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横光利一 / 講談社文芸文庫 (2件のレビュー)
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ばあチャル
横光利一『旅愁』の主人公「矢代」は嫌な性格。恋人がカソリックなのに、彼女も一緒に居る皆の前でキリスト教を批判する。日本のよい精神が、キリスト教と共に日本に入ってきた科学に蹂躙されたという考えなのである…。 意見は信条として仕方ないけど、その場の雰囲気を読めなくて、ただただ正直に自分の思想を述べてしまう鈍感さにあきれる。恋人「千鶴子」はさぞかしその場で凍りついただろう。 とストーリーが進む『旅愁』をいらいらしながら読んでいる。 しかし、人のことは言えないね、こんなことっていっぱいあるんだねぇ。自分の信条をつい披露してしまい、その場を凍りつかせたり、ぶち切れさせたり。 前回の読了本『おひとりさまの老後』の上野千鶴子も書いている。一言多い性格。この方ならさぞやとも思うんだけど、わたしだってある。 とっさに一言多くいってしまってしらけた会話。相手にぶち切られた会話。むしろ誠実に意見を言ったために起こったこともある。 だからこの「いらいら」は自省に駆られてのことにしよう。反省して性格が変れば苦労はないけど。 ところで、政治の世界でも「失言」の花ざかりだね。うっ!でもこちらはプロだからねぇ。続きを読む
投稿日:2021.08.30
koochann
このレビューはネタバレを含みます
下巻では全く様相が変わり、日本国内での先祖の因襲のようなしがらみの中での、八代と千鶴子の葛藤が描かれており、これが同じ人物か、と思うほど千鶴子の印象がお淑やかな日本令嬢になります。八代のはっきりしない態度にはこちらも焦らされるほどですが、その中で女性の意志の強さを感じさせられます。上巻のチロルでの思い出に対して、上越の山奥の混浴で2人がともに入湯する場面がありますが、今の時代の小説では考えられないほどの上品な美しい描写であり、二人の心の迷いが映し出されているさすがに新感覚派!と感動的な場面です。 「二人は湯に浸ったまま朝日の射し込んで来る窓を見上げて暫く黙った。体で膨れた豊かな湯の連りに、乳色に染まった視界が雲間の朝の浴みかと見えた。少し離れた位置をとると、もう顔も見別けのつかないほど霧が舞い込み、ぶつかる湯の波紋が二人の顎の間できらきら光った。」(188㌻) 「乾いた蛇口の雫を待ちかねた水仙の花が、湯気に煙った千鶴子の肌の後から見えるのも、別れの前の八代には忘れがたい一瞬の光のようなものだった。」(189㌻)
投稿日:2013.08.18
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