.04.08

  • Yuki

    Yuki

    中学生の翔とその友人や家族の物語。
    人は皆不完全でどこか哀しいけれど愛おしい。
    読んでよかったです。

    投稿日:2019.03.10

  • 大阪信愛学院図書館

    大阪信愛学院図書館

    2018/6/4

    910||カン (3階文庫)

    あなたは「ディスレマシア」という言葉を知っていますか。
    中学二年生の翔は、言葉を読み間違えたり言い間違えたりして周りを笑わせてしまいます。でも、わざとではありません。
    みんなと同じことができない自分には、どんな才能があるのだろう―。生きづらさを抱えながら日々を過ごす翔と、彼を取り巻くひとびとの悩みと優しさを描き出す、切なくも愛しい物語。
    続きを読む

    投稿日:2018.06.05

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。