【感想】ミッドウェイ

森村誠一 / 講談社文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • のりのり

    のりのり

    ロシアの侵攻と読んだ時期が重なったが、80年前と変わってない人間の悲しさが辛かった。人間の歴史は、戦いの歴史と言われるのがよく解った。歴史に反して生きたい。

    投稿日:2022.05.06

  • masato

    masato

    いまいち
    ちょっと期待しすぎた(笑)
    ミッドウェイ海戦をベースに、その時代の男女の悲哀や人間模様、ヒューマンドラマが語られる鉄板ストーリと思いきや、登場人物の人物描写が今一つで、単なる戦争史を臨場感満載でなぞった物語のように感じました。

    ストーリとしては、
    詩人を志しながら海軍兵学校に進学しゼロ戦パイロットになった降籏。
    降籏が憎む爆撃機パイロットの大山。
    アメリカのグラマンパイロットのロバート。
    3人が一人の女性寛子をめぐり、戦争の中でどうなる?
    最後は守るべき人のために!
    みたいな鉄板ストーリを期待していましたが、残念ながら、その展開は薄かった。
    もっと、人物を掘り下げて描いてほしかったところです。
    登場人物たちに感情移入ができません。

    一方で、真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦にいたる戦争史については、詳細に描かれています。
    当時の日本海軍の考え方。真珠湾攻撃に対するルーズベルトの思惑など、史実や様々な諸説をベースとして描かれています。そして、臨場感満載の戦闘シーン。特に後半のミッドウェイ海戦については圧巻です
    そして、残された一遍の詩
    といった展開。

    とはいえ、戦争の悲劇、逝った人々の想い、そして託された私たち。はしっかりと伝わってきた物語でした。
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    投稿日:2020.07.04

  • tikuo

    tikuo

    第二次世界大戦。パールハーバーの追撃を果たすべく、ミッドウェイ諸島での海戦を仕掛け、戦艦大和を活かすことなく惨敗を喫した戦いで錯綜する、4人の人生。

    まずはじめに断っておきますが、ワタクシは第二次大戦物が大嫌いでありまして、ここんとこ毎年毎年NHKの朝ドラで見せられるのにも辟易しているわけです。理由は2つ。

    その1つは「戦争は悪いものだ」というメッセージを露骨に隠さない話であること。もう1つが「敵は誰かわからない」である。2つ目は解説すると、敵は宇宙人か何かのように、心も戦略も持たず、ひたすら物量と神出鬼没で主人公を殺しにかかり、ホラー映画やシューティングゲームのような気分にさせられること。

    この作品もそのままでございます。だから☆1。

    日本人の中川寛子を巡って、降旗、ロバート、大山という3人が一応のドラマを繰り広げるわけだが、メインである降旗が詩が好きという設定は序盤以外ほぼ生かされず、あとの2人および中川寛子に至っては、人間として描かれていない。

    他の部分に文字を使わなければならなかったのだろう?と言われればそうなのかもしれないが、そこに毎章現れるのが「人間の心を殺す軍隊」「普通の人間を凶暴にして街でも傍若無人に走らせる国粋主義」というものが、オブラートに包まれることが一つもなく、くどくどくどくどくどくどくどくど書かれるのである。

    「戦時中は手紙も検閲され、自由な発言はできなかった」なんて書いているが、この小説も『悪魔の飽食』同様に赤旗に書いていたのかもしれないが、「人非人の集まり軍隊」「鬼畜アメリカ」というテーマに固定された価値観に固まっており、読んでいてめんどくさいし面白くない。

    確かに、ミッドウェー海戦の敗因を考察したり、展開を時間ごとに確認したりと、歴史的な考察はされているし、そもそも森村氏自身がミッドウェイに、日本側からの思い入れがあるようで、そのあたりは面白かった。しかし、いずれにせよ例に漏れず、人対人でない宇宙人との戦いでも見ているようで、何の感慨もないまま読み終わってしまった。

    ちなみに、第二次大戦物が嫌いだと書いたが、それは日本側に思い入れの強すぎる、ヒーローを描いた作品も同様で嫌いである。それらにしても、結局は反戦を全面に出しているものと、ほぼ同じ様な2つの点で好きになれない。

    結局「ああ、こういうの嫌いだったわ」と思わせられただけの作品であった。
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    投稿日:2018.04.16

  • teshiigogo

    teshiigogo

    森村誠一氏の作品は、どちらかというと選ぶ対象外であった。多分、あまりにもステレオタイプの情報に染まっていたのかもしれない。偶然に書店の本棚で本書と出会えて刮目せざるを得ないというのが正直な印象である。
    大して先の大戦の戦史を知るわけではないが、先の大戦に突入する大いなるきっかけは、開戦を望む軍部(どちらかといえばカーキ色の印象)により既成事実を積み上げられ、アメリカとの開戦に追い詰められた帝国海軍が最善の戦略として真珠湾攻撃を敢行、アメリカとの全面戦争に突入したと記憶していた。山本五十六元帥は、アメリカとの工業生産力や資源量さらには人的な面からも差異が大きく短期決戦ならばと、決断に踏み切ったと理解しており、本書にも随所にその記述がある。しかし、終結のあり様を強くイメージした開戦でないことは開戦後の折々の判断が正しくなかつたことからも見てとれる。イメージの共有が足りなかったことから事象の重さが個人に委ねられそれがミッドウェイの敗戦へと収束していく。しかし、その敗戦は煎じつめれば組織の敗戦と読み替えてみたほうがいい。
    敵である合衆国の力量を低く見積り、情報収集を軽んじた慢心、自らの攻撃の本質を見誤り、現場に混乱を出来させた指揮官の不見識、リスクを適切に見積り対応策を講じることを怠った慢心、トップに適切な具申出来る人材の不在。そのまま今日の組織論に通ずる教訓が満載である。
    森村氏は、物語の中に淡々とこの事実を織り込み劣勢な合衆国が天下分け目の決戦に勝利した必然を浮き彫りにする。
    帝国海軍将官は、ともすれば白の軍服のイメージからかシーマンシップ溢れた傑出した人物として描かれ、戦さ場にあっても平静であるようなイメージを持ってしまうが、実際の現場での混乱を想像するにつけ、その偶像には懐疑的にならざるを得ない。本質でも指摘がある様に江田島にある海軍兵学校での徹底的な上意下達の鋳型教育により画一的で合理性に富む兵隊は出来たがリーダーがもつべき柔軟性については甚だ乏しいのが帝国海軍の本質である。
    本書は、一方で国家総力戦に巻き込まれていく、日米で複雑に邂逅する若き男女を描くことにより、戦争の本質に鋭く切り込む。兵である以上は死が日常的に存在する現場に在り、上官は必死に至る作戦を国家存亡のもとに部下に下命する。その不条理もまた、戦争の本質であることを抑えた筆致で描きだす。
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    投稿日:2016.07.29

  • ほぼ村上

    ほぼ村上

    国境を越えた男女の愛が、時代に翻弄され、やがてたどる皮肉な運命。戦時中ゆえに愛も夢もあきらめなければならなかった悲劇の青春を描いた物語¨かと思ったら、実はがちがちの戦争史でした。
     資料を入念に読みこんで書かれているので、ミッドウェイ海戦に関わるくだりはほぼ事実。ものすごい迫力である。こんな恐ろしいことがあの美しい海の上で繰り広げられていたのかとぞっとする。まるで映画かゲームだ。恐ろしい反面、かっこいいと錯覚さえしてしまう。
     1942年6月5日、パールハーバー以降負け知らずだった最強の日本海軍が陥落した日だ。当時は日本の零戦に勝る戦闘機は存在せず、日本有利とされていた。なのになぜミッドウェイ海戦に敗れてしまったのか。
    歴史にもしもはないけれど、世界最強といわれた戦艦大和が参戦していれば,戦況は違った結果になったでしょう。大和は通信設備も充実していたので、米空母がミッドウェイで待ち伏せしていたことを傍受していたという。一緒にいれば前線空母4隻とともに迎え撃つ作戦をたてられたのに…。あるいはもし大和が「敵航空機行動中」と危険をちゃんと前線に伝えていれば、一度に空母4隻と優秀な飛行機乗り三百数十名も失うことはなかったのに…。負けるはずがないと思う大和の参謀たちの驕りが優秀で健気な若者たちを死に至らしめ、その後の日本を地獄の戦争へと突入させてしまった。
     空中戦はお互いの血を見ることも少ないし、ある種ゲームかスポーツのような感覚に陥りがちだ。零戦飛行士は英雄で、少女たちはみな海軍兵に憧れの目を向けた。しかし戦争はそんな美しいものではない。生きてこその人生。戦争なんて二度とやってはいけない。
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    投稿日:2015.05.09

  • 講談社文庫

    講談社文庫

    戦雲急な時代、詩人を志しながら海軍兵学校へと進み世界最強の零戦搭乗員になった降旗(ふるはた)。日米開戦は同じ女性を愛したロバートと降旗を敵味方に分けた。戦争は若者の恋も青春の夢も容赦なく叩きつぶす。彼らは何のために生き、何のために死んだのか。ミッドウェイ海戦に命を賭けた防人たちを描く鎮魂の大作。続きを読む

    投稿日:2015.02.27

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