【感想】蕎麦湯が来ない

せきしろ, 又吉直樹 / マガジンハウス
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
9
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3
0
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ブクログレビュー

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  • tuki1304

    tuki1304

    (2024/3/15読了)
    せきしろさん、又吉さん2人による、自由律俳句とエッセイ。
    自由律俳句というのを初めて知った。決まり事があるのかないのか、まるで呟きのようで、これなら自分にもできそうな気がする。
    しかし、終盤に「句でもなんでもないそのままのフレーズが頭に浮かんだ」と又吉さんが書かれている。
    やはり呟きじゃなくて想像を膨らませられるかどうかなのかも。
    共感して想像を膨らませながら肩の力を抜いて少しずつ読んだ。
    一番衝撃だったのは、「一貫だった」
    これは又吉さんの句だが、私はせきしろさんと思考が似ていると思った。
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    投稿日:2024.03.15

  • lily

    lily

    迂回したら満月

    沢山の自由律俳句の中で一番好きだったこの一句。いつもと違う道に訪れる素敵な出会い。二人が見ている風景、歩んで来た人生の一部分を切り取って、少しだけ見せて貰った様な感覚。コミカルに、でも情緒的に。読んでいる間に流れる時間がとても温かかった。

    個人的に綾部さんがNYへ行く決意を、又吉さんに表明するエピソードがとても好きでした。二人の遣り取りが自動的に脳内再生されて、その様子が凄く微笑ましくて。「ええんちゃう」なんとなくなんの関心も無さそうに聞こえるこの一言が、又吉さんのあの声音が乗っかると、それだけで重みが出るような気がした。口数はまるで少ないけど、相方への愛が真っ直ぐに伝わる様な。そんな感覚。ピース、やっぱり好きだな。
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    投稿日:2023.11.25

  • Funya

    Funya

     せきしろさんと又吉直樹さんの自由律俳句集3作目。

          * * * * *

     『カキフライがないなら来なかった』が気に入ったこともあり、続けて読んでみました。

     前作よりかなりの歳月が経っているためか、句の趣が少し変わったように思います。そこまで削ぎ落としてしまうのかと感心するほど、句がシンプルになっているような印象を受けました。(個人的には前作の多少ウエットな空気をまとった方が好みなのですが。)

     ともあれ今作も楽しめたので、個人的に印象に残った句を書き留めておくことにします。

    ○せきしろさん
    ・ わざとだと知っているがもちろん言わない
    ・ 悪い人ではないと言われている人が来た
    ・ 絵を描こうと思っているんだとずっと言ってる
    ・ 誰もいない時計店で動いている針
    ※「鎌を持ったまま道を教えてくれる」は一茶の「大根引き大根で道を教へけり」のオマージュだろうか。

    ○又吉さん
    ・ 赤飯から払った虫が煮物にいる
    ・ 第一走者の親が謝っている
    ・ 人がいるコインランドリーを避ける
    ・ この話し方の店員からは買わない
    ・ 写真に写らない月を仰ぐ
    ・ 良い靴がないから家にいる
    ・ 近所まで蹴り育てた石を諦める

     気に入った俳文についても、取り上げた句のみを書き留めておきます。
    ○せきしろさん
    ・ ますのすししかない
    ・ 鮮魚売り場で鋭い目つきをする

    ○又吉さん
    ・ そこからだと月は見えない
    ・ 実家が外ぐらい寒い

     今回は、又吉さんのシャイところがわかる句が、自分としては好もしく感じました。
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    投稿日:2022.05.26

  • toumei

    toumei

    このレビューはネタバレを含みます

    あるある! と共感したり笑ったりするだけでなく、なにかひとりじゃないような、あたたかくもないけど寒くも無いような、何かが残る好きなシリーズ。

    せきしろさんの句は基本的に自意識が強く、少し冷めていて、なんだか寂しい。物悲しい。観点が絶妙で、共感するのに既視感でうんざりしたりはしないラインをうまくついているし、他の人にありそうで無い行動原理、しかも揺るがないやつを持っているように感じる。
    ただ、同じ言い回しが多くて、言葉選びのフィルターをもう1、2枚通して欲しいなという感じはある。文章でも過度な説明や同じ話の繰り返しが多くて、割と飛ばし読みしてしまった。
    友人のビデオテープの話、教員の父に大人になってから褒められた話、先生のプライベートを知っている話、変なおじさんの話、後輩の話、これらは味わい深かった。

    又吉さんの句は、物悲しくもどこか笑える気配を帯びている。というか、お笑いを愛する人として、物事を笑いに昇華する姿勢が見える。それと基本的にやさしい。
    句もいいが、文章のほうが魅力がより発揮されている気がする。時々入るツッコミがとても面白い。事件とは一切関係ないやつがイキり出す妄想の話、「又吉さんの髪型はラーメンみたいだった」の中国ネットニュースの話は声を出して笑った。エッセイ集をもっと出して欲しいな。
    又吉さんが綾部さんとコンビを組んでいるのはいつ見ても不思議で面白いが、お互いに無いものを見出し認め合い、深いような浅いような関係で、とても好いなと思っている。「草野球なのにドラフトを真剣に待つような意識は綾部の美点だと思う」という文には特に顕著に表れていた。

    〈好きだった句をいくつか選抜〉
    せきしろ
    - 夏の午前の本屋にいたい
    - ベランダから神輿を見下ろす寝起き
    - ドッキリでしたと来ない
    - 子供が追いかけるから鳩がこっちに来る
    - そうだふりかけがある
    - 次に泣くのはいつだ
    又吉
    - この海で自分だけ靴下をはいている
    - 美術館を出た後の空が一番青かった
    - 親の傘の重たさ
    - ゴールした人を旗まで連れていく係
    - 携帯に保存した詩だけが光る部屋
    - もはや犬ではない

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    投稿日:2022.05.17

  • らぐもぐら

    らぐもぐら

    以前の、「カキフライが無いなら来なかった」(https://booklog.jp/item/1/4344016955)が気に入ったので、こちらも読んでみました。

    自由律俳句が書いてあるだけでなく、今回はその句にまつわるエピソードも多数掲載されていて、読み応えがありました。

    私は、又吉さんの
    「右側しか出ないステレオだから誰も唄わない」や、
    せきしろさんの
    「明らかに元セブンイレブン」が特にお気に入りです♪
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    投稿日:2022.05.01

  • ねもし

    ねもし

    青春、懐かしい風景が思い出される。
    くだらなくもシュールであり、感動もある自由律俳句集


    「お通しがえびあげせんべいだった」が結構好き。

    あなたにとってのただのお通しは、誰かにとっての修練の蓄積かもしれませんよ。それでも私を残しますか?

    作った側のことも考えられる感性が素晴らしい。気にしすぎだろうとも思うが。
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    投稿日:2022.04.23

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