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宮下規久朗 / ちくまプリマー新書 (5件のレビュー)
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総合評価:
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田内千晴
このレビューはネタバレを含みます
プリマー新書として安心して人に勧められる。 『聖マタイの召命』の画中の5人の俗人のうち、 マタイは誰を指すのか? 広い視野で考察しているのが好印象。 特に時代背景・西洋画での身振りのお約束だけでなく、 絵の注文・制作の経緯から考察しているところに説得力を感じた。 限られた紙幅でカラヴァッジョの生涯はもちろん、 カトリックとプロテスタントとの仕事に対する姿勢の違いや、 キリスト教と仏教(日本)との臨終に望む姿勢の違いまで書かれていた。 カラヴァッジョの描く宗教画は遠い昔の出来事ではなく、 現実世界におけるリアルな幻視。 現地の光源を生かしたカラヴァッジョの技術とセンスに脱帽。 つまり我々もマタイでありパウロでありラザロでありうるという考え方は面白い。 マタイがどの人物かという議論も面白いけれど、 マタイの召命の時点では ペテロが未だ不完全な存在であるという指摘が印象的。
投稿日:2022.02.18
ゾウガメ
題材になっとるのに誰がマタイなのか分からんの面白いでしょ。 こんだけ教えを読み取ってすごい作品ばっか描いてたのに本人はチンピラだったのどういう人生観だったんだろ。本人は召命は果たせたのかな。
投稿日:2022.02.09
sophia0930
聖マタイの召命は、ローマに行ったら必ず観に行ってほしい絵です。教会の祭壇に向かって左手奥にあります。 初めて見たとき、胸を打たれて、暫く動けませんでした。 宮下さんの書かれた本を読みながら、またこの…絵のことを思い出しています。 我が家には、ローマの教会で買ってきた、聖マタイの召命のポスターが、いつも壁に貼ってあります。 今回、この本を読んで、美術史から見ても、この絵は革新的な絵なのだということがわかりましたが、私はむしろ、著書のこの絵についての深い愛に、共感しました。 私自身、西洋美術が大好きで、好きな絵はたくさんあるのですが、この絵は生涯の一枚だと、信じています。 絵の中で、どの人物がマタイか、という問題があることを知り、逆に驚いています。 直感的に、左の若者以外、私の中ではありえなかったからです。 荒んだ心に射し込んだ一筋の光。 マタイが、自分が呼ばれたと確信し、迷わず立ち上がって、イエスについていく、その直前の場面です。 召命とは、と尋ねられたら。 この絵を見れば、この絵の中に、全てが込められていると、私は思います。 続きを読む
投稿日:2020.10.04
.ばっは
分かりやすく書かれている。仕方ないが本文中引用の絵画はモノクロ小型なのでわかりにくい。都度、ネットで探して確認すべきだろう。 因みに私は昔からマタイは左の若者だと思って来た。
投稿日:2020.07.03
きらあ
「聖マタイの召命」などカラヴァッジョの作品を深掘りしていく本。広く浅くの入門書よりも、こういう縦読みの本の方が面白いな。 16世期に宗教改革。プロテスタントは宗教美術も偶像崇拝であると否定。逆にカト…リックは宗教美術を布教にも活用。新教国では教会や修道院の像や絵画が破壊され、教会や宮廷からの宗教画の依頼が激減。オランダでは資産階級の市民が絵画を愛好して積極的に収集し、彼らの好みに応じた肖像画・風俗画・風景画・静物画といった現実的で平易な世俗的ジャンルが人気を博す。 カラヴァッジョは光を描くのが上手。その流れを組むのがカラヴァッジェスキ。カラヴァッジョは光源を画には描かない。設置する場所の環境を巧妙に考えた。カラヴァッジェスキは画の中に描くことが多い。その方が薄暗いところでも効果を発揮する。続きを読む
投稿日:2020.04.11
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