【感想】バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘

松本佐保 / 中公新書
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
2
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5
1
0

ブクログレビュー

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  • mokunokami

    mokunokami

     ローマ教皇とバチカン市国の近代通史。西欧世界における超越的な絶対者がいかにして主権国家体制と接合して生き延びたのか、その外交の変遷に重きを置いている。両大戦間期のファシズム・ナチズムへの融和的姿勢から冷戦期の人権外交を経て、今日の平和主義と他宗派への寛容姿勢という、一見矛盾する政治志向の変化に「反共産主義」「反無神論」が一貫して通底していることが読み取れる。分析が不十分な点や、解釈に疑問なところもあるが、教会権力が衰退して以降の時期に絞ったローマ教皇に関する日本語の文献が少ないだけに貴重な成果ではある。続きを読む

    投稿日:2019.12.02

  • 波瀬龍

    波瀬龍

    【由来】
    ・図書館の新書アラート

    【期待したもの】
    ・バチカンって、興味ない?

    【要約】


    【ノート】

    投稿日:2018.10.28

  • osawat

    osawat

    このレビューはネタバレを含みます

    これはおもしろい本である。バチカンを舞台にした小説よりはるかに面白い。
    (参考)岡田温司「処女懐胎」中公新書 7FS702.0オ 市立

    レビューの続きを読む

    投稿日:2018.10.11

  • sasha89

    sasha89

    その昔、教会は絶大な権力を握っていた。それはローマ帝国
    がキリスト教を国教と認めた時から増大して行った。王権神
    授説なんてのがあるくらい、世俗の王侯よりも偉い存在だ。

    「破門」という武器の下、世界は教皇庁に膝を屈した。
    ただし、破門されても気にしない。本来は教皇が指名する
    枢機卿を自分たちで勝手に決めて送り込む等、舐め切った
    態度を取ったヴェネツィア共和国は別だけど。

    しかし、フランス革命以降、カトリック教会の権威は
    失速を始める。本来であれば教皇が授けるべき王冠を、
    ナポレオンは自身の手で掲げた。

    本書は近世から現代にかけてのローマ教皇及び教皇庁の
    生き残りをかけた闘いの歴史だ。

    小国が林立するイタリアの統一国家樹立による教皇領
    存続の危機、近代化の波との対立、そして宗教は阿片
    という共産主義との闘い。

    ピウス6世から20013年3月に即位したフランシスまで
    の教皇の、それぞれの時代に教皇庁が直面した危機と
    対策をほぼ時系列でまとめている。

    聖職者といえども、神に仕えるだけが仕事じゃない。
    優れた外交手腕が必要だ。そして、世界史の大きな
    流れの中でバチカンの役割は表に出ることがほとんど
    ないと言っても過言ではないだろう。

    特にヨハネ・パウロ2世の時代は興味深い。在位期間が
    長かったこともあったのだろうが、本当に世界中を駈け
    回った教皇であり、正教会、ユダヤ教、イスラム教との
    和解・交流を実現し、宗教をベースとしながらもトップ
    外交を成し遂げた。

    バチカンものにありがちな、陰謀論は一切ない。だって、
    わずか34日の在位期間で世を去ったヨハネ・パウロ1世
    のことはほんの数行触れているだけだもの。

    しかし、現在のバチカン市国の独立を認めたのがムッソ
    リーニだっていうのが皮肉だよな。まぁ、カトリックの
    総本山としては何よりの悪は共産主義と無神論者だから
    なぁ。

    カトリックに関する知識がなくても読める教科書的な
    作品かな。
    続きを読む

    投稿日:2017.08.19

  • paulayoko

    paulayoko

    バチカンが近代化と向き合い、近代化と共に台頭した革命や共産主義やその他の思想や社会運動に対して、どのように対応し、また闘ってきたかについて、フランス革命の時代から現代に至るまで、ひとりひとりの教皇の考え方を中心にまとめられている。
    特に、第二次世界大戦前後の時期の教皇であるピウス11世・12世は、反ユダヤ主義および、徹底した共産主義忌避の思想のため、ナチスを容認していたという件については、残念ではあった。ただ、バチカンのその徹底した反共産主義は、のちにポーランド民主化のきっかけとなるなど、明るい側面にもつながっていく。
    第二次世界大戦頃までの記述については、もう少し、共産主義忌避の背景について述べられているとわかりやすかったと思えた時期であった。
    続きを読む

    投稿日:2014.12.04

  • そーかい

    そーかい

    落ち着いた筆致でとても読みやすい。もっと踏み込めばもっと本気を出せばもっといいバチカン史が書けるのでは、というのが読後感。

    投稿日:2014.10.30

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