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椎名誠 / 集英社文庫 (20件のレビュー)
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じゅう
「椎名誠」の私小説『かえっていく場所』を読みました。 『南洋犬座―100絵100話』、『家族のあしあと』、『春画』に続き、「椎名誠」作品です。 -----story------------- かけ…がえのない、あの場所へ──。 家族、友人、忘れ得ぬ土地……。 三十年住んだ武蔵野の地を離れ、妻とふたりで都心へと居を移した「私」。 ゆっくりと確実に変化していく日常と、家族の形。近づいてくる老いと沈殿していく疲れを自覚しながら、相変わらず取材旅行に駆けまわる毎日だ。 そんなとき、古い友人の悪い報せが「私」を大きく揺るがせる…。 『岳物語』から二十余年。 たくさんの出会いと別れとを、静かなまなざしですくいとる「椎名」的私小説の集大成。 ----------------------- 「椎名誠」が、雑誌『すばる』の2001年(平成12年)1月号から2002年(平成13年)8月号に連載していた作品12篇を収録した短篇集で私小説として『春画』に続く作品です、、、 「椎名誠」本人も『春画』に比べ「少し気分が上昇し、かなり明るめの従来の私小説路線に入っていった短編集」と語っており、やや明るい私小説路線に戻ろうとしているものの… やはり、他の私小説と読み比べると暗い部類に入る内容でしたね。 ■1 桜の木が枯れました。 ■2 高曇りの下のユーウツ ■3 窓のむこうの洗濯物 ■4 東京の白い夜景 ■5 冬の椿の山の上 ■6 屋上男の見る風景 ■7 エルデネ村の狼狩り ■8 アザラシのためのコンサート ■9 波止場食堂のノラ犬たち ■10 雪山の宴。キタキツネの夜。 ■11 イイダコの水鉄砲 ■12 プンタ・アレーナスの金物屋 ■解説 吉田伸子 住み慣れた武蔵野から都心への引っ越し、新しい3階建ての自宅の屋上、取材を中心とした、沖縄、モンゴル、スコットランド、ミャンマー、チリ・パタゴニア等々への旅行… 国内や世界各地で、時を変え、場所を変え、考える様々な出来事、、、 人生に訪れる幾多の邂逅と別離、歓びや悲しみ、不安定な心模様が綴られた作品… 人生の影の部分の印象が強く残る作品ですが、人間のココロって、実際は常に明るく元気な訳じゃないから、過去の作品よりも、素直に描かれた作品なのかもしれませんね。 その中でも、特に印象に残ったのは「野田知佑」との関係が綻んでいくことかな(名前は明記されてないけど…)、、、 「野田知佑」の生き方にも、若い頃に憧れたことがあるので、ちょっと残念でした。続きを読む
投稿日:2022.11.25
yamasnowboarder
このレビューはネタバレを含みます
非常に落胆してしまった一冊...、椎名さん好きなので正直つらい...! 椎名さんを知らない、読んだことがない人にとっては本書は何が面白いのか分からない一冊だと思う。 そして椎名さんや怪しい探検隊が好きだった人は、みんな心から落ち込むと思う。「どうしちゃったんだよ!」と...。 子供たちは海外の大学に通い、都心の高級マンションに簡単に引っ越せて、多くの連載をもってて、仕事で海外に時にはファーストクラスで頻繁で出かける、、、それなのにまったく羨ましさを感じず、感じるのは寂しさだった...。 もっとショックだったのは「年上の旅人の友人」だ...。 本当に野田さんなのだろうか、酒と眠剤におぼれて人にあたるって本当に終わってるし、「何やってるんだ」って...。芯の曲がってないみんなが尊敬していたあの野田さんはどこにいっちゃったんだよと...。 ただ本書は2006年刊行。ちなみに僕自身、野田さんには2010年にあるイベントでお会いしてて、そのときは病気の様子は微塵もなく素敵なカヌーイストの野田さんであった。2019年の今現在も川ガキ養成講座を開き、子供たちに愛され尊敬されている。 人生どうなるか分からない...。心の病は本当に怖い。お酒は美味しいけど、気を付けなければいけない。。。。
投稿日:2019.10.19
kazuhisachiba
中学生だった続岳物語での岳少年は,月日が過ぎ既に成人としてアメリカ西海岸暮らし.手を離し,目を離し,でも心は常につながり,お互いに帰る場所を意識した生活が第三者的視点で描かれる.前作まで親と子の関係性…を中心に描かれた本シリーズは,本作では,他家では真似のできない,ある一つの家族の有り様を,世界の多様な視点から描く.これこそグローバリズムという言葉を使うに相応しい有り様ではないか.続きを読む
投稿日:2018.09.03
toshi1231
岳物語から10数年。椎名さんの2003年の私小説。長女、長男ともにアメリカで暮らすようになり、椎名夫妻は引越をする。不眠症に悩む椎名さん、体調不良から回復しつつある奥様。かつての友人たちもそれぞれに変…化している。チベット旅行で健康を取り戻す奥様と、かつて訪れた地を再訪し、思いにふける椎名さん。 断片的な状況がまとめられている書なので、一貫したストーリーがあるわけではないのだが、岳物語の時代からの読者は、もうそんな時間が過ぎてしまったのだな、と感慨にふけりつつ読むことができる。 人生後半を迎えた一人の男性が生き方を模索する様子には、身につまされるものもありました。続きを読む
投稿日:2018.04.13
ありんこゆういち
大分前の本なのですが、既に岳物語の時代から遠く離れて、人生の里程が見え始めた椎名さんの姿が垣間見えます。理想の家族像だったご一家ですが、子供は2人ともアメリカに移住し、夫婦2人の生活。忙しい夫婦なので…擦れ違い状態でお互いに精神が少し病んでいるようでした。離れていてもお互い思いやっている家族で有る事がとても伝わってきますが、やはり夫婦ずっと離れていると寂しいもんですよね。続きを読む
投稿日:2017.03.20
のり坊
「家族4人それぞれが違う国にいる」 物書きさん うらやましい限りだが 99.9%が庶民の日本では 反感買いますよ。人生金があれば何でもできる。いい暮らし方してるよ椎名さん。羨望です。ボーとした雰囲気は…好感が持てます続きを読む
投稿日:2016.05.30
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