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氷室冴子 / 集英社コバルト文庫 (9件のレビュー)
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総合評価:
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chiakihirano
図書館でやっていた古本市で見つけた拾い物。 氷室冴子、1984年の作品。 北海道の田舎町、蕨ヶ丘の名家、権藤家の姉妹たち、大奥様である小梅おばあちゃんの物語。 当時何度か読んでいるし、山内直実…によるコミック版も読んでるので懐かしく再読しました。 「頭がピーマン」とか「蛍光芳香ペン」とか、ボーイフレンドの顔を「ひと昔前の寺尾聰」と評したり、時代だなあ。 氷室冴子ってこういう「田舎町の名家のお嬢様」みたいな世界観をつくるのがほんとにうまかったんだなとあらためて思う。一種のファンタジーだよね。 『クララ白書』を再読したときに妹とこの『蕨ヶ丘物語』の話も出て、「おばあちゃんが『舞踏会の手帖』をするのをよくおぼえている」と言ってたんだけど、今読んでもこの話がいちばんおもしろい。 あとがきで氷室冴子が 「小梅おばあちゃんなんて、あれは理想そのものだな。 あれはきっと、五十年後の私の姿じゃないかしらんなんて、ひとりで悦に入ってるんです。そう、思いません?」 と書いていて、ちょっとしんみりする。 巻末のコバルトシリーズ目録には田中雅美、久美沙織、新井素子ら当時のおなじみのメンバーのほか 佐藤愛子『青春はいじわる』 南英男『ペパーミント・ラブ』 片岡義男『こちらは雪だと彼女に伝えてくれ』 アーシュラ・K・ル・グイン『ふたり物語』 風見潤・編『海外ロマンチックSF傑作選 たんぽぽ娘』 などが並んでいてラインナップの豊富さにびっくりします。 以下、引用。 203 あたしゃ、こう見えても、大正一年生まれなんだよ。明治生まれじゃないんだからね。 昭和の初めにモダンガール、モガと言われたのは、このあたしの世代なんだ。 ヘリオトロップの香水を漂わせて資生堂パーラーに行って、アイスクリンを食べたねぇ。 粋な黄八丈をシャリッと着こなして浅草に出かけ、水飴をなめながら夜間遊園地(ルナパーク)で見世物を見たものさ。花屋敷遊園地で、メリイ・ゴオ・ラウンドにも乗ったねえ。 続きを読む
投稿日:2023.11.15
ヴェロニク
表紙と題名にあまり期待してなかったのですが…、読み始めて改心。 この、屍鬼か、いなか、の、じけんかと突っ込みたくなる田舎ぷりは大好きです。 2話目が文句なく面白いのですが、後継ぎは三女がよいよなぁ。
投稿日:2014.06.28
mato
お家の跡継ぎ騒動の話である。ふつうは跡継ぎになりたがる話になるわけですが、この蕨ヶ丘物語は、跡継ぎを逃れようと姉妹がそれぞれ策を練るのです。キャラクターがはっちゃけてておもしろい。氷室さんの会話調の文…章は読んでいて痛快です。続きを読む
投稿日:2011.07.04
らむ
ん10年振りに読み返してるけど、勢いがあると言うか、マンガちっくと言うか、楽しかった? あとがきの最後の一文が哀しい………小梅おばあちゃんは50年後の私の姿じゃないかしらん……って。 今更ではあります…が、ご冥福をお祈りいたします。続きを読む
投稿日:2011.07.02
ちょ
全員「己が大事!」という主義の小説。 それぞれのワガママを突き通すところが痛快。 陰謀編とか下手なミステリより面白いと思う。
投稿日:2010.06.05
LUNA
田舎町の、お嬢様が巻き起こすラブコメやら、プチ・ミステリーやら、おばあちゃんの第二の青春やら。 やっぱり、氷室さんはストーリーテラーであり、情景を書くのも素晴らしく、尊敬する作家さんなのです。 うまい…よなあ。続きを読む
投稿日:2009.04.28
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