【感想】防衛省に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす防衛行政の失態

香田洋二 / 中公新書ラクレ
(9件のレビュー)

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  • horinagaumezo

    horinagaumezo

    現場トップの自衛艦隊司令官を務めた海上自衛官OBの著者が、日本の防衛行政の構造的な問題点を厳しく批判。主旨としては、日本では文民統制が歪な「文官統制」となっており、現場の実情に無理解で軍事の専門性に欠けた防衛相官僚である「背広組」が幅を利かせ、実際に現場で戦闘任務を担う「制服組」の自衛官の意見が反映されにくいシステムになっており、そのことによって日本の防衛上様々な支障が生じているというもの。
    推測に基づくような指摘があったり、「背広組」に対する感情的な愚痴の要素が強いという印象を受けたりはしたが、著者の指摘には一理あると思う部分が少なくなかった。
    特に、軍事の実情に通じた「制服組」も防衛政策に関与すべきであるし、文民統制を真に実現するために「制服組」も国会答弁をすべきということ、防衛費を単に増額すればよいのではなく、戦闘機やミサイルなどの「正面装備」だけでなく「後方」や「教育・訓練」のバランスが重要ということ、国産装備にこだわるのではなく、先頭実績が多くスケールメリットもあるアメリカ製のメリットも認識し、費用対効果をよく検討すべきということなどの主張は、確かにそのとおりだと思った。
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    投稿日:2023.08.02

  • たけ坊

    たけ坊

    当初は防衛省の文官統制を批判する本だと思い、制服だってどうなのよと思っていたが、官邸が強くなり過ぎて霞が関が永田町の顔色ばかり見て仕事するようになったことを指摘している。
    海自の艦艇乗りの代休買上げなどは現役の人は言いにくいだろうから、後輩たちのために一市民として訴え続けてほしい。GDP 1%枠文化という表現と、防衛大綱で基盤的防衛力が出てきたというのも面白いし、別表の数字を守ろうとして弾薬や燃料が薄くなるとか。いずも改修も、本来米空母が来援できるよう対潜戦を実行するための艦を、制服に詳細な検討をさせずに背広が決めたのではと推測。文民統制の一丁目一番地は国会だが、現在は規則はなくなったのに国会で自衛官が答弁できない。これを改めるのが文民統制に有用。誤った国産信仰は改めるべきで、アメリカからの購入と国産とのプロコンをよく検討しなければならない。著者は憲法に軍の保持を明記せよと言うが、個人的には今までも書いてきた理由から反対。東日本大震災のトモダチ作戦を美談に終わらせず、顧みた方がいいというのは賛成。名誉については、わからんな。続きを読む

    投稿日:2023.07.01

  • しろのすけ

    しろのすけ

    これまでも問題提起されてきた内容ではあるが、元海将の体験から教訓を得た提言は、政治家のみならず国民自身が安全保障に関心を持ち、戦争は政治の一手段との認識のもと、真の文民統制が行われなければ、この国の将来に禍根を残すだろう。続きを読む

    投稿日:2023.04.25

  • 臥煙

    臥煙

    退役海上自衛官が指摘する防衛行政の弱点。時に私憤に駆られつつも、中には的を得た指摘も多い。

    文民統制が文官統制になっているとの指摘。GNP枠よりも予算の中身の問題など。日本の防衛体制は中身がスカスカであることが良く分かる。退役自衛官ももちろん現役の方もストレスを感じてい?のだろう。続きを読む

    投稿日:2023.04.06

  • 黄昏

    黄昏

    主張自体はあまり賛同できないが、自衛官としての体験や自衛官だから分かる問題点の部分は参考になる。

    日本では文民統制が文官統制になってるから駄目だという主張は以前からよく聞く。文官がだめはそれはそれでいいとして、じゃあ文民である政治家に任せればいいかというとそうでもない。それは最近の政治案件の装備品を見ても明らかだろう。

    文民統制の要件が何なのかもうちょっと整理して提示されていれば主張に同意も使用はあるが、著者はそういう理論的な人間ではないので、それを望むのは酷というべきだろう。
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    投稿日:2023.03.19

  • ashitanotamago

    ashitanotamago

    読むだけ時間の無駄。官庁のセクショナリズムは今に始まったことではないし、防衛省だけではない。「政治の私物化」という魔物が加わって政治的惨事が引き起こされているのに、筆者は、防衛省に肩入れしてくれるなら官庁のセクショナリズムは批判するも、これには目をつぶるらしい。

    自衛隊が兵站や教育に金をかけていない「戦えない軍隊」であるとか、筆者の指摘を待つまでもなくすでに周知の事実ではないのか。

    解釈改憲賛成、産経新聞、安倍晋三、靖国神社を礼賛と来ては、それだけでゲンナリ。どうしてこうもわかりやすい典型的な思考を惜しげもなく見せつけなければ気がすまないのか。

    田母神といい、筆者といい、こんなのが上層部にいた防衛の現場のほうが、「戦えない軍隊」よりも空恐ろしい。

    セクハラとかパワハラが未だに幅を利かすような「体育会系」の組織じゃ、少子化の中、隊員はますます集まらなくなるぞ。こっちの方を心配すべきじゃないかと思う。アメリカ見たく、給付型奨学金で若者を釣るか??
    続きを読む

    投稿日:2023.03.06

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