【感想】菜の花の沖(四)

司馬遼太郎 / 文春文庫
(28件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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ブクログレビュー

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  • koba-book2011

    koba-book2011

    ▼主人公・高田屋嘉兵衛は蝦夷地に惹かれる。この巻では、さながら、「1800年前後の、江戸幕府の蝦夷地政策物語、そこで集った人物列伝」。

    ▼航路を開く、という意味が良く分かりました。昔の船だと知らない航路は危なかったんですね。

    ▼嘉兵衛が徐々に「志士」になっていきます。同時にもう貧乏物語ではない。そしてこれまでの恩人たちが嘉兵衛にやや白眼視し始めます。皮肉ですね。

    ▼しかし、蝦夷地と松前藩と幕府の歴史は勉強になりました。かわいそうだったんですね、蝦夷。手塚治虫の「シュマリ」くらいじゃ分からないですね、この悲惨さは。

    ▼そんなこんなが、これでもか、と分かりやすく語られる。オモシロイ。

    ▼なんだか、鮭とか鱒とか鰊とかが、猛烈に食べたくなる本です。
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    投稿日:2024.02.02

  • おがちゃん

    おがちゃん

     これまでと同様,わたしが読んだのは単行本の方。
     高田屋嘉兵衛が,北海道から国後,択捉を回り,その後,幕府の関係者の頼み事を聞いているうちに,何やら,あまり自由が効かない世界へと進んで行く場面だ。苗字帯刀を許されることと引き換えに商売として自由が効かなくなってしまった先輩たちを見てきているのに…。
     さて今巻では,伊能忠敬の測量について,結構詳しく解説されている。持ち物や,その大きさの説明もあり,忠敬が、訪れた地域地域で住民に協力を求めなければならかなった理由もなんとなく分かった。そうそう,石川県の生んだ銭屋五兵衛の話題も。
     今はなき「火山帯」という言葉だが出てくる。こういう小説の場合には,書き換えるわけにも行かないしなあ。「解説者注」とかで説明するしかないんだろうな。それくらい,歴史的,科学的な事柄がしっかり説明されている小説だわ。
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    投稿日:2021.04.26

  • makabe38

    makabe38

    江戸後期に活躍した廻船業者、高田屋嘉兵衛の伝記小説の第4巻です。
     
    30代になった嘉兵衛。
    船の数を増やし、蝦夷地との航海を活発に行います。
    時期を同じくして進められていたのが、幕府による蝦夷地の統治の見直し。
    複数の幕府の役人たちが、嘉兵衛の航海能力、そして人柄を頼って、協力を求めてきます。
     
    彼らとの交流を深めていく、嘉兵衛。
    相場を見ながら商品を仕入れて、必要とされる土地で売っていく、廻船業の仕事。
    それに対して公的機関の下請けのような形で、決められた荷物だけを運ぶ幕府の御用は、廻船業としての将来を狭めることになります。
     
    物産を流通させることにより、経済そして地方を活性化させる。
    公共投資に協力することで、未開の地を開拓するという大義。
     
    いずれの道を選ぶか悩む、働き盛りの嘉兵衛の忙しい日々が、描かれています。
    そんな姿を読み進めていくうちに、「何のために仕事をするのか」「どのような生活をすれば、“有意義な人生を送ることができた”と思えるのか」などなど、考えさせてもらいました。
     
    『菜の花の沖 (3)』司馬遼太郎
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4167105888
     .
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    投稿日:2020.08.06

  • 臥煙

    臥煙

    司馬遼太郎が江戸時代後期に活躍した船乗り、承認の高田屋嘉兵衛を主役とした大作、全6巻中の4巻。いよいよ択捉島の開発が始まる。

    エトロフ島の航路を確立。15万石に匹敵するというエトロフの開発が始まる。幕府の官僚的体制の中、それでも豊富な人材、多くの有為の人物との出会い。

    嘉兵衛は単に利益を求めるのでなくロマンに惹かれていく。師匠というべきサトニラさんの後悔を考えると止めた方が良かったのだが、蝦夷地定御雇船頭を引き受ける。ここの所がこの後どう響いてくるのだろうか。

    残り2巻、ロシアの存在が見えてくる今後。どのような展開になるのだろうか。
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    投稿日:2020.07.18

  • マタン

    マタン

    このレビューはネタバレを含みます

    歴史背景紹介が少々多めとなっています。
    なので嘉兵衛の生きざまを追いかけたい人にとっては
    少々退屈に感じてしまうかもしれません。

    もっとも個人的な意見ですが
    ある程度解説が入ってくれた方が
    助かる身でもありますので
    程よい一休みという具合に楽しめました。

    ついぞ嘉兵衛はいわゆる幕府にかかわることになります。
    それは嘉兵衛が従来関わってきた
    商売とは勝手が違うものとなることを
    意味してきます。

    本来は深入りするつもりはなかったのでしょうが
    彼にはあくなきほどの好奇心と情熱があります。
    抗うことはできなかったのではないでしょうか。

    ついぞ北へと本格的に舵を切っていく嘉兵衛
    これからどう繁栄させていくのかしら。

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    投稿日:2019.12.14

  • gohwtnb

    gohwtnb


    業容拡大。

    内ではバカな役人と付き合いつつ、外はロシアの影がちらつくところ。

    これまでの支援者に猜疑の目で見られるあたり、切ない。

    投稿日:2019.01.04

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