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立花隆 / 講談社文庫 (66件のレビュー)
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teoの読書家
今から10年程前、今の夫と出会って二回目にこの本を渡された。彼のポケットから出てきた本だった。この当時、彼はなぜかこの本を何冊か買い、事あるごとに、人に渡していた。 私はちょうどその時、大手企業で寝る…間もなく働き、自分のやりたい事など忘れてしまい、なんとなく周りの人間に遜色なく生きることに精一杯で、同時にどこかに違和感を覚えながら苦しんでいたときだった。彼はなんとなく手渡した本だったのかもしれないが、私にとっては人生にとって私という人間が生きる上で何をしたいのかを気付かせてくれる本になったことは間違いない。そして彼もまた、この本と出合ったことで、自身の仕事をリスペクトし、その意義を再確認しながら突き進んでいたのだろう、と思う。 この本の中では特に、猿回しやレコーディングミキサーという職業が印象深い。そのような職業に明るくなかった、もしくは考えたこともなかったからだ。それぞれの人生で何を極めるか、それはそれぞれの環境に影響されもちろん多種多様である。何も考えなければ私のようになんとなく大手企業に入り、なんとなく親が安心するのであろう人生を歩めば良い。それで違和感なく生きられるのならそれで良い。ただ私には、早朝に半分眠りながら始発で電車に揺られ、同じように疲弊した人間たちとずらずらと就業場所まで向かい、同じ服を着て、決められた時間に昼食を取らされ、また終電まで仕事をする、この日常は死んでいるに等しい期間だった。私である必要があるのだろうか、というような疑念がずっと私の中にはあった。 この本と出合い、転職をした。この後、何度も転職を重ねることになる。日本の社会では転職を重ねることはあまり好ましくないとされる。あれから私は模索を続け、もがきながらも見えない何かに向かっていた。かなり遠回りをしたが、今思えば、この本と出合った時に、行き着きたいゴールは私の中ではすでに見えていたようにも思う。そのゴールは、今となってはやっと辿り着いた私のスタート地点となった。遜色なく生きることなんて、なんとも無意味なことで、シンプルに自分の気持ちの通りに生きること、ただそれだけだった。 人生の岐路に立った時にこの本を読みたいと思う。何度読んでも良い。器用な生き方は私にはできない。だからこそ、人生の岐路に立つのは一回じゃなくて良い。一つ進んで、また新たな岐路に立ち、この本を読むとまた違う道が見えてくる、そのように思う。 そして今またこの本を読みたいと思える。自分はこの本を読み直すことで、新たなフェーズに進めたんだなと感じることができる。 あの時、私の状況や心境を彼が知っていたとは思えない。自分自身もまだ、気付いていなかった。ただなんとなく渡さなければならない気がしたのだろう、と思うようにしている。 私も同じように、人にこの本を手渡すことがある。もし感じるものがあればと思った時に、同じようになんとなく手渡すようにしている。ある人は影響を受け、ある人は退屈に思う。それはその人の状況にもよるかもしれない。ただそのタイミングが一致した時に、何か見出すことができたらいいなと願う。続きを読む
投稿日:2023.09.05
kaido
ちょっと特異なキャリアの方ばかりに紹介が偏っていると思う。普通のサラリーマンにだって何かに悩みながら挑戦して道を切り拓いている人がたくさんいると思った。 けど、紹介されている方々の挑戦事例はどれもエネ…ルギーに満ちていて、自分も頑張ってみようと思わせてもらえた。1988年?に書かれた本だから、紹介されている方々のその後や現在はどうなのだろうと調べる楽しさがあるのも良かった。 著者のこと、まだよく存じ上げないが、おそらく「青春」関連が主戦場の人ではなさそう。なぜこの本を著そうとされたのかについても興味を持った。続きを読む
投稿日:2023.04.25
bon appetit
本書に登場する人々に共通するのは、自分の仕事にとことん熱中していることだ。写真家の方の章などを読んでいると、その働き方は完全に人間の限界を超えているとしか思えない。が、仕事に対する熱意がそれを可能にし…ているのだろう。 好きなことが大事だとか学歴なんか関係ないとか無理やり一般論を導こうとする議論はどうでもいいとして、彼らの仕事ぶりを一つの事実として知ることが大切だと感じた。そこからこんなのは嫌だとかかっこいいとか思うことが個々人であるだろう。 ちなみに、私はかっこいいと思った。彼らの底知れない熱意に憧れた。 また、筆者のあとがきが非常に秀逸である。続きを読む
投稿日:2022.08.27
shilvio
一心に自分の道を突き進んだ若者達の紹介である。 自分がここまで真剣に生きているか考えさせられる。(HPの日記より) ※2001.12.25横浜市のO氏からプレゼント 2002.2.4読書開始 20…02.2.16読了 2007.8.19売却済み続きを読む
投稿日:2021.08.19
レモン
当時の若者たちの、果敢な挑戦を取材したもの。 立花隆の文章がとても読みやすく、生き生きと イメージが立ち上がってくる。 有名ソムリエの田崎真也さんを始めとして、 自分が強烈に惹きつけられたことに対し…て 貧乏も厭わず突き進んで、最高レベルの技術を 習得する様がかっこいい。続きを読む
投稿日:2021.07.09
いし いるか
テーマは「謎の空白期間」 著者の立花隆氏があとがきで書いているように、各分野の第一人者である彼らが、向こう見ずにも後先考えずに(と見える)大跳躍を遂げるそれまでの「謎の空白期間」を明らかにする試みのイ…ンタビュー。 さすがに、ちょっと人とは違った生き方を選んだ剛の者たちなので、その人生観や信念はとても興味深く、面白い読み物だった。 85年刊行だから35年も前のはなしだが、決して古臭くないし、むしろ新鮮でもある。 しかしあのソムリエの田崎真也氏を若者、ととらえたインタビューなんだからそりゃもう、ね。続きを読む
投稿日:2021.02.13
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