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広岡敬一 / 小学館 (2件のレビュー)
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吉田小夏
ストリップからトルコ風呂にソープランドまで、性風俗を生業とした女達とのふれあいを通して描いく日本の昭和史でとても面白い。 個人的には、やはりストリップや赤線あたりのエピソードが、人間味があり好きだった…。 ソープランド時代に入ると、情緒のあるエピソードがどんどん減っていく。 カメラマンである作者本人の人生と併走している内容が楽しい。 拙作『パール食堂のマリア』参考文献。 *キワドイ写真多数。電車内での読書には注意。続きを読む
投稿日:2012.01.31
源氏川苦心
広岡敬一さんは、風俗記者として戦後の性風俗と接し続けた人であります。この世界には、内側の人間と外側の人間の区別が厳然としてゐたさうですが、広岡さんは早くから「内側」の人物として認められ、一般人が知り得…ぬ情報を得てゐたといふことです。何よりも彼は、風俗女性たちを蔑まなかつた。それどころか畏敬の念を抱いてゐたやうです。 「私は、そんな女性たちに寄生して食っていた」(「はじめに」より) 等身大の人間として扱はれた女性たちは、広岡さんに心を許して全てを語つたのでせう。 今はアイドルなみに人気のあるAV女優もゐる時代ですが、当時の彼女たちは完全に日陰の存在。一人ひとりが明日も分からぬ自分の境遇に慄きながらも、我儘勝手な男どもを喜ばせてゐたのであります。広岡さんが彼女たちを「わが女神たち」と呼ぶのも頷けるではありませんか。 しかし、時代が移るにつれて、女神たちの意識も変つてきたと広岡さんは言ひます。家族の生活苦を救うために、わが身を犠牲にするなどといふのはもはや昔話ですね。 時代や世相が性産業も変へてゆく。性風俗史は、戦後史のサイドストーリーと言へませう。 その象徴的な話。『「小町園」のメアリー』によると、1945(昭和20)年、敗戦後わづか10日後に、RAAなる団体が「駐屯軍慰安の大事業に参加する新日本女性求む」と募集広告を出したのですが、これが実は進駐軍専用の娼婦を求めてゐたのであります。RAAとは「特殊慰安婦設備協会」の略で、当時の内務省の政策によるもの。つまり、戦後性風俗史は、国策から始まつたのであります。 各章の頭には、貴重な年表が付されてゐます。通史として概観でき、まことに親切であります。 残念ながら、広岡さんは2004年に亡くなられたさうです。しかし本書を書いたことで、実に大きな足跡を残したと私は勘考するものであります。本書を手に取るきつかけは助平根性だとしても、一読すれば「これは只者ではない」と分かるでせう。敢へて言ふ。万人必読の、感動のノンフィクションであります。 http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-142.html続きを読む
投稿日:2011.12.05
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