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小沼丹 / 講談社文芸文庫 (15件のレビュー)
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mario3
大好きな小沼丹。 途中まで読んで数年放置、最後までやっと読めた。 毎日寝る前に少しずつ読んで、不思議な気分になった。 突然奥さんが亡くなる大寺さんシリーズが含まれており、全体にほのかに死の匂いが漂う…。 でも淡々と時間と生活を描いていて、ここにしかない境地なんだなと思う。 明るくはない、湿っぽくもない。 本人の後書きによれば、このころ、なにを書くかではなく、何を書かないか、を考えて書いていたらしい。 エヂプトの涙壺、影絵あたりが好み。 小沼ワールドに浸ると接続詞まで漢字で書きたくなる。 真逆はマサカ、フトは不図。 これが母語で読める幸せ。 もっと読みたいけど、講談社文藝文庫は高いんだよね。 その分の価値はあるんだけど、一冊1200円はやや躊躇する値段です。続きを読む
投稿日:2023.07.01
しんめん
うぅん、洒脱。それとどこかアートの香り。 庄野潤三の様な“静”の小説家には間違いないが、作中で登場する謎と、解明も無くプツンと終わる話の様式が心地良い。特に表題作、『黒と白の猫』辺りは格調高い名作。… 他作も確実に巧いんだろうなと、読者の信頼を引き出させる一冊だった。続きを読む
投稿日:2023.02.28
重度積読症
「黒と白の猫」からの四編は、いわゆる大寺さんもの。 妻の突然の死。しかし声高に悲しみが描かれることはない。 ー兎も角、死ぬにしてもちゃんと順序を踏んで死んで呉れりゃいいんだけれど、突然で、事務…引継も何もありやしない。うちのなかのことが、さっぱり判らない。 ここだけ読むと、奥さんの死を悼んでいないように取られかねないが、一見淡々とした言葉の連なりの中に作者の悲哀や喪失感が感じ取れる。 「エヂプトの涙壺」「断崖」「砂丘」の三編は、男女関係にまつわるサスペンス味豊かな作品。本書の中ではかなり異色な感じ。 表題作の「懐中時計」。時計をなくしてしまったところ、友人が懐中時計を売ってあげるとなったが、値段の折り合いがつかず、その後もちょっとした交渉はあったものの本気にならずに時は過ぎる。そうして10年が経つうちに友人は突然亡くなってしまう。何が起きる訳ではないが、人生とはこんなものかと考えさせられる。続きを読む
投稿日:2023.02.24
室園元
このレビューはネタバレを含みます
前々から辺りの友人達が「面白い面白い」言うていたので気になっていたのだが「貸してくれ」の一言が言えず、若しくは言ったけれども機会に恵まれずだったか、読めていなかった。漸く。 素晴らしい。 もっとしっかり感想書きたいのに言葉が出てこない。ただ何度も心がキュッとなった。盛者必衰と言うのかな、皆んな死んじゃうことの寂しさが。
投稿日:2022.05.05
megmix
なんとも言えずいいです。日常に死がやってきて、その中を日々静かに過ごしている大寺さん。ありそうでないです、こういう雰囲気をまとった小説は。
投稿日:2020.05.01
aya830524
昭和30~40年頃に書かれたものからか、文体が変わっていて、読み進むのが面白かった。 主人公・大寺しんが妻を亡くしたころや、友人との語らいの様子を描いたものを含めた短編集。 解説を読むと文体の不…思議さは時代によるものでなく、小沼丹さんの個性によるものである様子。続きを読む
投稿日:2017.12.23
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