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那州雪絵 / 花とゆめ (3件のレビュー)
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banananabanana
このレビューはネタバレを含みます
あさのあつこさんの「弥勒の月」を読了してから、何となくこのコミックが読みたくなった。 乾いた感じとか疾走するような印象が似ていたからでしょうか? こちらはファンタジーモノですが・・・ レジオン王国に住む女の子クリール(20ぐらい)。 ある日家の近所で異国の男達二人から占い師を捜していることを聞き、彼女は自分の家に案内する。 クリールの祖母は占い師をしていたが、男達の目的は家にある<未来が写る鏡>だった。 クリールと祖母を部屋に閉じ込めて、鏡で未来をみようとしたが失敗に終わる。 そのまま二人は家に居候を決め込んで、金を調達するために都へ向かう。 二人連れのうち一人は30前ぐらいで背が高く名前をキシュといい、もう一人はまだあどけない14歳のハリと名乗る。 レジオンの城を偵察する二人に不穏な空気を感じたクリールは二人にここへ来た目的を問い詰め、ハリは「ユクサーム王の命を奪うため」と答える。 ハリの母はトスローという小国で王家専属の占い師だった。けれど国王と恋仲になり能力が落ちたことを理由に王城から追い出された。 (ハリが王の子供だったかどうかはわからないけれど)母は追い出されてからも国のために要請されて占いを続けていた。 2年前。母は旅の男に夢中になって能力が落ちてしまう。その時レジオン国の若き王ユクサームがトスローに攻めてくる。トスローは三日三晩焼かれて滅びた。 母は王城へ向かったまま行方不明になり、ハリは瀕死のところを母がつきあっていた旅の男(キシュ)に拾われる。 ハリはそれからキシュに剣術を習いながら2年を過ごした。 クリールの祖母による占いで、鏡に血が流れる様子が写る。 そしてハリはユクサーム王を殺すために王城へ向かう。 サブタイトルの「lex talionis」は報復律という言葉らしい。「目には目を」っていう意味ですね。 キシュもクリールも口では「ハリを止めて」とお互いに言うのですが、実は心の底では彼の望みを叶えてやりたいという気持ちを持っていることに戸惑う。 ハリの目はまっすぐで王の暗殺以外は何も見えていない。自分が死ぬことももしくは暗殺が果たされた後のことも考えていないような様子。 それが何だか羨ましいクリールとキシュ。 果たして自分が14だったときにこんな気持ちを持っていただろうか? いや、そんな気持ちを持っていたら大人にはなれなかったはず・・・ 明日へつながる望みのために、誰もが捨てたはずのものをハリは持っていた。 走らせてやりたい。彼の望むままに・・・ ラストは「嵐が原」っていうタイトルがピッタリの展開になっています。 那州さんはあとがきで「今なら違うラストを描くと思う」と書いてらっしゃるんですが、私はこのラストが気に入ってるのでこっちにしてくれてよかったと思っています。 読んだ後は何だか無性に淋しくなってしまう話ですが、気に入ってます。
投稿日:2014.04.29
ミカナギジンコ
正直救いがまったくない話でほんと好みじゃないんですけど、でもものすごく正しいことを言ってる気がするのが悔しい。
投稿日:2007.11.20
りく
シリアスなファンタジー。那州作品で1、2を争うくらい好きな作品。あまりに長い間単行本化されなかったので、雑誌を捨てたことを何度後悔したことか。
投稿日:2006.06.18
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